21-3 ロボット『ジヲ』
私達が、壁画の仕掛けを解いて、地下にある階段へと進もうとしたら、後ろから聴いた事がない機械の声が耳にした為、ゆっくりと振り向くと、小さなロボットが立っていた。
小さなロボットはゆっくりと歩いて近づいて来て、私達の顔を見ようと、目線を上げていた、みかんはしゃがんで――
「ん……? 見かけへん顔やな……どこのロボちゃんや……?」
ラッキーとセナは、小さなロボットを不思議そうな顔で見ていた。
「AIアシストロボットか……?! それにしちゃあ、スレンダーだな……」
「あなたは誰なの……? お客さんってことはずっと前からこの遺跡にいるみたいに聞こえるけど……」
「うん……ボクは……『ジヲ』……タイムマシンの傍にずっと置かれて、ここから外に出れない……」
遺跡に居座っていた、謎のロボットの『ジヲ』の目は青く光り、悲しそうな表情で私達を見ていた……。
「ボクのマスターを待ち続けてから……ずっとここにいるけど……来ない……それどころか、いつの間にか家がこんな姿になってたし……みんないなくなっちゃったし……」
「君の家は、本来どういう感じの場所だったんだ?」
「それは――」
>システムエラー。データの処理に失敗しました。
羅城が家の場所や雰囲気についてを聞くと、ジヲの目がすぐに赤くなって光っていた……どうやら破損しているそうだ……ジヲの目はすぐに黄色い目に戻り、目線を下に向いていた……。
「ごめん……思い出せそうにないかも……長年、ここに居続けたから……メモリーが破損したみたいだし、他のシステムもいくつか壊れてるから……セーフモードで動かしてるんだ……」
「復元できそうだろうか……」
「それはムリ……遺跡を見渡してたけど……使えそうな物がない……パーツが落ちてあっても見たことないし、ボクはキミ達の技術では直せない……」
ジヲは首を横に振っていた……確かにジヲは他のAIアシストロボットと比べたら、少し動きがぎこちなく、感情がよくわかりにくかった……ひょっとして、トキワタリやかつての地球に関係があるのかなと私はずくづくと思っていた……。
気になるけど……今はそれどころじゃない……私はすぐさまにどうしてここに来ているのかをジヲに問を掛けたのだ……。
「ジヲ……あんたはどうして、ここに歩いてきたの……?」
「……それは、どこかへ行ったマスターの手掛かりを探しに来たんだ……この辺りはマスターの手掛かりはなかったけど……別の場所をたどれば、マスターに会えるかもって思った……キミ達がさっき倒してくれた化け物に邪魔されて行けなかったけどね……。マスターはボクを生み出してくれた――」
>システムエラー。データの処理に失敗しました。
ジヲはマスターの特徴を言いだそうとしたら、一瞬だけ目が赤く光り出した……。すぐさまに黄色い光に戻った後、こんな事を言い出した……。
「もし、キミ達が負担じゃなければ……一緒についてきていいかな……マスターがどこにいるのか、足取りを掴みたいんだ……」
ジヲは私達と一緒に行きたいと頼んできた……言葉の割にはジヲの目は真剣な表情だ……ジヲにとって大切な存在だったんだろう……私はジヲにここに来た目的を話しながら、頷いた。
「私達も目的の為にこの遺跡にやって来た……しかも、一歩でも遅れると生死に関わる……ついてきて……みんな、急ごう……」
「ありがとう……」
ジヲは温かな眼差しをしながら話していた……ラッキーは私の耳元で小言を囁いていた……。
「いいのかよ? 敵味方分かんねぇ機械に……」
「うん……万が一、敵だったとしても倒せばいいだけのこと……合流は多いに越したことはないから……ライルもそうだったよ……」
「ライルとの思い出をちょくちょくと思い出しているな……本当に記憶喪失なのか疑っちまうぐらいだぜ! でもよ、なんか説得力あんだよな……俺様は従ってもいいぜ!」
ラッキーの他、全員同意した所で階段の所へと目を向けた……セナは鋭い目つきで先に進んで行き、後に私たちも階段を下って行った。
「行きましょう……! みんな!」
この先には、『修正』の鍵がきっとある……待ってて、きらり……必ず『シャドウ・インフルエンザ』の復活を阻止してみせるから……私はライルが言っていた言葉を口に出した……!
「こう言うジンクスこそ、破らないとだね!」
――その一方で……。
目を開けると、ぼんやりと真っ白い壁と青い布、機械らしき物が見えていて、衛生隊らしき陰も見えていた……彼女は目が覚めると、真っ先に『運命の人』の事で頭がよぎっていた……。
「『運命の人』は……?」
「あの子……? ああ、イリルちゃんの事じゃな~お前さんの言う通りに『第二の地球文明の遺跡』へと向かったぞ」
「そうなんだ……よかった……」
「3日間、安静にしてればもう完全に回復するぞ。あやつの判断が遅かったら2ヶ月は過ごさないとならなかったから、助かったぞい~」
志津子はきらりの意識を確認できた後、一気に肩の力を抜いていた……きらりは自分が倒れてしまうほどの力を使っていたのだろうと胸に当てながら反省していた……。
そんなことを考えていたら、外から誰かの悲鳴が挙げられていた……。
「やめてください!!」
「……なんじゃ……? 外がやけに騒がしいのう……」
「……!」
空には、黒い船らしき物体が現れて紫色の吸引レーザーを放っていた……吸い込もうとしてるのは顔を赤くしながら泣き叫ぶ一人の赤ん坊だった……。
「うわぁぁぁん!」
「あ……あぶない……!」
「きゃぁ! マイべビー!!」
きらりはすぐに赤ん坊の元へと向かって、飛んで行き、両手で抱えてすぐに赤ん坊の母親の元へと返していった……しかし、力がまだ戻り切っていないきらりは、飛ぶことが出来ずに吸引レーザーに吸い込まれて行ってしまう……。
「マイべビー! 無事だったのね~~! でも……助けてくれた人は……」
「やっぱり……囚われる運命は……避けられないか……」
「きらりちゃん!!」
志津子は黒い船にさらわれてしまったきらりを窓から、大きな声で呼んでいた……すぐさまにオペレーターに連絡していった……。
きらりはゆっくりと目を開けるとガラス張りの内側にいるような感覚でいて、黒い人型のウイルスらしき者が近づいてきた……。
「随分ト手間ヲ掛ケサセテクレタナ!! フィーア星人!!」
「……」
ズィーヴェン星人は、ガラス越しにいるきらりを見つめて、鼻で笑っていた……。
「アノ偉大ナルオ方に背クトハ……ラシクナイゼ……?」
「奴を信仰するのは、キミ達『ズィーヴェン星人』のみ……『フィーア星人』も『ゼクス星人』どころが、他の大九惑星は奴を背いていた……とても残忍で卑劣な『可能性』のない、無機物のシャドウ・ウイルスの『シャドウ・インフルエンザ』……『可能性』が秘められた赤子の命ですら食い物にしてしまう無機物には、誰も信じてなんかない……」
「フン、AIアシストロボットダッテ、スコップヤロードローダートヤラモ無機物デハナイカ……何故、信仰スルノヲ拒ム……?」
きらりは鋭い目つきで、ズィーヴェン星人の質問に対して首を横に振った後、声に出した……。
「AIアシストロボットは『自我』がある……十人十色で様々な『可能性』がある……スコップやロードローラーは『調和』……スコップは畑や発掘に、ロードローラーは道を作る人々の支えになる……その二つは無機物だけど『可能性』が――」
「『可能性』ウルサイナ!! 貴様ノ人生ナドモウナイ!! 散々我々ノ邪魔ヲシタツケヲ払ッテモラオウ!!」
「……『ズィーヴェン星人』だって、星の数程の『可能性』はあったはずだよ……その中で、なんで一番卑劣な星を選ぶの……?」
きらりは鋭い目つきのまま、ズィーヴェン星人に何故、卑劣なことをしてまで『シャドウ・インフルエンザ』を使用するのか、問を掛けていた……ズィーヴェン星人は近づいてきて、小声で囁いていた……。
「『コレカラノ未来』ヲ創ル……ソノ為二ハ貴様ガ必要不可欠ナノダ……」




