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噓つきは泥棒の始まりやで――


 私達はリトが用意してくれたテレポーターを潜り抜けて、一気にアサガオ御所の北北東に当たる場所へと辿り着き、山麓と速やかに合流して、荒れ果てた土の上を歩いて行った……。


 アサガオ御所はとある天皇が居住儀式や公務を執り行った皇居として、建てられていたが、かつての地球の文化が残っている建築物や庭園を鑑賞出来る、アサガオ府の観光名所として注目を集めている……そんな、かつての地球の文化の背景に、私達はそれと程遠いように壊れかけの家や焼け残った木などといった、荒れ果てている場所へと、桐山という人物を探していた……。


 「この辺りは、結構荒れてるね……」

 「本当に怪しい奴がこの辺に済みついてるのかよ?」


 ラッキーが荒地の匂いを確認したその瞬間、置いてあった土管の後ろから何者かがこちらに飛び掛かってきた……!


 武器を装着している人型のウイルス……そう、バグズ・ヒューマルが三体同時に、私達の目の前でうめき声を発しながらも刃や銃口をこちらに向けている。


 「うわぁ! ウイルスが出たで!!」


 みかんはマジックユニットを取り出して、Iceのマジックを手に蓄え、バグズ・ヒューマルに向かって、冷気を放った。私はハンマーを両手で掴み取り、バグズ・ヒューマルを一気に畳み掛けた……。


 「ブリズ!」

 「はぁっ!!」

 「フン……マダ恨ヲ……」


 私はハンマーを振り下ろすも、ブリズに足を凍らされたバグズ・ヒューマル達は刃や銃を持って弾き返し、抗い続けていた……今回出現したバグズ・ヒューマルはやけに『ニクイ』や『殺ス』などの誰かを恨むようなうめき声が多かった。


 大抵のバグズ・ヒューマルならば少量ながらも言葉を使うが上に指揮官の命令に従い行動する事が主流だが、自身で判断するのは、メイキョウ地方のオペレーター、『レイ』曰く何らかの形でウイルスに変えられた個体だそうだ……メイキョウ地方で起こった、闇バイトの指示役やマルチ商法の残党もウイルスになっていた時も自我が僅かながらも残っているような感じだった為、この個体は誰かにウイルスにされたのかと思われる……。


 バグズ・ヒューマル達は必死になって武器で弾き返そうとした所、背後からリトが双剣で『Wind』タイプの力を蓄え、バグズ・ヒューマルの背中を狙い、空中を舞ながら攻撃を仕掛ける!


 「バーディースラッシュ!!」


 すると、『Ice』タイプとの『クラスター』反応が発生して、凍り付いた足が解除されるも全身に『Ice』タイプのが纏わりつき、動けないまま倒れていった……。

 バグズ・ヒューマルは因子になりつつあっても、未だにうめき声を小さく発している……。


 「ダマシタナ……アノ医師……殺ス……殺シテヤル……」

 「……?! ひょっとして、いなくなってもうた三人組か?!」

 「間違いなく……そのようです……」


 表情が曇っていた浩司の言う通り、ウイルスになっていたのは、ナデシコ通り調査員チームだったクレーマーの三人だった……山麓はやるせない気持ちで、消え去っていたウイルスの目の前に近づいて行った……。


 「私の推測だと、犯人は我が社のウイルス因子予防ワクチンに不満がある者を狙いつけ、自らを『協力者』と装い、先程の『トロイの木馬』プログラムが仕込まれた薬を服用させ、この様な状況になったと見込まれます……しかも、今回で初めてのことではありません……」

 「前から起こってたのね……クレーマーが言ってた、「ウイルスになって、どっかに行った」事に説明がつくわね……」

 「該当する人物はただ一人……研究員チームの医師として認めてもらえば、周りからは信用してもらえると同時に警戒心を緩められる……その方法で味方を付ければ、『ノック・ゼクス』に上手く対抗できると自信満々な姿勢をしながら笑っていられる……」


 山麓はヘビィシューターを取り出しながら、鋭い目つきで後ろを睨み付けた……私達も後ろを振り向くと、白衣を着た男性が腕を組みながら立っていた……。


 「そうですよね……? 桐山先生……いえ、ズィーヴェン星人の幹部さん……?」

 「……よく、この手立てが私だと分かりましたね……」

 「き、桐山先生……研究員チームの何人か、あんたがやったんか?!」


 浩司は、目を見開きながら驚きを隠せないような顔をした……桐山先生と呼ばれる人物は、顔色を変えずに首を横に振っていた……。


 「坂傘さん……人を容易く信用してはいけないのですよ……例え、社会経験が浅かろうと深かろうとも、騙される者は騙されるのですから……かつての地球があった時も何もかも、詐欺まみれだったんですよ……だから、あのご三方は『トロイの木馬』プログラムでウイルスになってしまいました……哀れですね……」

 「久し振りに聴いた口はこれなのか……桐山先生……いや、『ガーレ』……確かにかつての地球にも、『第二の地球』にも噓つきは山のようにいる……でも、貴様のやっている事は詐欺ではなく、侵略行為に過ぎない……他人を騙して人生を奪ってまで『第二の地球』を滅ぼす行為は見過ごすわけにもいかない……!」

 「お前も宇宙人の分際で、何を言うのでしょう……? 『ゼクス星人』の特有の闘争心はどこへと行ったのでしょうか……?」

 「『ゼクス星人』……?」


 桐山から、何だか気になる言葉が飛び交ってきた……『ゼクス星人』って確か、ズィーヴェン星人との戦いで相討ちをした後に滅んでいったっていう……。


 それを考えていたら、桐山……いや、『ガーレ』は拳を握りながら、禍々しいオーラを纏いながら、ズィーヴェン星人に姿を変えていった……すると、『ガーレ』は見覚えがある姿のズィーヴェン星人だったのだ……!


 「まぁ、いいでしょう……どちらが上なのかを……分カラセテサシアゲマショウ……」

 「……! お前はこの間の……!」


 以前、私達が『第二の地球文明の遺跡』で調査を行った時に、後を付けられた上に力が強力なズィーヴェン星人が再び姿を現した……!


 それと同時に後ろから、ホールが出現して、ウイルスがうめき声を挙げながらも出現していったのだ!


 「げげっ!! また増えやがった!!」

 「……このウイルスもうめき声が聞こえるわ……この人達もウイルス因子の薬を飲ませたのね……!」

 「浩司……このウイルス達はオレらがやるで……!」

 「ああ、ここは任せたで」

 「私も……『ガーレ』を倒すよ……」


 ホールからやって来たウイルス達をみかんとリト、ラッキーに任せて、私とセナと浩司、そして山麓は『ガーレ』の目の前にして、武器を構えた。


 「はぁ……追加の仕事だなぁ~……」


 土管の後ろから見張っていた、五百子はため息交じりながらも、大剣を地に突きながら、みかんの横に立っていった……。


 山麓はヘビィシューターを両手で構えて、『ガーレ』に発射した。『ガーレ』は飛び交う弾を避けながらも、力を蓄えて、こちらに放っていった……私はすぐさまに前線に出て、ハンマーを取り出して、Typeバリアを繰り出し、弾いていき、隙を見た浩司は、けん玉を振りかざして急接近を試みる……。


 すると、『ガーレ』は急接近した浩司を力を使って振り払い、浩司は攻撃をグローブを使って、受け流すものの、金網の方へと飛ばされてしまった……浩司は受け身を使って体制を立て直す……『ガーレ』は余裕の表情を見せて――


 「腕ガナマッタナ……何もコノ世界ナゾ分カッテイナイ……」

 「分かっていないのは貴様の方だ……『ガーレ』……私は指揮官が望んでいた景色を再び見せてやりたい、些細な行動に過ぎない……」

 「何故ダ……? コノママ奪イ奪ワレルコノ世界ニ……何故ソノヨウナ事ヲ……」


 山麓は冷たい視線で、『ガーレ』を睨み付ける……山麓は大切にしている言葉を使っていった……。


 「もう、小さき住処で大きな戦は避けよ」

 「……ケシカラヌ……コノ星ハ……ナゼ……」

 「我々は、生きる選択肢を十分と呼ばれるぐらいに与えてくれた……ゼクス星が滅んでも、この『第二の地球』で暮らす道を歩み通して来たのだ……それなのに、ズィーヴェン星人は……何故、侵略と言う一番卑劣で過酷な道を切り開こうとするのだ……? 何を目的をしてる?」

 「卑劣……? 我ガアルジノ望ミヲ何故抵抗スル事ガアル……?」

 「あんた達が凶暴でアハト星やフィーア星を滅ぼしたから、今度は『第二の地球』を狙う事を知ってるから、止めてるだけだよ」


 私はハンマーを構えつつも、『ガーレ』に口出しした……すると、『ガーレ』は鼻で笑っていた……。


 「フン……貴様ラハドチラニセヨ、止メル事モ出来マイ……『シャドウ・インフルエンザ』ノ名ヲ……」

 「……!? 『シャドウ・インフルエンザ』……?!」


 私は目を見開いて、滅んだはずの名前を確かに耳にした……『シャドウ・インフルエンザ』……あの時、ライルと一緒に倒していたはずなのに……『ガーレ』は、真顔で山麓を禍々しいオーラで攻撃した……まずい、また幻覚を……!


 「……貴方はこれから、『陸奥川 山麓』として、この企業に過ごすことになるでしょう……」

 「……この声は……いや、奴の特徴からして、幻覚か……?」

 「何言ってるのですか……山麓さん……これから、貴方の歩むべき道を辿るでしょう……」


 (確かにこの時、このようなことを言われて背中を押されましたね……前の最高責任者は私に期待の目で満ちていた頃でしょう……)


 「確認しますが……どうして、私を推薦したのでしょうか……」

 「貴方には、私と同じ想いで満ちているからです……故郷を失った悲しみ……それでも、蘇らせたいと言う願望……世の中には数々の悲惨な土地がある……貴方は誰よりもそう理解していきました……」

 「そうなんですね……」

 「だから、これから先……私の代わりに償わないとならないのです……そう、永遠に……」



 山麓は『ガーレ』に向かって、武器を差し出そうとしていた……! 『ガーレ』はニヤリと笑いながら、ヘビィランチャーを奪い取ろうとしている……! 早く止めないと……! 私は急いで山麓を目を覚まそうとすると――


 「なんて……」

 「ガッ……!!」


 山麓は、奪われそうになったヘビィシューターを弾を放って、『ガーレ』に赤いマーカーを付けた!

 『ガーレ』が「なぜだ?!」と言わんばかりに目を見開く……。


 「クソ……ダマシタナ……!!」

 「『ガーレ』……噓にかかるべき奴は、一生懸命に得た金を真顔でだまし取った連中や噓を使って人の命や人生を平気で奪うような殺人鬼、そしてお前のような卑劣な噓つきぐらいや!! 即ち、「噓つきは泥棒の始まり」やで!! 俺らはなんも根拠あらへんデマで人生どん底になったが、それでも歩み続けるで!!」


 浩司はブラストを蓄えて、けん玉を上に投げてブラストを発動した……! 浩司は『ガーレ』に向かって、突撃をしようとすると、山麓は軽くお辞儀をした。


 「戦士様方……『ガーレ』の弱点部位にディフェンスダウン弾を付けさせてもらいました。こちらを目掛けて攻撃を行ってください……!」

 「了解したで……! 大陶芸、見せたるで!」

 「何度ヤッテモ同ジダ……!!」


 『ガーレ』も負けじと力を蓄えて、手を浩司の方に向けて、力を放った、力が相殺され、爆発が起こり何も見えない程の黒い煙が荒地を包み込んだ……! 浩司は宙に浮いたまま、けん玉を手に取り、再びブラストを発動する。


 「まだや!!」


 浩司の『Light』タイプを纏いながら、『ガーレ』に突撃を試みる……! 『ガーレ』は再び力を蓄えて、相殺をするも、勢いを抑えきれずに金網の方に飛ばされていった……。

 『ガーレ』は最後の力を振り絞って、もう一度攻撃を仕掛けた……!


 「認メヌ……! 我ガ敗北ナド……!」

 「当たれっ!!」


 私はハンマーにTypeの力をを蓄えて、ディフェンスダウン弾に付けられた箇所にハンマーを力一杯振り下ろした……!

 『ガーレ』は完全に力を使い果たしたかのように、身動きが取れない状態になった……。


 「これで決着は着いたで……」

 「コウジ……」

 「フン……悪足搔きは通用せぇへん!」

 「コウジ……貴様ノ父ハ、多クノ歴史ヲ世二送リ出シタ事……我ハヨク知ッテイル……源十シカ知ラヌ過去……貴様二……遺シタ……」


 『ガーレ』は少しづつ、因子となっていき弱々しい声で、浩司に何かの言葉を残していた……浩司はまだ睨んでいて、捨て台詞かと思っていたらしく――


 「……俺らを道連れにするつもりやないな?」

 「……古代タイムマシン……キカイガ導ク……ダダシ、行ケレバナ……」

 「……」


 ズィーヴェン星人の幹部、『ガーレ』は跡形もなく因子となって消え去っていった……みかん達が戦っていたウイルス達も、ホールへと逃げていったそうだ……。


 浩司は体は平穏を取り戻していても、表情はまだ曇っていた……。



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