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タイムマシン第一号機


 「……」


 ――『タイムマシン』の始まり――

 かつての地球が健在していた頃の2156年の10月、とある博識な科学者が、時空を自由に駆け抜けられる機械を長い年月をかけて、『タイムマシン第一号機』の誕生に成功させたと思われます。

 それまで人々は、あの頃に戻れたらと思うようになります。当初はAIや機械の技術向上が進む中で、同時に発生した地球温暖化による海水上昇が自然環境の悪化や、少子高齢化社会による人口減少やスタグフレーションによる物価上昇や景気悪化が進行し続け、他国では大きな戦争が繰り広げていました。

 「もう一度、血を流しあう事はなく、平穏で飽きるほどにあの大きな木に見守られる日々を過ごせる時代に行けたら……」そう考えた科学者は、タイムマシンの開発に良く思っていなかった、多数の反対の声を押し切りながらも、ひたすらにタイムマシンを作り上げます。


 科学者の名前は『アインス・アルタリアス』、2098年とある米国に生まれ、兄弟姉妹達と裕福な家庭で育っていきました。アインスの幼少時代は両親が共働き家庭だった為、一人で過ごす時間が多い子供でした。その時間帯に世話係の執事が一つの端末を与えた所、アインスはその端末に三日三晩夢中でした。この出会いが、現在の『アインス・アルタリアス』になったキッカケとなりました。

 アインスは小学生時代に上がると、様々な機械に関心を持つようになります。道路上に走っている車や、空中に飛んでいる飛行機……どういう仕組みで動かしているのか気になって仕方がありません、高校卒業後には大学に行って機械を学び、29歳の頃にはもう自身の研究所を持つようになりました。


 そして、33歳の頃にはタイムマシンの開発を開始させました。開発には同じ意思を持つ研究員が集められ、時空を自由に行き来できる事を目指して、寝る間も惜しまずに、欠点を見つけては改良を重ねて、41歳になる頃には大規模な研究会に公開できるほどに出来上がり、タイムマシンの実現可に成功したと、取材やマスコミが殺到するほどの大盛況に、世間を騒がせました。この出来事を『タイムマシン第一号機の誕生』と名付けられ、アインスの「平穏の時代に戻れる」と言う目標は一歩近づいたと思われました……。


 『タイムマシン第一号機の誕生』から約6ヶ月後、タイムマシンの利用により、歴史や文化の変化についてどう変わっていくのか、より詳しく分かっていくようになります。ある日、研究員の一人がタイムマシンを使用して、あまり帰ってませんでした……アインスは研究員にコッソリとついていくと、あらゆる時代の物を盗み去って行き、それを自分が見つけたと装いながら、商売をしていったのです。人々の願いを踏みいじる行為だと、アインスは腹立てます……その上で欲深き人間も、研究員の真似をして、タイムマシンを使用して儲けようとしました……。

 

 とうとう耐えられなくなったアインスは、人間達を見捨て、『タイムマシン』の鍵を壊し、地球上の何処かに隠すようにする事で、二度と使えなくします。そして、アインスは何処かの時代を最後、鍵の欠片の一つをロボットに託して、かつての地球上最後にタイムマシンを使い、二度と帰ることはありませんでした……。



 ……美羽から渡された資料をじっくりと読んだら、やっぱり例の隕石の正体は『古代タイムマシン』を動かす鍵の一部だった……資料には画像も載っており、かつての技術で出来ている機械の隣には丸くてなんかの紋章がある、鍵のイメージ図が載っていた……恐らくこの紋章は、当初の研究会のロゴマークだと思われるけど……。


 「はっ……!」 


 ふとした瞬間、私はあの時の記憶が、蘇ったかのように浮かび上がった!


 ――「イリルよ……これは初めて、地球上で開発に成功した『タイムマシン一号機』だ……」

 「でも……地球上の物なのに何で『第二の地球』内に保管されてるの……?」

 「それは……もう二度と動かすことが出来ないからだ……かつての地球上に残しておくのも悪くなかったそうだが、貴重な遺物だと宇宙船『オルタナティブ』の一人の老人が『第二の地球』上に残しておきたかったそうなんだ……」


 そうだった……私はあの時、当初の『第二の地球文明の遺跡』にて、銀髪で博識な博士らしき人物と共に『タイムマシン一号機』こと『古代タイムマシン』のある場所へやってきたんだった……。

 名前はまだ思い出せていないけど……博士はズボンのポケットから金属製の何かを取り出す音を立てながら、紐を腕に通しながら手のひらに出していた……。


 「これが……タイムマシンを動かす鍵だ……しかし、現在は見事にバラバラになっていて使うことはできぬ……かつての地球があった頃に欲深い研究員がタイムマシンを利用して、過去を改ざんばかりしていた……タイムマシンの創造者、アインスの協力関係を繋ぐふりをして、自分に利益を得ようとしていたからだ……何せ、時代の物を盗んでばかりだったそうな……その結果として、手元に悪名しか残っておらんそうだったがな……」

 「ねぇ……もし、タイムマシンが動かせたら何に使うの……?」

 「……私か……? うーむ……」


 博士は、手に顎を当てながら、長い沈黙の後に、私の方を見ながら話していた……。


 「何もしないな……何故なら、未来は過去で成り立っているからだろう……複雑になるほど過去を改ざんしても、現在よりも良い結果になるやも知れぬが、宇宙が崩壊するほどに最悪の場合があるやも知れぬな……プロダンサーだって、幼少期から踊りを習っているからこそ、現在のプロダンサーに成り立っておるだろう……? しかし、人によっては踊りは習っていたが、音楽家になったり、荷物運びの職に就いたりする者も、結局は過去に成り立っている……私は、こうして『第二の地球』に地に足をついて、イリルやライルと共に話せる時間……それだけでも、最高な瞬間だって思えるんだ……」



 「――リル?! イリル!!」

 「……!?」


 セナの呼び掛ける声に反応して、私は現在の『レイトミライフェスティバル3020』の会場へと我に返った……! どうやら、また思い出した記憶が蘇ってきたんだな……。

 私の事を不思議そうな顔で見る杏音の隣にいる、建設監督らしき大男が両手を腰に当てて話してきた……。


 「ふ~ん? 他人に流されずに自分の事を正々堂々と出来るヤツだなぁ……? その根性、気に入ったぜ!」

 「あっ……いつの間に……あんたは……?」


 建設監督は、ガッツポーズを決めてきて、大声を出しながら自己紹介をする……どうやら二回目らしいけど、それでも、元気がうろたえていない程の大きさだった……。


 「俺は、『ダイヤモンド重工』の偉大なる建設監督の『(せき) 勇誠(ゆうせい)』だ! 趣味は筋トレと仕事! 残業なんて朝飯前! Typeの力は竜を舞う『Dragon』だ! 姪っ子の杏音が世話になったみてぇだな!」

 「叔父さん……! 戦士達に会うのは二回目だし、初めての奴もいるから……そんなに世話になってねぇよ!」

 「そうか? お節介かもしんねぇが、姪っ子はダチが欲しいみてぇなんだよ。都会に暮らしてからまだ日が浅いから、案内してやってくれねぇか?」

 「あああああ、は……はい……私なら……みみみ道に迷わないので――」

 「はぁ?! なんで、ヤンキー女と関わんなくちゃなんねぇんだ!!」

 「ネズミ野郎、その言葉をそのまま返すぜ!」

 「なぁ、杏音……ネズミ野郎とやらは、なんで初対面の時から仲がわりぃんだ?」


 六と杏音の激しい言い争いが絶えないなか、美羽は勇誠に気になる点について話していた……。


 「そ、そういえば……ご両親様は……ど、どちらへ……」

 「兄貴(杏音の父)奥さん(杏音の母)は、俺達の故郷の田舎にまだ住んでるんだ。兄貴は村の外で働いてるからな……村のクソじじい共に除外されがちなんだ……」

 「……第一、俺がクソ田舎を出ていったのは親友のゆかちゃんと――」


 杏音は険しい顔をしながら、何かを話そうとしていたが、それを打ち消すかのように、スタッフの慌て声がこちらへやって来たのだった……スタッフは『ダイヤモンド重工』の一員らしく、勇誠の元へと駆け足で報告して来た……。


 「監督! うちの建設機がウイルスに感染して、会場を暴れだしてしまいました……!」

 「あぁ?! それは一大事だな! それじゃあ、仕事に戻るぜ!! お前たちもついてこい!」


 勇誠は駆け足で、『ダイヤモンド重工』が建設中の海外地方エリアに向かって行った……それを追うように私達も暴れていると言う建設機を止める為、勇誠の後を走っていった……。



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