ヒマワリ・ネオンシティの探検
みかんに案内されるまま辿り着いたのは、拠点から歩いてすぐにある大きな繫華街で、ネオンの看板と建物が目立っていた……街を歩けば様々な店が出回っており、沢山の人が歩いている。ニュートラルシティに負けず劣らずな賑わいを魅せる繫華街だ……。
「『ヒマワリ・ネオンシティ・南エリア』についたで~! ここは『第二の地球』上で最も大きな繫華街なんや! 癖があるんやけど、割と子連れもおるんやで! あっ、流石に無防備な地帯やないから、注意してな」
「結構、ワイルドな街だな……! 気に入ったぜ……!」
ラッキーは何だか気に入った様子なのか、尻尾を大きく振りながら話していた。そして、みかんの案内の元、何だか食べ物を焼くような匂いを辿っていくように屋台を見つけた……そして、店主らしき中年男性がみかんに話しかける。
「あっ、みかんちゃんやないか! 今日は初めましての友達もおるやんか! 『超粉屋』大将の『王将 粉郷』というんやで! 名前だけでも覚えてってな~!!」
「初めまして……」
『超粉屋』の大将はたこ焼きを素早く回しながら、私達に笑顔で話していた……みかんは何だか足りない気がしていたのか、キョロキョロと見渡していた……。
「粉子ちゃんは今日はおらんの?」
「かんにんな……娘はついさっき、仕入先につい出て行ったばっかなんよ……」
「そうなんや……んじゃ、たこ焼き3皿くださいな! アタシは……お好み焼きで!」
「あいよっ!」
みかんは外に設置してあるガーデンテーブルを見つけて急いで場所を取ろうとした……みかんは、出会い頭にお好み焼きを持っていた人にぶつかってしまった……幸い、お好み焼きは落とすことはなかった……。
「ああ、すんません……気いつけるわ!」
「ううん……アタシもよそ見してたから……」
「……? アンタ、その服装から見て……浮島人かいな……?」
「あったり~! アタシ、『天野音 雷美』! 浮島の戦士軍の『浮島連合』にいるわ! 今日は休暇をもらって、お兄ちゃんと一緒に観光しに来たってワケ」
『浮島連合』の戦士、『天野音 雷美』は場所を取ったガーデンチェアに座りながら、箸を使っていた……。
浮島か……以前、浮島『TUKI』は李徴の出身地であったな……雷美の服装と武器は着物や和太鼓を連想させるため、浮島の人達はかつての地球の文化を意識しているって事となるのかな……。
「それよりも、ここっていい雰囲気だよね~最新の技術は好きなんだけど、浮島はこう言う感じの街や機械とかはないんだ~。代わりに馬車や市場とかは沢山あるけど」
「馬車?! 歴史の教科書しか出てこへんあの馬車実際あんの?! いいなぁ~~お馬さんの車持ってみたいねん!」
「まぁ、アンタ達が浮島に行く機会が出来たら、いつでも乗れるわよ!」
「ええ、私達は足を運ぶ機会が絶対に出来るわよ!」
「ヒマワリ府の話も聞いて~な! 歴史溢れるヒマワリ城やでっかいテーマパークもあるんやで! そして、アタシのイチオシはヒマワリ府を空から一気にに見渡せる『ヒマワリエアロビルディング』もオススメや!」
「空から見渡せるの~?! お兄ちゃんやおばあちゃんが話した観光地はそのテーマパークと『アジサイ寺』しか話してくれなかったから、沢山回れる場所が超たくさんじゃん!」
「あっ! 『アジサイ寺』は『アサガオ府』の方やで! 間違わんといて~な! アサガオ人はそういう所で怒鳴られるんやから……アタシもうっかり間違えて「アサガオ府とヒマワリ府を間違えるなんて、ええ頭をお持ちですなぁ」って睨み付けるんや……あと、『アジサイ府』もダメやで!」
「割とめんどくせぇ特性持ってるな! 少しは大雑把なメイキョウ人を見習えよ!」
「いっつも面倒くさいラッキーがいうかしら?」
テーブルの間で観光スポットの話で盛り上がっていた。私もメイキョウ地方について話していたら、二人は興味を持ってくれた……すると、慌てた様子でこちらにやって来た客人が指を指しながら――
「戦士さん! 助けてくだはい!!」
「ん~? どないしたん?」
「原生生物の『トガリツノシカ』が、あっちで暴れてはるんや!!」
「なんですって?!」
突然、歩道の交差点でシカのような原生生物が角を使って突進攻撃をしたり後ろ足で蹴ったりしていた……本来『トガリツノシカ』は普段は大人しく、滅多な事がないと暴れる事がないってセナが読んでいたガイドに載っていたはず……。
「グルルルルぁぁぁぁぁ!!」
雷美はすぐさまにトガリツノシカの方へと向かい、手慣れたような身のこなしで背中に乗った。
「大人しくしなさ~~~いっ!」
すると、トガリツノシカは驚いたのか、雷美を振り払うかのように全身を激しく振った!
「うわぁぁぁぁぁ~~あぁぁぁばぁぁぁれぇぇぇるぅぅぅ!!」
「雷美ちゃん、今助けるで! ブリズ!」
みかんはマジックユニットを取り出して、『Ice』タイプのマジックを放った。マジックはトガリツノシカの足に命中したものの、凍りついたが一瞬で解かれてしまう。
トガリツノシカは角をむき出しに足を地面にこすりつけて、みかんに体当たりを仕掛けた……! 私はすぐさまにハンマーを繰り出して、Typeバリアを張った!
「鉄壁!」
「おらおらぁ! 覚悟しやが――」
「そこまで! そいつは倒してはいけない!」
トガリツノシカの突進攻撃をバリアで防いだ、しかし、トガリツノシカの方も突進攻撃をし続けている……その反動で雷美は振り落とされてしまった。私の隣にいたラッキーも攻撃しようとしていたが、謎の凛々しい声によって中断させられた……。
「大丈夫だろうか」
「あっ……はい……平気です……」
「道端に落ちてあった食べ物の何かが後ろ足に刺さってしまったようだな……待ってくれ、君を助けてやろう……」
鎧を着ている戦士は、トガリツノシカを両手を使ってなだめ、その後に食べ物らしきものを掴んで、トガリツノシカの後ろ足から離していった……。
「はい、これで終わりだ……気を付けて帰るんだぞ」
トガリツノシカは突然現れた鎧の戦士に感謝して、平原に向かって跳ねながら走っていた……。
「はぁ~……」
「助かったよ……」
「いや、あれぐらい大したことない。あっ、君が隊長が言ってた戦士だね。私はそうだな……ひとまず『羅城』って呼んでくれ……人々から『鎧の騎士』と呼ばれている……」
レイト部隊のエースファイターの『羅城』が、私達に向かって心配の声をかけていた……その奥で、尻餅を地に着いた雷美は、頬を赤くしながら――
「雷美ちゃん……?」
「はわぁ~……レイト地方にこんな素敵な戦士様がいたなんて~!」
雷美は目を輝かせながら、羅城に敬意を払っていた……。セナは何だか不可解な点に気づいた様子で――
「でも、なんで食べ物が落ちてたの? この辺りは食べ物の粕やゴミなら見かけるけど、食べ物を粗末にする光景なんか見てないわよ?」
「この辺りは警備が硬すぎると言っていいほど、警備体制が万全なんだ……しかし、私は今朝ヒマワリ・ネオンシティ・東エリアを見回った所、真顔で食べ物を道端に捨てた者を発見した……」
「ええ?! それはあかんことですね!! 何としてでもひっ捕らえようや!!」
「みかん、落ち着け……確かに見かけたが、捨てられた場所は一ヶ所だけだった上、1週間前よりも明らかに少なかった……しかし、失態だったのは警備体制を守られていたのにも関わらず悪行をする機会を許してしまった私のミスだ……奴の狙いはこれの可能性がある……」
羅城は端末を操作した後、カードらしきものを取り出した……これって……ラミランの絵が描かれているカード……?
「あ? これって……ヨーヨー小僧とアイス小僧がやってたカードゲームじゃねぇか? 『3020カードゲーム』って言ってたぜ!」
「ああ、その通りだ」
「でも、こんな紙切れなんか集めて何すんだよ? 隠し芸ならトランプでもいいだろ?」
「いや、隠し芸ではない。これを転売して、自分に利益を得ようとしているだろう」
転売問題はかつての地球からまだ抱えていたそうだと、セナが言い出した……主にフリーマーケットアプリやネットオークションなどを使用して、需要が供給を上回るとみなした物を大量に買い占めて、高額で転売して利益を得ることを目的とした虚業を専業や副業で行う者……基本では『転売屋』、ラルクがよく言う言葉で表すと『転売ヤー』と呼ぶ……。
特に買い占めが発生することで運営者や計画性を練って販売戦略を立てる製造・供給者、そして正規の価格や手段で購入したい客人の利益を損ねてしまう行為として問題視されている。
転売対策も販売店やショッピングサイトで1人が購入できる数を制限したり、購入時に特定条件を設置するなどの、転売時の商品価値を下げる、いわゆる『中古品』と査定されるため、買取価格を下げることで、転売屋にとって赤字にするような形で対策されることもあるそうだ……。
……説明はこんなところかな……みかんは目を細めながらため息をつきながら話していた……。
「やっぱりそうやとおもたわ! でも、最近警備を厳しくして、そのカードがもらえる『ラミランセット』はスキャナーを設置して家族連れしか買えなくしたんやあらへんの?」
「ああ、そこが謎なんだ……スキャンして子供がいない事を確認すると、セットは売れない事となっている……恐らく子連れにも関わらず転売しているか、子供を誘拐して子連れを装い、スキャナーを突破したかのどちらかだ……」
「酷いわね! そこまでして楽して稼ぎたいのかしら?」
セナもみかんと同様に、愚痴をこぼしながら、転売屋に対して不満を沢山言い合っていた。羅城は頭を抱えながらため息をついて――
「気づいていた時点で、真っ先に捕らえておくべきだったな……これは私のミスだ……許してもらいたい……」
「き、騎士様のせいじゃないですよ! 悪いのは悪質転売ヤーですから! どうにかして、奴に尻尾を掴むように調査に協力しますっ!!」
「浮島連合の君が……? 現在、休暇中なのに、負担じゃないのか?」
「はいっ! あたし、旅先で仲良くなった子がいて、すっごい美人かつ一児のママでもあるんです! また、お兄ちゃんにも協力してもらって、その子や周りの人にも聞いて手掛かりを探してみます!」
「ああ……礼を言う……」
雷美は羅城に、目を輝かせながら調査の協力に同意をしていた……。
そして、日が暮れてレイト地方に降り立った、最初の日がすぐさま終わろうとしていた……雷美は泊っているホテルへと向かって手を振りながら行って、私達とみかん、羅城と共に拠点のドアを開いた……。
羅城とみかんはそれぞれ用事があると言って、他の部屋に行き、私達は祐郎がいる会議室に向かって行った……会議室の扉が開かれた時、ワインレッドのスーツを着た男性と黒いスーツを着た男性二人とすれ違った……。
「やぁ……イリルにセナ……遅れてしまって申し訳ないが……レイト地方によく足を運んでくれたな……」
「こんばんは……所で、さっき通った人は……」
「さっきの者は『ノック・ゼクス』の最高責任者の『陸奥川 山麓』殿だ……会議中に『フィーア星人』の件について話していたのだ……結局は我と考え方が噛み合わず、保留となってしまったがな……」
祐郎は下を向いて首を横に振りながら話していた……どうやら、『ノック・ゼクス』の最高責任者とあんまり関係が良くないみたいだ……祐郎に今まで起こった事を詳しく話していた……。
「ああ、その件については浩司や羅城から聞いたぞ……お前たちは様々な問題に直撃してしまっているようだな……ひとまず、明日は羅城と共に、悪質転売事件の件について調査してもらえないか……食べ物を粗末にする行為は環境問題や食品ロス問題に大きく影響が出るため、最優先で解決してもらいたい……その上で子供の誘拐まで出てしまっている……フューチャーファイターズとして、身勝手な行為を見逃すわけにはいかぬ……」
「なぁじじい、転売も環境荒しも迷惑行為なんだから、警察と連携すりゃあいいだろ?」
「我も現在、連携を取っている……しかし、警察は十分な証拠や犯人の正体が判明していないとすぐさま行動は難しい……偽装や冤罪の可能性がある、現在、羅城が集めた証拠である映像や写真を元に、特定していくつもりだ……。しかし、あいつだけでは人数が少ない……イリル……羅城を手伝ってはくれないか……?」
「うん、私もそのつもりでいるよ……」
「感謝する……」
祐郎に羅城と共に行動することを示したら、会議室を後にした……。
そして、夜空が星で彩っているこの時間帯……今日は色々と気になる事がありすぎて眠れない……ちょっと怖いかもだけど、散歩でもしようかな……セナとラッキーを起こさないように、こっそりと屋上にある扉を開けた……。
辺りは、ネオン・ヒマワリシティの光で照らされていた……名前の通り、ネオン街な雰囲気を出しているな……そう考えていたら……頭の中から声が聞こえてくる……。
――やっと、会えた……。
え……? 誰……? この声はテレパシー……?




