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始まりのヒマワリ・ネオンシティ


 レイト地方のヒマワリ府、ヒマワリ市の大きな街並み……メイキョウ地方のニュートラルシティに負けず劣らずに賑わいを魅せている……改札を通り抜けた私達は、大きな看板や建物がずらりと並んでいる街が見える歩道橋を歩いていて、手摺に手を置いて景色を眺めていた……。


「メイキョウ地方とは、雰囲気が違うね……どうやらあそこは『ヒマワリ・ネオンシティ』と呼ばれているみたいね」

「なぁ、最初は駅の中を探してみようぜ!」

「あっ……ちょっと!」


 ラッキーは駅の中にある施設に繋がるエスカレーターの方へと、一体で走って向かった……私達はラッキーの後を追いかけて行き、追いついた後には、天井には空洞がある広場のような場所へとたどり着いたのだった……。

 しかし、初めて地に足が着いた感覚が強かったのか、思い出せる事は何もなかった……ラッキーは私の方をじっと見つめていたが、私は首を横に振りながら話した……。


「……」

「んで、なんか思い出せたか?」

「ううん……まだ何も……」

「ヒマワリ駅のこの辺りは最近建てられたってガイドに書いてあったわよ。それに、イリルの記憶の場合、すぐさま思い出すような物じゃないみたい……何かキッカケや連想させるような事がないと……」

「キッカケ……おっ? 何だかあっちで賑わってるみたいだぜ!」


 ラッキーが指をさす先には、人がいっぱい集まっているステージのような場所が建てられている……私達はそこに近づくと、青色のスーツを着た男性が私達の元にやって来て――


「お客はんどうでっか? 現在、『レイトミライフェスティバル3020』の開催式が始まる所でっせ!」

「『レイトミライフェスティバル3020』? 聞いた感じ、普通のお祭りじゃないみたいね……」

「はい! 『レイトミライフェスティバル3020』は『第二の地球』の未来を体験できる、長期間開催の博覧会となっております! 最新技術のアトラクションや、アクティビティを楽しめる、数年に一度しか開催しない『ミライとは何か』の祭典となります!」


 青色スーツを着たスタッフらしき男性は、私達に『レイトミライフェスティバル3020』について、的確かつ細かく説明した……私は何だか、心の中に何かを感じていた……。


「『ミライとは何か』か……」


 そう考えると、またしてもラッキーが先にステージに入っていった……セナは必死になって追いかける……。


「せっかくだし、ちょっと見てみようぜ!」

「あら! もう……また勝手に行って……」

「皆さん、こんにちは~うち、紅葉家の次女、『紅葉(こうば) ゆゆ』と言います~。今年の『レイトミライフェスティバル3020』の開催式はうちが、進行させていただきますえ~。あっ、お隣さんは皆さんご存知かもしれまへんが、公式マスコットキャラクターの『ラミラン』と言います~!」


 紅葉家の娘『紅葉 ゆゆ』がマイクを片手に持ちながら、開催式を会場にいる客人達を盛り上げていった。『レイトミライフェスティバル』についてやそれに関するクイズも出題していた……ゆゆの隣にいる黄色いウサギのようなマスコットキャラクター、『ラミラン』も必死に盛り上げていった……。

 そして、会場はどんどん熱気があふれていき、観客はワクワクと期待している姿勢を見せていた……。


「この『レイトミライフェスティバル』は、レイト地方が誕生した後に、一番最初の式典として企画しておりました。我々は『ミライとは何か』をテーマに、この『第二の地球』の数々の問題や各地について、そしてこれからの未来を触れて、この世界をより良くしていきましょ! さぁ、間もなくモニュメントが披露される時間になりましたえ~皆さん、あちらの中央広場に建てられてあるモニュメント像をお披露目いたします~! カウントダウンをよろしゅうお願いいたします~」


 ゆゆは手を挙げて、指で数を表して、カウントダウンを初めた……それと同時に、モニターは赤い布で覆われているモニュメントを映し出して、観客もゆゆと共に数えていった……。


「10~9~8~7~6~5~4~」

「「3」」

「「2」」

「「1!」」

「それでは、モニュメントオープンどすえ~!!」


 ゆゆの合図と共に、シャッターを切る音が聞こえないぐらいに観客の歓声が溢れかえっていく。赤い布は落ちていくかのようにスルスルと落ちていった……。

 しかし、モニュメントが姿を表すと、一瞬にして歓声が止んで、顔色が真っ青になってしまった観客がちらほらいた……。


 (えっ……あ、あれって……)

「なにこれ~?!」

「これはどういうこっちゃ……再確認した時はこんなあかんことになってへんかったのに……」


 開かれたモニュメントは、ラミランの雰囲気と全く無縁な感じの無様な姿が目に映ったのだ……。まるで調整に失敗した彫刻のような姿で、所々に雑な仕上がりになっていた……。

 周りにいた人々の反応は、目を片手で伏せながらため息をついたり、ラミランのファンらしき人は立つことすらままならないほど落ち込んだり、親にしがみついた子供の泣き声を耳にした……。


 「うえぇ……これがマスコットのモニュメントか? 気持ち悪りぃ! 見てられねぇ!」

 「あっ、ラッキー待ちなさい!」


 ラッキーはモニュメントの姿に耐えられず、一体で勝手に出口に出ていった……私とセナはそれを必死に止めようとして、途中で退場してしまった……すると、警備員がラッキーを捕まえ――


 「ちょっと、君達!」

 「邪魔だ! フューチャーファイターズに行くんだ!」

 「ちょい、待ちや! 離してやり! こ奴らは俺が対処する」


 ラッキーは警備員に両手で捕まえられるも必死に暴れて抵抗する……そんな中で、空から誰かの強い声が警備員に話しかけ、落ちてやって来るような音もしてきた……。


 「あっ、フューチャーファイターズの『坂傘(さかがさ) 浩司(こうじ)』君!?」

 「さぁ、こっちに向かうで」


 けん玉を持っていた戦士に手を掴まれて、誰もいない場所へと連れていかれた……。

 辿り着いた時には、私は軽く自己紹介をした……。


 「初めまして……私はイリルでこっちがセナ……そして、戦闘ロボットのラッキー……」

 「改めて、『坂傘 浩司』や。祐郎の爺さんが言ってた戦士はお前の事やったんかな」

 「うん……」


 レイト隊の戦士の『坂傘 浩司』に先ほど起こったことを話した……。


 「そうか……のモニュメントが雑な作り方をしてるっちゅうワケか……」

 「うん……」

 「しかし、生憎俺たちも現在、手を焼いている調査で手一杯なんや……」

 「どういう事……?」

 「最近、レイト地方では、古代のタイムマシンの話題でてんやわんやでな、俺たちも急いで情報を集めたり、トキワタリの行方を追わんとあかんのや……」


 浩司は下を向きながら、ため息をついたまま、今の状況を話していた……すると、私は首をかしげながら――


 「古代のタイムマシン……? ニュース記事に載ってた……?」

 「ああ……レイト地方の西部にある遺跡で発見された遺物やけど、このタイムマシンでに乗っていたトキワタリがなんや良からぬことに使ってたらしくてな……それで、俺たちも調べるのを手伝え言われてな……」

 「どうやら、祐郎が言ってたトキワタリみたいね……」

 「なんや、祐郎の爺さんから聞いてたんか。なら話が早い、そろそろ拠点に向かおか」

 「あっ、時間を取らせちゃってごめん……私達はレイト地方の拠点で祐郎に合わないといけないから……」

 「平気や。丁度俺もお前たちを探してたんとこやし、ついてこい、こっちが近道やで」


 浩司の後を追うように、レイト部隊の拠点へと急いで向かっていた……凛星からは宇宙人について、祐郎がトキワタリが罪を犯した事をざっくりとしか聞かれなかったけど、現在のレイト地方には複雑な状況になっているな……記憶を探すには少し遠回りになっちゃうけど、レイト部隊に加勢し、少しづつ問題を対処しないといけない……。

 それに、こんな状況でウイルスに追い打ちを掛けられたら大事に成り得ない……そして――


 「……?」


 青色の服で薄い黄色の少女がビルの屋上で見ていたような……振り返って見たけど、屋上には人の陰すらなかった……。


 「おい、イリル! 何ボーっとしてんだ!」

 「あっ……今いく……」


 浩司に導かれるがまま、私達はレイト地方のフューチャーファイターズの拠点へと辿り着いた……。

 外装はメイキョウ地方の拠点とは、やはりというか違っており、こちらは集合基地を連想させる外装となっている……私達は、自動で開かれるドアに近づいて拠点に足を踏み入れた……。


 「祐郎の爺さん~連れてきたで~!」


 浩司は部屋に響くほどの大声で祐郎を呼び出した……しかし、祐郎の声は全くない……。


 「……? 留守かいな……? 今日は拠点にいると言うてたんに……爺さ~~ん~~!!」


 浩司はもう一度祐郎を呼び出すと、何だか東部の方でドタバタと騒がしい音が聞こえてきたのだった……。


 「な、何?!」

 「ちょいと、リト! 朝から、盗み酒ならぬ盗みリンゴして! 3時のおやつまで待てへんの?!」

 「これは、仕事用でぇい! 『古代タイムマシン』の歴史を調べるために取ってたんや! 第一アレの調査はオレと浩司に任せっきりでお前は吞気にお天道様を見てただけやろがい!」

 「アタシだって……タイムマシンちゃんの様子見とか~鑑定とか~スキャンとかしてるで!」

 「結局は、様子見だけやないか! こっちは急がんとあかんに……!」


 ポニーテールの人間の女戦士と鳥獣人の男戦士が、手に持っているリンゴを廻って奪い合いに挌闘していた……すると、すぐさまに横から浩司が、鳥獣人の持っているリンゴ隙を見て取り上げて、二人に対してはっきりして大きな声で注意をした……。


 「二人共、ええ加減にせな! メイキョウ部隊からわざわざやって来た戦士もおんのに! それよりも、祐郎の爺さんはどこ行ったか、はよ言わんか!!」


 浩司は片手にリンゴを持ったまま、二人の争いを止めた。すると、私達に気づいたのか軽く自己紹介をする……。


 「あっ! 浩司が言ってた戦士さんの二人や! 初めまして、アタシは『岡本(おかもと) みかん』って言うんやで! 仲良くしてな!」

 「『神威(かむい) リト』だ、よろしくな」


 恐らく、浩司とは同期の戦士、一人の人間の女戦士は『岡本 みかん』、マジックユニットを扱うマジックユーザーであり、浩司曰く『結晶壁を創り出すマジック』を得意としているらしい……もう一人の鳥獣人の男戦士『神威 リト』は双剣を扱う機動力に優れた戦士だそうだ……。


 「メイキョウ部隊からやって来る戦士は二人や言うてたみたいやけど、急に三人に増やしたんか……?」

 「えっと……このラッキーというロボットは勝手についてきたのよ……イリルのキャリーケースにこっそりね……」

 「おい! 俺様の経歴をベラベラと話すんじゃねぇ!!」


 それぞれ自己紹介を済ませた後に、私はリト達に祐郎がどこに行ったか改めて聞いてみた……。


 「ところで……祐郎はどこに行ったか知らない……?」

 「爺さんか? さっき、会議室へ行ってくるいうてな、しばらく出てこれてへんのや……」

 「はぁ……きっとまた、『ノック・ゼクス(取引先の企業)』の責任者との取引の話かいな……懲りない人やな……おまけに上も朝っぱらからおらへん言うのに……」

 「レイト地方の戦士も大変ね……祐郎が手が離せないとなると、どうしようかしら……せっかくだし、古代タイ――」

 「おめぇ達、はるばる遠くからやって来たばっかなんにもうオレらを手伝ってくれるんか? せっかくの機会だし観光にでも行っときな! でも、気配りサンキューな!」


 リトは腰に手を当てながら、笑顔で話していた……観光の話題に移ると、みかんは食い気味で、手を挙げながら飛び跳ねた……。


 「はいはーい! アタシが案内する~!! レイト地方、ヒマワリ府のこの辺りはアタシの庭みたいなもんやで~!」

 「おめぇはダメや! まだ頼んでおいた部分が出来てへんやろ!」

 「リト……その件については俺がやる……行かせてやれや……」

 「浩司~やっぱりアタシの事分かってるわ~!」


 みかんは満開の笑顔で話していた……ラッキー手を挙げながら、行きたい場所を言う……。


 「早速だが、たこ焼きの美味い店ねぇか?」

 「たこ焼き屋なら、ええとこ知ってるで! アタシ、看板娘と仲良しだしな! それに、たこ焼きだけやない、粉モンはピカイチ美味いで~!」


 みかんは外に行くのが待ちきれないのか、私の手を掴みながら外に向かって走ろうとしていた……。


 「こっちが近道やで! 早く早く!」

 「ありがとう三人共……ちょっと行ってくるね……」

 「……行ってしまったか……よっぽど本が嫌いでオレ達に調査をやらせるつもりなんやな……」

 「まぁ、かんにんな……」



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