〈二章アウトロ:前編〉大魔法使いが解けない問題-2
政治の人間である、加江からの依頼により、私達はアサガオ府で『怪奇現象騒ぎ』となっているキツネ神ノ神社へと向かっていった。周囲には、伝統ある木造の造りになっている建物や狐の神らしき像がずらりと並んでいた……。
現在、私達が直面している背景は、神社へと続く道なりの途中で、ごちゃごちゃになっていた屋台があり、中年男性達や少年が困った顔をしながらも相談している……。
「こりゃあ、参ったな……」
「酷いや……せっかくみんなで一緒に立ち上げたのに……」
キツネ神ノ神社の目の前には、なんらかの行事で屋台がずらりと並んでいたが、何だか空気が芳しくない状況でいた……行事の関係者全員は睡蓮の方を白い目で見ていた……。
「どうかなされましたか~~?」
「ああ、ノック・ゼクスの人! 見てくださいよ……」
関係者である中年男性が腕を組みながら、見ていた先には、床に売り物や食品が散乱としている……中年男性は頭を掻きながら話していた……。
「貴方が勧めた、警備している機械が屋台を滅茶苦茶にしています!」
「どうしてくれるんだ! あの戦いがキッカケであんたのとこの警備ロボを取り入れたのに!! 今回の行事は失敗できないっていうのに……!!」
「また、クレームでっか? しっかりしたロボットを配置してはります言うてますんに……」
「それが……今朝起きたら……配置した全体いなくなってしもうて……」
話によると、昨晩から、ロボットの設定をした後に警備のために稼働をさせていたそうだ。しかし、今朝早く屋台へ向かうと、ロボットの姿がどこにも見当たらず、それどころか屋台が荒らされていた……。
私は『怪奇現象騒ぎ』の一つの原因ではないかとみんなに話したが……セナは自身の考えを予想していた。
「ロボットが勝手に動くのって……遠隔で操作されてる可能性とかあったりするの……?」
「五百子ちゃんの提案により、ハッキングツール遮断器を搭載する事となったので……素人のハッカーさんには、お茶漬け状態ですね~」
「お茶漬けって……ゆゆから教わったのかよ……? それ、アサガオ府でチラホラ見る『早く帰れ』って意味だぜ?」
スフィーリアは杖を片手に向こうの茂みの方へ示していた……。
「睡蓮ちゃんが言ってたのって、あのロボットじゃないか?」
茂みから、ロボットが出てきて、何かをじっと見つめている様子だった……ベンチに座っていた若者のカップル二人組が向かい合って座っていた……。
「ねぇ~~いつものよろ~~」
「オッケー! はいっ、あ~~ん♥」
「あ~~ん……」
ロボットはカップルの彼女の口を狙って何かを大砲から放った……! 放ったのは……キノコ……?
「……!? ひっど~~!! アタシが嫌いなキノコ入ってるじゃん!」
「ええ?! キノコを入れるなって言ったはずだぞ~~?? ……グミチーにおねだりしたはずなのに……」
「はぁ?! グミチーってだれだよっ!! この……浮気男!! サヨナラ!!」
「ああっ……待ってくれ~~!!」
カップルの彼女は頭から蒸気が放つぐらいに激しく怒り、床を強く足を踏み入れながら帰っていった……帰っていく先の近くにくじ屋があり、中年の男性の目の前で若者の男性二人がくじをしていた……。
「……まーた、吹き戻し……? これで4個目やな……」
「ハズレないてと言うといて……これしか出てこへんのどうなってんや?!」
「まぁまぁ……次は必ず出てくるかもしれまへんで~~?」
「そんじゃあ、おっさんもう一回!!」
すると……もう一体のロボットが勝手に、くじの中身を音を一切立てずにすり替えた……。
「……なんやこれ……また、吹き戻しの番号やないか!」
「これで5個目やん……もういこ……ぼったくりにも程があんねんて!」
「ええ?! お客は~~ん……次は必ず――」
若者の男性達は、くじ引き屋の男性に耳を一切傾けず、神社の方へと歩いて行った……その後、睡蓮は私とスフィーリアの肩を優しく叩いてきて、スーパーボール屋の付近の方を指してきた。
「あれ? あちらの方……寒い季節でもないのに手袋をハメてますね~~」
「ああ……客の物を狙ったスリかい? いけないねぇ……」
睡蓮が見つけたのは……黒い服かつデニムパンツ姿で、黒いキャップを被っていた男だ……その上で、黒い手袋をハメ始め、口元を軽く微笑みを見せた……。
(フン……イイ獲物が見つかったぜ……)
黒い男は、スーパーボールすくいに夢中の親子連れの母親のカバンにめがけて、何かを取ろうとしていた……しかし、その一瞬で、三体目のロボットが母親のカバンを探った後、手ぶらでそのまま去っていった……。
(よっし、早速こいつの情報を……って臭っ?! なんだこれは……)
なんと……黒い男は袋のような物を片手に持っていた……すると、娘らしき女の子が母親のカバンの方を見て――
「あれ~~? お母さ~~ん、マロンのトイレの袋がなくなってる~~!」
「あら……本当だわ……早く探さないと……」
「クソっ!! 何なんだあのババア!!」
黒い男は大声を出しながら、片手に持っていた袋を地面に投げつけた……その後、親子連れのそばにいる飼い犬が黒い男の方へと連続で吠えだし、存在に気付いた母親が眼を鋭く立っていた……。
「何よアンタ……その格好と持ってるもの……人の物を平気で盗もうなんて、それによりにもよってペットの……」
「あっ……違う……これには訳が……」
「警備員さ~~ん!!」
母親の大声の元、通りかかった警備員が、黒い男を寝そべらせて捕えていった……その後、偶然にも通報をした客人により、警察が駆けつけて、黒い男は連行されていった……。
「えっと……『怪奇現象騒ぎ』にしてはちょっと薄い事ばかりね……」
セナは『怪奇現象騒ぎ』の手がかりをつかめていないと思うと手をだらけながら、飛んでいる……。
睡蓮は、先ほどの三体のロボットが石の道路に立っているのを発見すると、構えの姿勢を見せた!
「あっ!! 姿を表しましたわ~~!! 大人しく捕まってくださいな!!」
睡蓮は、ジェットブーツを装着して、身のこなしの良い動きを見せた……しかし、それと同時にロボットも素早く回避してしまう……ラッキーは耳と尻尾をピンと立たせて、威嚇していった……。
「案の定、もっと暴れてぇそうだな!! 無理やりでもやめさせてもらおうぜ!!」
「あっ、壊さへん程度お願いします!」
「わかった……チャージ!!」
私はライトシューターを取り出して……『Aqua』タイプの力を蓄え、暴走するロボットをしっかりと狙い、壊さない範囲内で攻撃を放った……すると、ロボットはひるんで倒れこんだところ、再び逃げようとする……ラッキーは回り道しながら、爪で攻撃しようとした……。
「ブレイドクローだ!!」
ラッキーはロボットに向かって連続で爪で引っ搔いた。ロボットはラッキーの攻撃を避けていたが、その間に、睡蓮は背後にある電源スイッチをしっかりと狙い、ロボットのスイッチを切った……。
「ふぅ……まずはこんなところやねぇ……」
「さすがだぜ!! イリルに睡蓮!!」
「それにしても……どうして突然に……」
電源を切られたロボットは、ぐったりと力が抜けたかのように動かなくなっていた……原因を調査しようとした所に、手を合わせながら、礼を言っていた老人の姿が――
「ああ……神様……どうやら、この神社にも幸運が舞い降りたのですね……」
「あんたは……?」
「『レイトミライフェスティバル3020』のあの戦いをしっかりと目に受け止めましたぞ……! レイト地方の勇者様よ……おっと、自己紹介を遅れましたが……私はキツネ神ノ神社アサガオノ神、現宮司の『浅川 治隆』と申します……」
キツネ神ノ神社アサガオノ神の宮司である、治隆は私達に深くお辞儀をした。私達は治隆に、『怪奇現象騒ぎ』の騒動について、手短にかつ的確に話した……。
「おう、そういえばよぉ……この辺りで変な事起こってねぇか? 俺様達は怪奇現象騒ぎで依頼を受けて、ここにやってきたんだ」
「『怪奇現象』ですか……ここ最近……私は夜の見回りをすると、不気味な声が聞えた気がするんです……『あいつを倒す……』『この神社の宝をどう狙おう……』と……」
「……」
スフィーリアは顎を手に当てながら、険しい顔をしていた……。
「なるほど……」
「具体的には、当時を振り返りながらお話しましょう……では、こちらへ……」
治隆に案内されるがまま、キツネ神ノ神社に続く道へと辿って行った……向かっている最中に、赤色の鳥居が次々と道を示すように続いて行っているのだ……。




