24-1 レイトミライフェスティバル3020 開催
『シャドウ・インフルエンザ』との、激しい戦いから夜を開けて……私達は観光を楽しんだり、仲間達の手伝いに行ったりしながら、レイト地方での旅を健やかに進めていった……。
そして、一週間の時が経ち、『レイトミライフェスティバル3020』開催日……辺りを見渡すと、様々な地方や国から観光にやってきた者が多く、各ブースでは見に行こうとしている観客で押し寄せていた……そして、私は比較的に観客が少ない、旧展望台の跡地へと待っていた……本当にあの戦いから一週間経つのだろうかと思うぐらいに、ガラス張りの体験型パピリオンへと、作り替わっていた。
そう考えていたら、ふわりとしながら歩く、青い服の少女がやって来た……。
「来たよ……」
「やぁ、身体の調子はどう……?」
「うん……過去で一番調子がいい……キミが『修正』してくれたおかげだね……」
きらりは微笑みながら、こう話していた……そして、あっちの方へと目線を向いていた……あっちは、ステージのようだ……。
「ちょうど今……ゆゆが開催式を始めようとしている所だよ……応援に行こう……」
「うん、そうね!」
私達はゆゆがいるステージへと向かっていった……案の定、ステージには人が溢れかえっているほどに押し寄せているため、前には行けなかったが、ゆゆの顔がモニター画面で映っており、にこやかにマイクを持っていた……。
「皆さん、こんにちは~うち、紅葉家の次女、『紅葉 ゆゆ』と言います~。今年の『レイトミライフェスティバル3020』の開催式はうちが、進行させていただきますえ~。あっ、お隣さんは皆さんご存知かもしれまへんが、公式マスコットキャラクターの『ラミラン』と言います~!」
ゆゆとラミランは、レイト地方や『レイトミライフェスティバル』についての話題で、人々を盛り上げていった……クイズや豆知識……気になるものがたくさんあった……そして、いよいよモニュメントがお披露目される時間帯だ……。
「この『レイトミライフェスティバル』は、レイト地方が誕生した後に、一番最初の式典として企画しておりました。我々は『ミライとは何か』をテーマに、この『第二の地球』の数々の問題や各地について、そしてこれからの未来を触れて、この世界をより良くしていきましょ! あっ、うちからも皆さんに一言……長くなってまうかもしれへんけど、少しでも聞いてくだはい……」
ゆゆは息を吞み、穏やかな表情で、マイクを両手でつかんだ……。
「うち、幼かったん頃はなーんも出来へん子供やったんです……おばあ様や世話係に甘えてばかりで、いけずなお子さんにも……いじめられてました……そんな中で、子供会で膝抱えていじけてたん時、おばあ様が地面の砂で何かを描いて、背中を押してくれはったんです。『うちらが星の数程、重なり合うと、おじいさまのように大きくなれるんです……『これからの未来』はあなた達で歩み通すんです……ゆゆが好きだった『トキワタリ』もそうやったんです……』と言ってくれました……そして、見事に子供会で子供会で一人でお花畑に辿りつけました! なので、『これからの未来』はうちらで歩み通すんです……自分の未来を作るには、『過去』と『現在』の自分で……代行人はおりません……それでは、いよいよお待ちかね……モニュメントをオープンいたしますえ~~! カウントダウンよろしゅうお願いします~~!!」
ゆゆは手を挙げて、指で数を表して、カウントダウンを初めた……それと同時に、モニターは赤い布で覆われているモニュメントを映し出して、観客もゆゆと共に数えていった……。
「10~9~8~7~6~5~4~」
「「3」」
「「2」」
「「1!」」
「それでは、モニュメントオープンどすえ~!!」
ゆゆの合図と共に、シャッターを切る音が聞こえないぐらいに観客の歓声が溢れかえっていく。赤い布は落ちていくかのようにスルスルと落ちていった……。
モニュメントが姿を表すと、更に歓声が溢れかえっていった! 嬉しさのあまり、飛び上がっていった客人もちらほらといた。
「わぁ~~い!! ラミランだぁ~~!!」
「綺麗!!」
「「きゃあ~~! ラミラン様~~!!」」
開かれたモニュメントは、『ミライとは何か』をイメージしたそうだ。愛らしい、ラミランの雰囲気の他、時計や道を表現して、赤ん坊や若者……老人も創られていた……これは時の進みを強調したのかと思われる……。
観客の歓声と同時に、私の隣で泣きながら、独り言を呟いている男性が立っていた……。
「ゆゆお嬢様……ご立派になられましたね……」
「なんだよ、いきなり号泣して……この喋り方として、こいつが十院……って奴か?」
レイト地方国家のSPに勤務している『黒沢 十院』は、ゆゆのはっきりとした姿勢を見て、涙声で呟いていた……もしかすると、昔から勤務していて、子供の頃のゆゆを知ってたのかな……。
そして、開会式が終わり、私達は浩司とみかんと待ち合わせをした……みかんは空の方に指を指しながら、片足に段差を乗っていた……。
「さぁ~~思いっきり、楽しもな~!!」
みかんは真っ先にレイト地方のブースで、焼きそばやお好み焼きを購入して、袋に入れた……。
その他にも海外のブースで、屋台に売っていた『チーズハットク』『手持ちピッツァ』『ファッジ』を入れた袋を持って片手でピッツァを食べていた……。
「いい匂いがするね……」
「みかん!! ハメ外したらあかんて!!」
「リトやって、アタシらそっちのけで、浮島諸島のブースに行ったんに!」
みかんは頬を膨らませながら話した……浩司は先ほど共に来ていたリトの事について、ため息を付きながら話していた……。
「はぁ……あいつん事やからきっと、あの機械が目当てなんやろな……」
「浩司……たまにはリラックスするのも大事やで?」
頭を抱えている浩司の横に、チーズハットクを頬張るみかんは明るい声で話していた……セナは浮島諸島で思い出した事があり、きらりも浮かばせていた片手ピッツァを口に入れながら聞いていた……。
「そういえば、始まる前でも、風雅も雷美も浮島諸島のブースにいたわね」
「勇誠が、『浮島連合』の方が詳しいからって……山麓に提案を入れてたみたいだよ……『餅は餅屋』っていいながらね……」
「勇誠……そんな言葉、どこで覚えてきたんだ?! まぁいいや……これ食い終わったら、浮島ブースに行こうぜ! 鳥頭が気になってる機械を観とかねぇとな!」
「アタシも風雅くんと雷美ちゃんと会いに行こか~~!!」
みかんが先行して、浮島諸島のブースへと足を運んでいった……浮島諸島のブースは、まるで和風の造りになっており、和太鼓演奏や笛の音を耳にした……そして、入口付近にいた風雅が私達の方を見て深くお辞儀した……。
「皆さん、ようこそ! 浮島諸島のブースへ!」
浮島諸島のブースに入ってからすぐに、大きな機械が見えていた……セナは目を丸くしながら話した……。
「これって……クレーンゲームの台だわ……! ちょっと古そうだけど……」
「フン、俺様の大っ嫌いなあの100ミュル泥棒の奴かよ! アームが○○みてぇだから一個も取ったことねぇんだよ!」
「ラッキー! クレーンゲームに失礼すぎよ!」
「これは、かつての地球に初めて開発されたクレーンゲームを元にして、浮島特有の構造で再現されたものなんです。他にも、馬車やからくりで出来た人形もありますよ!」
風雅は浮島諸島について、的確かつ細かく話していた……すると、中年の男性のスタッフが、顔を真っ青にしていた……クレーンゲームの近くにいるのって……リト……?
「あっ! あ奴は、『レイト地方のクレーンゲーム荒らし』のリトやないか!! ラミランのぬいぐるみをどっさりと持ってかれてまう!!」
「クレーンゲーム荒らしやって? それは、オレが2歳の頃やったな」
「それは今あるタイプのヤツやろ? コレは流石に無いと思うで~~!」
リトはボタンを押すと、アームがメロディを鳴らして下っていった……アームはラミランのぬいぐるみを掴んだ後、雪崩を連想させるかのような感じで、次々と穴に落ちていった……。
「ガーーーン!! やられてもうた~~!! 『シャドウ・インフルエンザ』よりもおっそろしい!!」
「オレには簡単すぎたな」
「でも、こんなに取ってどうするつもり~~? 先言っとくけど転売はナシだからね?」
クレーンゲームの傍にいた雷美が、ニヤリと笑っていたリトにどうするのか聞いていた……。
「しばらく、オレ部屋に飾ろうかと思うてた所やったわ」
「リト……! ちょいまち、俺のスペースがなくなってまうがな!! 引出しの大半はお前のクレーンゲームのそれで部屋が一杯になっとるて!!」
「リト……それは全て、拠点のロビーにいくつか飾っておくのがいいぞ……」
浮島諸島のブースの奥から、仲間の声が聞こえてきた……。
「ああ、そうか……って、羅城さん……なんやその恰好は?!」
羅城は、赤色の着物姿でゆっくりと歩いていた……髪留めも浮島流で出来ているらしく、和傘や下駄まであるらしい……羅城は頬を赤くしながら――
「これか……? 着物を貸し出してくれるそうだから、思い切って頼んでみたのだ……これで、人生でやりたい事が一つ成し遂げたな……」
「羅城さんだけ、ずるいやんけ!! アタシも来てみたい~~!!」
「おめぇはダメや! アサガオ府で着物を汚して、えらい目つきで見られてたこと、忘れたとはいわせへん!!」
リトは奥にある、着物コーナーに行こうとしているみかんの腕をつかんだ……羅城は着物のまま、二人を宥める。
「二人共、落ち着け……リト、みかんがやりたいと言っている……私が汚さないように見張ってやろう……それならいいだろう……?」
「んじゃあ、アタシがみかんちゃんを着物コーナーに連れていってあげる! お兄ちゃん、後はよろしく~~」
「浩司も一緒に来てぇな~~! 男物もあるで~~!!」
「ああ……って、もうすぐ交代の時間じゃなかった?!」
雷美はみかんを連れて、着物のコーナーに手をつかんで走っていった……浩司も呆れながらもみかんの後についていった……。
「はぁ~~しゃあない……すまんな……俺らの事はええから、後は好きに見て回ってな」
「あっ……そろそろ時間だね……メイキョウ地方の子達に会いに行こう……」
私達は浮島諸島のブースを後にして、かつて一緒に戦った戦士と合流することにした……。




