23-2 陽人の野望
陽人はモニター越しで視線を下に向いて、目をつぶりながら、拳を握っていった……そして、壁を強く叩きながらこう話していた……。
――「時は遡ること、私は『ズィーヴェン星』の王として、ずっと『ダークマター』様を信仰していました……この王としての権利は、才能や実力、ダークマター様への忠誠心によって決まるもの……試練を乗り越えた者は、ずっと永遠にダークマター様の右腕となり、乗り越えられなかった者は、その辺に落ちているただの鉄くずのように、下っ端としてただ働く……そんな人生でした……私は無事に、試練を乗り越えて、ズィーヴェン星人の王として、ダークマター様の右腕として、全力を尽くしました……そして、次第に感情も道徳も日々失われた事でしょう……ダークマター様は我々の脳内から、声をかけていました。『この星が一番の星となるように、全力を注げ……まずは、他の星を消滅させろ……さすればこの星が唯一の救いとなるだろう……』と……そして、始まった大九惑星の侵攻……『アハト星』と『フィーア星』は消滅しましたが、その後の『ゼクス星』も消滅しました……。いや……消滅後の、あの言葉がなければ……」
――「王様……! 『ズィーヴェン星』ガ……! セクス星人ノ軍隊二破壊サレテシマイマシタ……!」
「……?! 何故だ……もうゼクス星人は余すことなく壊滅したはずじゃ……?」
「ドウヤラ、奴ラノ王ハ『ゼクス星』ヲ囮二シテ、民族ハ移住スル計画ヲ立テヤガリマシタ!! ソシテ、何ヨリノ大失態ナノハ、コレマデ我々ノ兵長ダッタ者ガ、ゼクス星人ノ幹部ダッタノデス!」
「我々が戦っていた隙に……くっ、ゼクス星人め……ダークマター様の導きに背くとは……愚かにも程があります……それで……ゼクス星人の行方は……?」
「『ツヴァイ星』、『第二ノ地球』、スペースコロニー、コードネーム『レオ』!」
「……ツヴァイ星も『レオ』も我々を一切歓迎していないので、避けるべきだ……後は『第二の地球』だが……私が降り立って、この状況を切り抜ける方法を見つけ出して見せよう……それまでは何とか持ちこたえよ……」
「ズィーヴェン星人の中に、ゼクス星人の幹部が紛れ込んだのです……そして、ゼクス星を消滅させた頃には……我がズィーヴェン星までも、道連れにされてしまいました……私はこんな哀れな状況を変える為、『第二の地球』へと着陸いたしました。月日が経ち辿り着いたのは、レテス地方……しかし、この生活は上手くいかず『故郷』と言うにはかなり遠い場所でした……そんな中で、私の事を良くしてくれた女の子と出会いました……女の子には私が『ズィーヴェン星』だということを伏せておきましたがね……」
「そうなんだ……あんたは故郷を滅ぼされちゃったんだね……可哀想に……」
「……いや、私はこれからどうするかを考えていたんですよ……レテス地方の方々は私を白い目で見ていましたから……皆さん『よそ者』だと警戒するばかりです……」
「私はそう思わないかな……私だって、似たような事があったんだ……小学生の頃、あんたと同じだったんだ……でも、私はそれでも良くなる方法を探して、過ごすようにしてるんだ! そして、上手くいって周りから信頼されるようになった……」
「なるほど……それがあなたの『これからの未来』ですね……私も自分が描く未来を実現してみせます」
「私は信じてるよ……! 『これからの未来』が良くなるといいな!」
「女の子は笑顔で笑っていました……しかし、私はそれと同時に、より一層ズィーヴェン星を蘇らせる方法を後押しされたような気がします……やはり、我が故郷であるズィーヴェン星ではないと、そう思いながら、蘇らせる方法を探しました……そう、今は『十大禁令マジック』の一つである『リバーライズ』……私は長い年月を費やして、この研究に没頭しました……他の住人と関わりを絶ちながらも没頭しました……ところが……」
――「ああ……あれだけ、代価を払ったというのに……長年という時間を費やしたのに……遥か彼方の宙に蘇ったのは……小さな星屑のみなんて……ダークマター様……申し訳ございません……」
「……! 何よ……信じてたのに……あなたなんか大っ嫌い……私たちのレテス地方を……廃墟にしちゃうなんて……!」
「何を鋭い目つきをしているのですか……『これからの未来』には愚かで憎き人類の犠牲が必要なのです……」
「ふざけないで……! 何が『これからの未来』なの? 何でこれが犠牲って言うの? 殺人と何が違うの?! この地方から出て行って……!!」
「言われなくても……出ていきますとも……これから私は、手元に残っていたタイムマシンで、博覧会に向かいます……『レテスエビの海鮮揚げ』『フィーア星風木の葉サラダ』どれも最悪でした……最も酷かったのは、『星ノ市』というあの無能な魂の種族を奉るお祭りです……」
「酷い……私達も一生懸命にやってたのに……あんたは人の心はないの?! それに、あのお祭りを悪く言わないでよ!!」
「私は砂浜に落ちてあった、『リバーライズ』で復元したタイムマシンを使って、レイト地方の『初代レイトミライフェスティバル』の時代へとたどり着きました……そこでなら、『ズィーヴェン星』が必ずしも蘇ると思い、誰も見えない場所へと移動し、呪文を唱えようとしましたが……背後から押さえつけられ、私の両手を縛り付けられてしまいました……振り向くと、警官の服が複数と……時空警察がやって来て、『過去改ざん法』違反の他のに複数の違反行為とみなし……裁判へと足を運びました……」
――「この者は自ら、禁断のマジックを使い、人々の命を奪い一つの地方を破壊した挙句、タイムマシンを使用して、再び命を脅かす行為を断じて許されざる行為として断ずる! 判決……『死刑』!」
「そして、刑は実行されて、私はとある暗闇の中を彷徨いました……」
陽人は両手を横に広げながら、動き回りながら、苦しい表情を見せていた……しかし、聞くからには全て彼の自業自得だと思われるが上に、反省の目途も一切見られなかった……。
私はため息を付きながら、頭を手で押さえた……セナは鋭い目つきで陽人に批判をして、セナも何かに気づいたような言葉で話していた……。
「レテス地方……? 重罪起こした『トキワタリ』ってあなただったのね?! 何よりも不自然なのは、死刑を下ってる事だけど、どうやってここに来たのかしら?!」
「死刑判決は下りました……しかし、時が経ち……私が暗闇の中彷徨う道中、麗しき声が聞こえるのではございませんか……『ダークマター』様が力を分け与えました……私を二度のチャンスを与える代わりに、『我と同じ価値のある物を、我に授けよ。地下のシャドウ・インフルエンザを主に授ける』と言い残して……ウイルスとして蘇りました……こんな哀れな私の姿を……」
陽人は力のない表情で、胸を手で抑えていた……ゆゆは、腕で目を伏せながら、涙声にも聞こえる声で話す……。
「……うちはレテス地方のお嬢さんの方が可哀想やと思いますわ……あんさんを支えてくれてはったんに……それを出汁にするなんて……よよよ~~……」
「残念ですが……そんな方は覚えていません……先ほども言ったはずです……『これからの未来』は必ず訪れると……」
陽人は段々と声を大きくしながら、目を鋭くしてきた……すると、浩司の端末から、誰かの声が割り込んできた……。
浩司の端末から、先ほど出会った、芸人の女子高生……栗子が現れて、明るい声で通信してきた。
「えっと……このお方を通訳しちゃいますと~~『うわぁぁぁぁぁぁん!! や~だ~や~だ~~! 新しい所なんか行きたくな~い! あの星じゃないとやだ~~!!』……って感じで~~す!」
「聞く限り、矛盾しとるにしか聞こえんがな……陽人はん、本当は『これからの未来』やのうて、ずっとこのままの生活を続けたいんやないの?」
栗子はまるで、駄々をこねる子供を演じながら陽人が言っていることを予想していった……どうやら、栗子が言っていたことは本当だったらしく陽人は舌打ちを軽くしていた……リトが陽人に本当か聞くと、陽人は鋭い目つきで再び落ち着いた声で――
「戯言を……皆さん……残念ながら、時間です……まず手始めに、会場内のあちらこちらに爆弾を仕掛けておきました……」
陽人は会場の映像を移し替えてきて、爆弾らしき黒と紫の長い箱が、あちらこちらに仕掛けられていた事が判明された……! すると、現場からはあまりの事態に辺りは大騒ぎとなってしまう……!
「はぁ?! いつの間にそんなもんが?!」
「我とした事が……相手の策に乗ることを許してしまった……!」
「さようなら……皆さん、『ズィーヴェン星』でまた会いましょう……そして、戦士の皆さんには、この残酷な風景を目にじっくりと焼き付けてください……」
「もう終わりですぅ~~……」
爆弾に表示されているカウントダウンは、0と表示されていた……守れなかったと思うと、頭がクラクラしたような感覚でいた……。




