※2 いざプレイ(姉)
第1章 冒険のはじまり
※2 いざプレイ(姉)
念願のプレイを前にウキウキしながらネット接続等の設定をしているサクラとは対象に、ショウマの顔はこわばっていた。小学4年生のショウマがネット接続等の設定をすることは少し難易度が高いため、父親が代わりにパスワード等の設定を行っていたのだが、その説明を必死で理解しようとしていたからである。
しばらくして、サクラが先にプレイできる環境になった。
サクラがログインを終え、いざゴーグルを付け回転椅子に座りプレイを始める。
まずはキャラメイクであるが、この[動物になろう]においては自由に好きな動物を選べる訳ではない。[鳥類]と[哺乳類]のどちらかを選択した後に出てくるランダムキャラ1つと汎用キャラ(必ず表示される種類)2つの計3つからどれかを選ぶこととなる。以前からサクラは配信者[らんまる]のように空を飛んでみたいと思っていたので、今回は迷わず[鳥類]を選択した。なお、[鳥類]は[哺乳類]より攻撃力・防御力が弱い半面、機動力・魔法力が高く設定されており、いわゆる[避けながら攻撃する]玄人用のキャラではあるが、そのことを本人はあまり気にしていない。
サクラが[鳥類]を選択した後に出てきたキャラは3つ
1 鳥類SR:キツツキ(サイズS)
特技1:連続突き攻撃(飛行中は使用不可)
2 鳥類R :カワラバト(サイズS)
特技1:意思疎通(チームを結成できる)
3 鳥類R :ハシブトガラス(サイズM)
特技1:意思疎通(チームを結成できる)
この[動物になろう]では誰かと共闘する際にはチームを結成していないと倒した経験値が分配されない仕様となっている。そのため弟と一緒にプレイするつもりでいたサクラは以前から決めてあった[ハト]を選択した。その後のキャラ作製では、カラーリングは全身[白]に、プレイヤーネームは[サクランボ]としたかったが既に使用者がいて決定できなかったので[サクランBOW]とし、開始部屋はとりあえず誰もいない[初心者部屋3-18]でプレイを開始した。
画面が暗転した後、地面近くから草原を見渡す綺麗なフィールド映像となり、その景色にサクラは思わず興奮の声を出した。PR動画を観て想像していたものよりもはるかに広大で綺麗だったからだ。
ここからは操作に関するチュートリアルであり、まずはそれにしたがって景色を回転させてみる(座っている椅子を足を使って自分で回してみる)。次に[飛んでみよう]ということで右手のボタンと左手のボタンを同時に押し左右の羽を動かしてみると地面の位置が低くなり、だんだんと高くなって綺麗な景色が遠くまで見えるようになってきた。そこで顔を前に付き出してみると徐々にスピードが出てきて空を飛んでいるような感覚になり、左手ボタンを離すと左旋回、右手ボタンを離すと右旋回をし、自由に空を飛んでいる鳥の気分になれた。しかしそれも束の間の事で、目の前の映像が回ることにより気分が悪くなってきたのである。
3D映像に慣れていない人に出る症状ではあるが、空の旅がもたらした負の感情に本人も困惑していた。とりあえず両手のボタンを離したところ、ゆっくりと地面が近づいてきて無事に着陸をしたが、再び空に飛びたつ気持ちになれなかったのである。
ゴーグルを外し、両親に「私、空を飛ぶの向いてないかも…気持ち悪くなった」と若干の泣き顔をしながら打ち明けるサクラであった。




