メリーとあにあに
…片思いは楽ちんだ。
好きな人を思い浮かべるだけで、幸せになれる。
小さい頃、教会での過ごした日々は、毎日嫌な事ばかりだった。失敗ばかりだった。どうせ明日も同じ事が続くのなら、せめて今日あった嫌な事は、今日のうちに忘れますようにと毎晩祈っていた。
村に来て、一日が終わってしまうのがもったいないと思うほどの、楽しい生活を知った。
私が笑うだけで幸せだと言ってくれる、私の家族。
今日は何をしよう、何があるだろうと目覚める度に、嬉しくなった。
恋をして、初めて。
昨日を、その前を、最初からを、想うようになった。
好きな人を思い浮かべる。それだけでこんなに毎日が変わるだなんて。
知らなかった。
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「……やっちまいな、チャロ」
…うぶっあばばっ!生臭っ!なまぐっさ!誰ですかチャロさんっ、なまぐっさぁ!ひどいっ顔がベタベタですっ
「…朝っぱら墓場で行き倒れている姉を見下ろす僕の心情の方がひどいものですよ」
…。
「兄兄の背中に隠れても遅いですよ姉さん」
いや、あの、えっと。カルロ君は今日は畑にいるとばかり。
「僕もそのつもりでしたけどね。まさか墓場で姉を起こすとは思いませんでした」
お使いのついでに、お掃除をば、ですね。
「…テオ師匠のお墓参りはわかるとして、正座したまま気絶した理由は?」
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「手紙の内容を考えていたら寝てしまったねぇ」
…まだお昼前なのですね。随分と寝てしまった気がします。一週間近く?
「墓場で熟睡しないでよ。手紙を出して何があったか聞くのはいいと思うよ。いつもの姉さんなら王都に走り出しそうなのに、よく耐えたね」
手紙…どうしましょう。鳥さん達は今子育てシーズンでお忙しいらしくて。
つがいを見つけられなかった鳥さん達はとっても荒んでしまって頼みずらくて。
「姉さん、手紙は明日ウォルトさんが町へ行くらしいから、配達は町から王都向けの便に頼めばいいって」
はて?この時期に行商さんは町におられますかね?
「レプス商会じゃなくて、なんだっけ、そうそう、グスコ隊?手紙や書類専門で早馬を出す人達にお願いするんだって」
ほぅほぅ。兄兄はよくご存知ですね。
「王都?武器?あぁ、昔からの常連さん、貴族はウォルト家に依頼をする時に早馬で先に知らせるって」
メリーは双子兄ウィダムの背に。
カルロは双子弟ウィガムの背に。
姉と弟はおんぶされながら、のんびりのんびり帰宅中である。
別に歩けないほどでもない距離なのだが。
双子はメリーを拾って帰る癖があるので、ウィービー家の弟達も生まれた頃から背負われており、
帰り道、双子に見つかる、乗るの展開に疑問が無いのだ。
…いやでも。カルロ君は一言も声を発していない双子とどうして会話が成立しているのだろう??
「さぁ?顔に書いてるでしょ?あと僕は目がいいからかな?」
カルロ曰く、冗談好きな双子兄、下ネタがツボの双子弟は性格は全く違うが、好みのタイプは同じらしい。
「手紙なら、ウィガム兄ちゃん、毎月ものすご~く熱烈な愛の手紙もらってたよね。ウィダム兄ちゃんは、詩だっけ?
巻き物で届いてたよね。参考にうちの姉さんに見せてあげてよ」
愛、愛の手紙?!
「いやでも、あの手紙をもらっても兄兄達が独身だから、あんまり効果ない?」
違いますよっ、辺境伯爵様と代表に、それとなくですね、お伺いしたいだけでですね。
「辺境伯爵様には父さんが聞くんじゃないかな?いや、母さんかな?」
お父さんとお母さんが、お手紙を書かれるのですか?
「いや、辺境伯爵宛には昨日?おとついの早馬が訪問を知らせてるから、明後日あたりに父さんが直接聞くでしょ」
明後日?
「うん。お姉ちゃんは気づいてないようだけど、お父さんもお母さんも、夜のうちに出発したよ?」
なんですと?




