回答者・メリー・ウィービー
なんでしょう?何が違うのでしょう?
妹扱い、女の子扱いなら、レプス商会のお兄ちゃん、お姉ちゃん達にしてもらっていました。
『メリーのスープはまた美味しくなったわ!』
褒めてくれたり、
『弓が上手くなったな。じゃぁ次はもっと遠くまで当てる練習するか?』
遊んでくれて、教えてくれて。
『都で流行っているのは、髪にリボンを編み込むんだよ。おいで。僕が教えてあげるから覚えなよ』
女の子らしい事をするのを喜んでくれる人がいて。
レプス商会のお兄ちゃんお姉ちゃんに会うと、こう、はしゃぎたくなるような嬉しさがあるのですが、
テオさんは、何かが違っていて。
カルロ君やダニエル君が言った通り、
必要な事だけをお話しする人です。
無駄口がない分、説明がそれは丁寧で。
もちろん商人さんだから当然なのでしょうが、あまり商売と関係ないことを一緒に考えてくれて。
あ、木細工の蒸し器はテオさんの発案ですね。一緒に図案を考えてもらいました。
ダニエル君にふっくらとしたパンを食べさせてあげたくて研究していた頃ですね。うん。蒸し芋パン美味しいですね。
おっと話がずれました。
とても穏やかで。目が合っても微笑むだけでこれといった会話がなくても、
それで良くて。
でもでも、悩んでたら、助けてくれるのです。小さい事、次に発注する砂糖の種類などでも、
果実酒用なら砂糖の種類によって味が変わるから、メリーさんの好みで作るならこっち。客用ならこの砂糖がって。
そう、必要最低限のお話しかしていないのに、私の好みを知ってくれている。
商人なら当然としても、嬉しくて。
宿がとても忙しくてお話が出来ない日もありました。
カルロ君とダニエル君が同時に風邪を引いてしまったのでお母さんがかかりきりになり、
その分、私があれをやらなきゃ、これもまだだって走り回ってた時に
あぁそうだ。洗濯物を回収しに階段を駆け登ろうとして、テオさんとすれ違いかけた時に、彼の手が伸びて_
ガシィッと顔を片手で掴まれました。
未だにあれが何だったのかわかりませんが、
「……。」
頭をぽんぽん。
それだけで、なんだか落ち着いてしまいました。
秋を待たず、次の商いの為にテオさんが旅立つ日、とても寂しくて。
私は思ったのです。
お兄ちゃんとは違うのかもしれない。
穏やかで、頼りになって、言葉があっても無くても、隣にいると落ち着いてしまう。
友達とも違う、お兄ちゃんとも違う
彼はきっと、私にとっての、理想の、
おじいちゃんではなかろうかと!
〈バッシーンッ!〉
「痛い!」
「そうきたか」
え?お母さんどうしてお父さんをムチ打ち?
カルロ君、口からお茶がダバーって落ちてますよ。
「この口か、アホなことを言うのはこの口か!」
ダニエル君、無理矢理スコーンを口に入れようとするのはやめて下さいっ
お口がパサパサになりまふっ
大丈夫です!あのっ、おじいちゃんとは違うって翌年には気づきましたから!
お、お父さんが言ってる、適切な距離じゃなかったことがあったのですっ。
…。
…。
〈バッシーンッ!〉
「痛い!」
「続けてメリー。お母さんぞくぞくしてきたわ」
続けて、大丈夫なのでしょうか。
えっと、その。どこから話せばいいか。
泣いて暴れていた私は、テオさんに押し倒されました。




