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宿屋のメリー告白大作戦  作者: ミツキ
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少女メリーとレプス商会


幼女メリーにとって、レプス商会の行商人達は親戚のお兄さん、お姉さんの感覚に近い。


彼らとの再会は、父のおかげである。

それまでは隣の町でしかまとまった行商をしなかった彼らが、父の宿が美味い飯を出すとの評判を聞きつけ、

泊まり宿に指定してくれたのがきっかけだ。


年に数度宿を利用する彼らも、代表に妙な技=夕立ち予測を伝授した少女を

とても可愛がってくれた。


もちろん、宿に泊まる顔ぶれは毎回変わっていたけれど、メリーは新たな技「お父さんとお母さんのお手伝い」をレプス商会の兄さん達に見てもらうのを楽しみにしていた。


お父さんとお母さんのお手伝い。


最初の年は、小さなメリーに出来る家事は限られていたので、

家庭菜園の水やり、洗濯物を畳む等の女の子らしいお仕事から始まり、


1年後には、家庭菜園の隣に薬草園。

金物屋を巻き込んでシーツ絞り機を開発。


数年後には、金物屋と粉屋を巻き込んで、自家製パスタ製造機を開発。

金型を替えるだけで4種類のショートパスタが作れる自慢の一品。


この頃になると、父・ロバートと相棒の犬・ニコルの指導により、

弓矢や罠を用いた狩猟もこなし始める。


そして褒めちぎるレプス商会の皆さんと親バカーズ。


誰も止めやしねぇ。


いや、元村長だけは、

馬の曲乗りを練習するメリーを

「…真似するバカが出ると行けないから、村はずれの草原でやれ」

と止めたとか。止められずに諦めただとか。


何にせよ、元村長が老衰により眠るように亡くなった後は


やっぱり誰も止めやしねぇ。


同年代の友人がいれば、やり過ぎであると気づけたかもしれないが、

人間の友人を作るのは難しかった。



メリーを養女に迎えた際、一部の村人達から反発があった。


__親戚から養子を取るべきだ。

__こちらは親切で自分の息子を養子に出してやろうと言ったのに、恩知らずな奴だよ。


確かに子のいない家庭に親戚筋から養子を迎える例が無いわけではない。

だがまだ若いウィービー夫妻に成人間近の次男、三男を押し付けようとする親戚は、数年前に野菜の仕入れを妨害したことを忘れているようで。親切心を裏切られたと好き勝手に噂した。

男連中が諌めても、女達は懲りずに我が子らに噂を吹き込んだのだ。


新人をからかうには良いネタだと調子に乗った男の子達は、もちろんその母親も返り討ちに合ったので割愛。


では女の子はというと、「レイラとメリーは、ちょっと無理」


安全な距離を図られた。


その間に長男カルロ、次男ダニエルが誕生。


家族が増えた報告をする度に、レプス商会の皆さんは「よかったな!お姉ちゃんだな!」と喜んでくれた。


元々、孤児であった物達を代表が集め、家族のように暮らしながら国内外を旅する彼らである。

教会で出会った頃の、人形のようなメリーが家族に愛されて生き生きと成長する姿を喜ばぬわけがない。


あと、彼ら自身が、秘境の奥地、最果ての離島、あるいは戦地でさえ生きて帰る傭兵の団体でもある。

多少の規格外は慣れっこ余裕だった。


なので。


朝靄たちこめる早朝。


村はずれ山道から遠く離れた藪の中から突如現れた


柿渋色の装束を全身にまとった怪しい女が


大イノシシを肩に担いでいようとも、


(あぁ、メリーか)(やっぱりメリーか)(イノシシうまそう)


レプス商会の皆さんはちっとも驚かなかった。


ただ一人、今回の旅が初参加の青年だけが、




「__宿屋の、メリーさん?」


「?はい。私はメリーです」


それが、二人が言葉を交わした初めての瞬間だった__




行商人さん、登場。


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