↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
宝箱にぱっくんちょされた俺、美少女になる  作者: 浦賀やまみち


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
5/6

第05話 その男、ドラゴンよりラーメン




「ふーーっ! 今日も快便! すっきりした!」



 ダンジョンの曲がり角から、身支度を整えつつ出てきた。


 身体が軽い。

 最高のコンディションだ。


 もう何も怖くない。



「わざわざ言わなくていいですから……。」



 子分Aが、引きつった笑みを浮かべる。


 知らないということは、時に罪である。

 実は、先ほどの戦闘で、世界は滅亡寸前だった。


 ミノタウロスの一撃を受け止めた、その瞬間。


 ぷりっ、と屁が出た。

 身体は、その音を『今こそ、開門!』と判断してしまったのだ。


 猶予は、一秒もなかった。

 俺は反射だけで、ミノタウロスを消し飛ばした。


 世界は、守られた。



「ところで、神崎さん」

「あん?」

「今更なんだが……。どうして、メイド服なんだ?」

「うっ……。」



 子分Bの質問に、俺は言葉を詰まらせた。

 ヒメノのコーディネートである。


 再会から、三か月。

 俺たちは今、一緒に住んでいた。


 あいつ、俺を着せ替え人形か何かだと思ってやがる。


 昨夜は、魔法少女にさせられた。

 二人で朝まで、大盛り上がりだった。


 心がぴょんぴょんした。



「……というか、スカートとかも最初から普通に穿いているよな」



 子分Cが、今まで誰も触れなかった核心を突いてきた。


 今の俺は、身体は女だが、心は男だ。

 できることなら、スカートは穿きたくない。



「バカヤロー! スカートはな、小便のときに楽なんだよ!」



 俺は唾を飛ばして怒鳴った。


 この身体は、思いっきり力むと、ちょろっと漏れる。

 ズボンだと、そのあとが目立つ。


 それに、穿いていて気持ち悪い。


 だから、ミニスカートが最適解と分かった。

 パンツを替えれば済む話だ。



「いや、そんなことを言われてもなー」

「あまり知りたくなかったなー」

「……姫様は可愛いんだから、そういう発言は止めようぜ?」



 ついでに言えば、パンツを横にずらせば、立ちションもできる。


 最近、マスターした。

 毎回いちいちしゃがむのは、やっぱり面倒くさい。


 もちろん、自宅ではやらない。

 ヒメノに怒られるからだ。


 この秘技を使うのは、ダンジョン内だけである。



「姫じゃねーつってんだろ!」



 男らしく、堂々とだ。




 ******




「なあ、お前らさ。ほうれん草、好きか?」



 俺は思い切って、子分たちに聞いてみた。

 最近、抱えている重大な悩みがあった。


 ラーメン屋の開業準備は順調に進んでいる。

 ギルド前の一等地を、俺自ら地上げし、今は店舗を建設中だ。



「いきなり何ですか! 戦いの最中ですよ!」

「バカヤロー! ラーメンのトッピング問題だぞ! 大事だろうが!」



 しかし、肝心のラーメンのトッピングに迷っていた。

 彩りを考えるなら、豚骨醤油に緑はあったほうがいい。



「もう農家と契約したぞ!」

「何だと! 俺、ほうれん草が嫌いなんだぞ!」



 ただ、俺は基本的に野菜が嫌いだ。


 男なら、肉だ。

 肉を食ってこそ、力が湧く。



「豚骨醤油には、ほうれん草が鉄板だろ!」

「だからこそ、敢えて外す! ラーメン革命を起こすんだよ!」



 ヒメノは野菜をしっかり摂れという。

 毎食出されるサラダを食べないと怒るから、仕方なく食べている。


 だが、俺はイモムシじゃねえ。



「なら、ワカメ!」

「それは違うだろ」

「だったら、長ねぎだ!」

「ありきたりだなー……。革命しようぜ!」

「そんなことより、早く倒してください!」

「ちっ……。うっせーなー」



 子分どもが頼りにならない。


 レッドドラゴンくらいにあたふたするな。

 親分の俺まで格が下がるだろうが。



「超必殺奥義! 六道輪廻、地獄極楽、曼荼羅、破軍んんんんんっ!」

「ドラドラアアアアアッ!?」



 うるさいので、仕方なく本気を出してやった。

 レッドドラゴンは、真っ二つになった。


 俺は、愛刀を納め、腕を組む。



「でさ、緑の食材って他に何ある? 野菜以外で」

「いやいや、ドラゴンを倒したんですよ!」

「そうだぜ! もっと喜ぼうぜ!」



 子分AとBの叫び声が、ダンジョン内に響き渡った。


 俺は、レッドドラゴンの死体を見た。

 顎を右手でさする。



「チャーシューの代わりに、ドラゴンステーキってことか?」

「ラーメンから離れろよ!」

「だけど、ドラゴンは滅多に出ないぞ? 仕入れが大変だろ?」

「そうじゃない!」



 ついには、子分Cまで叫びだした。



「とりあえず、試食してみるか」

「……火、起こしますね」

「今日は、ここでキャンプだな」

「水場、近くにあったよな?」



 だが、子分の話を聞くのも親分の仕事だ。


 ドラゴンの肉は、脂が強い。

 ラーメンには合わないと、俺は思うが。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。