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五章プロローグ
拝啓
こんな手紙、書くつもりなんてなかったのだけれど。
ねえ、元気にしてる?
つまらない話から始めさせてほしいな。
小さい頃、――はいつも、私の後ろをついて歩いていたよね。
私が転んだ日は、――も一緒に転んだふりをして、隣で泣いてくれた。
あの頃のことを、今でもよく覚えてるよ。
いつからだったかな。
――が、私の後ろではなく、私の影の中にいることに、私が気づいたのは。
ごめんね。
本当は、もっと早くに気づいてあげるべきだった。
気づかないふりをしていたのは、多分、私自身が怖かったからなんだと思う。
今、――が何を選び、どこへ向かっているのか。
おばさんから、少しだけ聞いたよ。
信じたくない、と思う私もいる。
それでも。
――が、自分の心で選んだ道なんだったとしたら。
私に、それを咎める資格なんてないんだと思う。
ただ、これだけは、伝えさせて。
どんな場所にいても、どんな姿になっていても。
――のことは、ずっと大切な自慢の弟だと思ってる。
だからもし、少しでも疲れてしまったら。
いつでも、帰ってきてね。
私は、これからも、ずっと。
――の、姉として、あなたを待ってるから。
――敬具




