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Youtuberの旅行オタクと方向音痴の魔法少女  作者: エアポート快特
第六章

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6章閑話

窓の外は、今日も曇っていた。


異界管理局管轄の拘置所。

デストロイの一件以来、この階層一帯には、通常の何倍もの結界と監視の魔法が張り巡らされている。

自力での脱出はまず不可能――そう判断するだけの理性は、栗島アキラにも、まだ残っていた。


彼は、久しぶりに、ぼーっとしながら、格子状の窓から外を眺めていた。


(面白いものだな。私が、こうして何もせず、ただ景色を眺める側に回るとは)


これまでの人生で、彼が「無駄な時間」というものを許容したことは、一度もなかった。

一分一秒が、実験のための資源だった。

だが、この独房の中では、その資源を使う先が、何一つない。


不思議と、焦りはなかった。


(まあ、慌てる必要もないか。私の役目は、もう、あの子たちに引き継がれている)


脳裏に浮かぶのは、二人の娘の顔だった。


一人は、道具として育て上げた、感情の乏しい娘。

もう一人は、まだ何も知らない、無邪気な娘。


どちらも、彼にとっては、長い実験の延長線上にある存在に過ぎなかった。

それを冷たいと詰る者もいるだろう。

だが、彼の中に、罪悪感という感情は、最初から実装されていなかった。


(浅野の血は、今どこまで育っているだろうな。 そら君は、ちゃんと役目を果たしているだろうか)


考えることは、いくらでもあった。

壁一枚隔てた向こうの世界がどうなっていようと、彼の思考だけは、どこまでも自由だった。


格子の隙間から差し込む、灰色の光。

それを眺めながら、栗島アキラは、口の端を、僅かに持ち上げた。


「――さて。こうなった以上、私にできることは、もうないみたいだな」


その呟きは、誰に届くでもなく、静かな独房の中に、溶けて消えていった。

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