113/134
六章プロローグ
お母さんへ
私のことを忘れてしまってから、かなり時間が経ったような気がします。
元気にしていますか?
私は最近、昔好きだった男の子の家で、メイドとして働いています。
今時メイドなんて、私も変だと思うんだ。
時代が100年も遡った感覚の中にいる気分だよ。
あとね、お母さん。
私の妹が、高校の数学のテストで満点を取ったんだって。
高校の数学ってあんなに難しいのに、やっぱりあの子は、私の自慢の妹だよ。
だから、お母さんにまた会えたら、絶対紹介するね。
お母さん、絶対気に入ってもらえると思うから。
だから……早く記憶を取り戻してね。
そしたら、また、おじさんが生きていたときみたいに、いっぱいいっぱいいろんなところに旅行に行こうね。
お体にはお気を付けください。
――敬具




