五章おまけ ヒマリ教授の鉄道講座〜東京駅のホテル〜
修正しなければならない箇所が多数発見されたため、再投稿いたします。
コメントしてくださった方、ありがとうございました!
「『YouTuberの旅行オタクと方向音痴の魔法少女』の読者のみなさん! ヒマリ教授の鉄道講座のコーナーへようこそ」
カメラの赤いランプが点灯すると、白衣姿のヒマリがいつも通り優雅にお辞儀をした。
「ようこそ~!」
その横から、アサが元気よくフレームインしてくる。
「というわけで、いつもどおりこのコーナーを担当するヒマリと」
「アサよ!」
「というわけで第5章、皆さんいかがでしたか? この章ではいろんなことがありましたが、なかでも大きな出来事は、終盤の東京駅の丸の内広場でのカイトとの戦闘でしたね!」
「そうそう。あの記念碑の台座に座らされて、なんか妙にしみじみした話をされたわ……。あれはいったいなんだったのかしら?」
アサが、当時を思い出すように腕を組んだ。
「というわけで今回は、あの戦闘の舞台となった、東京駅の丸の内駅舎について解説していこうと思います」
「え、意外とちゃんとした企画。てっきりまたどうでもいい小ネタかと思ってたわ」
「失礼ですね。……コホン。まず、あの赤レンガの駅舎、正式名称は東京駅丸の内駅舎といいます。建てたのは、辰野金吾という建築家です」
「辰野金吾……なんか聞いたことあるようなないような」
アサが首を傾げると、ヒマリはすかさずフリップを取り出した。
「日本銀行本店も手掛けた、明治から大正にかけての大建築家ですよ。あの駅舎は1914年、大正3年に完成しました」
「もう100年以上前ってこと? 全然そんな古さを感じないわ!」
「実は、あの駅舎……一度、今の姿とは違う姿になっていた時期があるんです」
「え、どういうこと?」
アサが身を乗り出す。
ヒマリは、待ってましたとばかりにフリップをめくった。
「戦争中の空襲で、屋根や上層部が焼け落ちてしまいました。1947年に丸いドームの代わりに八角形の屋根をのせた、2階建ての簡素な姿で復旧して、なんとその姿のまま60年以上も使われていました」
「そうだったの!? じゃあ、あの立派なドームは……」
「はい。2012年に、創建当初の姿に復原する大工事が行われて、今の3階建て、南北二つのドーム屋根を持つ姿に戻ったんです。私達が普段見ているあの姿は、いわば『蘇った姿』なんですよ」
「へぇ……歴史があるのね。てっきりずっとあのままだと思ってたわ」
「ちなみに、作り直す『復元』ではなく、元の姿に戻す『復原』と呼ぶんです!」
アサが、感心したように駅舎の写真の方角へ視線を向けた。
「そして、今回一番紹介したかったのが、これです」
ヒマリは、新しいフリップをバッと取り出した。
「あの赤レンガ駅舎の中に、実は本格的なホテルが入っているのを知っていますか?」
「え、ホテルって、駅の中に?」
「はい。『東京ステーションホテル』といって、駅舎の2階から4階部分を使った、由緒あるクラシックなホテルなんです」
「駅の真上に泊まれるってこと? なんか変な感じね」
「変な感じどころか、鉄道ファンからすると夢のような空間なんですよ。ドームの内側に面した『ドームサイド』の客室があって、窓から駅の改札が見えたりするんです」
「へぇ……。それは、確かに気になるかも」
アサが、興味深そうに目を輝かせた。
「ロビーラウンジで、優雅にお茶やお食事を楽しむのもいいですし、宿泊しなくても駅構内から見上げるだけで楽しめるので、東京駅を訪れた際は、ぜひ上を見上げてみてほしいですね」
「今度、ハルト君と行ってみようかしら。……あ、でも、また鉄オタトークが長くなりそうで怖いわ」
「否定できないところが、彼なんですよね……!」
ヒマリが澄まし顔でそう答えると、アサは呆れたように肩をすくめた。
「というわけで、本日のヒマリ教授の鉄道講座はここまで。また本編でお会いしましょう」
「ばいば〜い!」
二人は仲良く手を振ると、ブースの照明が静かに消えていった。




