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紫導家ヒストリー  作者: AliceMa
第1章〜紫導家〜
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EP30〜呪い〜

挿絵(By みてみん)


 嵐華らんかが怪我をしてから1週間——。


 頬の腫れも口の中の傷もきれいに治り、殴られた後遺症も全く見られない。


 本来であれば、正式に任務復帰が見えるはずだった。


 訓練場で神威かむい黒葉くろは緋織ひおりが集まる。


 その視線の先には正隊員のみが着用を許される黒の訓練服を纏い、準備運動をしていた嵐華の姿があった。


 今から行うことは、嵐華のIRIS隊員の資質を問う試験。


 2日前——。


 IRIS幹部会議室——。


 神威、黒葉も含めた幹部全員が集まっていた。


 議題は……「紫導嵐華のIRIS隊員としての継続可否について」。


 この議題を見た瞬間、神威と黒葉の顔は曇る。


「なんだ…………これは!?」


「……ふざけているのですか!?」


 どちらの声にも怒りが表れていた。


 一番古株の幹部が淡々と答える。


「紫導嵐華は一般人に負けたんだ……一般人に負ける隊員が任務を任せられると思うか?」

「雷は希少だ、だがそれだけだ」


 他の幹部も言葉を続ける。


「任務はIRISの外でもある」

「急な野良能力者発生や、能力犯罪……不測の事態が起きた時、本当に動けるのか?」

「そんなレベルでは正隊員は無理だ」


 神威はその言葉に即座に怒りをぶつける。


「そのレベルに達していたから正隊員にしたんだろ!!それも16歳の特例で!!」

「都合が悪くなれば切り捨てる?ふざけてるのか!?隊員をなんだと思ってる!?」


 だが、幹部は淡々と返事をする。


「”娘を”……だろ?そもそも君達を大将、大将補佐にしているが、君達がSSランクにならなければ、今も現場で仕事をさせていたさ」

「君達にそもそもこの上層部の部屋で発言する権利も本来ないんだよ」


 発言権のないただのお飾り。


 そう言われていることと同義の言葉を受け、固まる。


「……なんだと?」


「……今まで私達の意見が通りにくかったのも……そういうことなのですか?」


 一部の幹部は鼻で笑っていた。


「ようやく気づいたか……君達の意見を通したものは我々にもメリットがあっただけだ」

「断じて、君達の意見を丸々受け入れたわけではない」


 2人は拳を握りしめ、無言で立っていた。


 幹部になったのは隊員を、家族を守る為。


 だが、そもそもそんな権利すらなかった。


 絶望へ気持ちが傾きかけた時、幹部の1人が発言する。


「まぁまぁ……まだ紫導嵐華が隊員を続けられるかどうか調査する段階だ」

「まずは本人とも話をして、しっかり精査をしよう」

「皆さんもそれで良いね?」


 他の幹部は一番古株の幹部へ目線を送る。


「……いいだろう」

「……だが、選定基準はどうする?」


 神威が黙っている中、黒葉が口を開く。


「……その選定は私が対応いたします」


「出来るのか?娘だぞ?」


「私は立場上は大将補佐です」

「必ず……必ず公平に判断いたしますので……お願いします」


 黒葉は深く頭を下げる。


 その姿を見て、神威も大将として、黒葉と一緒に頭を下げる。


「いいだろう……では近いうちに対応してくれ」


「はい……」


 黒葉は頭を下げながら返事をする。


 神威はずっと拳を握りしめ、血が滲み出ていた。


 ……


 そして、会議が終わり、神威と黒葉は執務室へ戻る。


 応接用のテーブルに神威は全力で右手を振り下ろした。


 テーブルにはヒビが入り、腕は震えながらも離れない。


 掠れた声で神威は呟く。


「……くそ……無力だ……俺は!!」


 黒葉は神威の腕に触れる。


「神威さん……まずは手の手当をしましょう」


「黒葉……すまない……俺が……あいつらを信じたばっかりに……!!」


「……大丈夫です……まずは嵐華を信じましょう?」


「……ああ」


 神威の腕を治療中に、内線が入る。


 黒葉が電話に出る。


「……はい、大将執務室です」


 幹部の1人からの電話だった。


『黒葉大将補佐か?……すまないな……さっきの会議では……』

『私は幹部の中で若い……君達の前に入ったからね』

『君の娘の処遇については……試験は必要だが、必ず本人の意思を捻じ曲げるようなことがないように善処するよ』


「はい……ありがとうございます!!」


 幹部の中にも自分達の味方がいる。


 それだけでも気持ちが前向きになる。


 こうして、嵐華の試験用の項目を選定し、試験へ臨んだ。


 ……


 そして、試験の日を迎える。


 嵐華は準備運動が終わり、腰に両手を添え、一呼吸。


 神威が申し訳なさそうに声をかける。


「嵐華……今から試験を開始する……」


「どうしたの?元気ないよ?」


「……すまないな……本当はこんなことしなくても良いんだが……」


 神威が俯いていると嵐華が優しく抱きしめる。


「……嵐華?」


「お父さんとお母さんが私のこと守ってくれてるって知ってるから……頑張る」


「……ああ」


 神威から離れると、嵐華は黒葉から試験の説明を受ける。


「嵐華……今から受ける試験では一切の能力を使うのを禁止とします」

「なので……これを付けてください」


 黒葉は金属製の腕輪を嵐華に渡す。


「これは?」


「能力を使用した際に反応してログを残す物です」

「これは特定の社会的に影響が高い能力に対して義務付けられるものなのですが……今回の試験では判定の為に使います」

「嵐華のことは信頼していますので、必要ないと思っています」

「でも……」


 嵐華は腕輪を左腕に躊躇なく取り付ける。


「嵐華?」


「大丈夫、納得しない人がいるんでしょ?」

「お母さんは何も悪くないよ♪」


 嵐華のいつもの笑顔にいつもなら癒される。


 だが、今回はその笑顔を見るのを辛かった。


 黒葉はすでに結果どうなるか分かっていたから——。


 それでも実行しなければいけない。


「嵐華、それでは試験を始めますね」


「うん」


 最初の試験は「体力測定」。


 筋力、持久力、柔軟性、敏捷性、瞬発力と一通りの測定が行われる。


 嵐華は黙々と各項目を受ける。


 しばらくして——。


 最後の項目が終わり、黒葉が嵐華を労う。


「はい、これで終了ですね」

「少し休憩しましょうか♪」


「分かった♪」


 ベンチで座り、スポーツドリンクを飲んで休憩する。


 嵐華の横に緋織が座り、談笑していた。


 その間に測定結果を黒葉が確認していると、神威も一緒に見る。


「……動く分には問題はなさそうだな」


「はい、基礎能力なら問題ありませんね」

「そもそもここまでは、すでにIRISでデータ化されていますし、そこまで変化はありませんね」


 結果だけ見れば、嵐華は「十分に動ける」。


 体格は訓練やトレーニングで鍛えているとは言え、そこまで筋肉質ではなく、バランスが取れている。


 一般女性の平均より遥かに高く、任務に関わる女性隊員と比較しても同等、またはそれ以上の数値を叩き出していた。


 ただ、数値だけ見れば、緋織の方が全数値上。


 この結果を嵐華にも共有し、嵐華は少しだけ安堵するように息を吐いた。


(良かった……何も出来ないわけじゃない……)


 それだけでも確認出来て、救われた気持ちになる。


 だが、ここから能力を使わないことがどれだけ嵐華を縛るのかを自覚させていく。


 次の試験は「射撃試験」。


 固定された的、動く的をそれぞれ10枚ずつ狙う。


 嵐華が拳銃の状態をチェックし、そのまま構える。


 まずは固定された的から。


 嵐華の伝達速度はOFFのまま、初めて射撃をする。


 少し緊張しながらも、落ち着いて狙う。


 いつものような異常な精密速射は出来ない。


 ゆっくり、確実に1発ずつ的のど真ん中へ当てていく。


「綺麗ですね」


 嵐華の射撃に頷きながら素直な感想を漏らす。


 1発、また1発と、静かな射撃の音が響きわたり、10枚の固定の的は全て”中心”だった。


 だが、的が動くようになると、全く異なる結果となった。


 ランダムな高さから左から、右からとスライドして動く的に照準が全く合わない。


(いつ出てきたのか全く分からない……)

(いつもなら見た瞬間にどこへ撃てば良いか理解出来たのに……迷う)


 タイミングが合わず、狙いがずれ、さらに的の中心に当たらない。


 さらに狙いすぎて時間がかかり、結果は散々だった。


「動く的に対して極端に落ちましたね……」


 緋織はこの精度の落ち方に驚いていた。


「しかし、銃自体は訓練や任務中にしか持てませんから、戦闘モードに入っているでしょうから許容範囲ですね」


 黒葉がそう言うと、緋織はその意図を感じ取る。


(許容範囲……?この結果の対策は考えてるみたいですね)


 緋織が疑問に思っている中、黒葉は嵐華に声をかける。


「嵐華、お疲れ様です」

「では、休憩してから、最後の試験に移りましょうか」


 嵐華は微笑んで頷くが、どこかぎこちなかった。


 思ったような結果が出なかった……それは明らかだった。


「……大丈夫です、拳銃はそもそも準備万端の時しか使わないんですから♪」


 黒葉は笑って、嵐華の頭を優しく撫でる。


 嵐華に緋織が付き添いながら、休憩に入る。


 だが、黒葉も不安が段々大きくなってきていた。


 この射撃試験の結果で、さらに次の試験の難しさを感じる。


 神威が黒葉にだけ聞こえるように声をかける。


「……次だな」


 黒葉は目を瞑り、答える。


「……ええ、”ボクシング”ですね……」


 嵐華と話している緋織はちらっと神威と黒葉を見ていた。


(……やはり……もう結果が分かってる……)


「緋織?どうしたの?」


 緋織は少し微笑み、嵐華の顔へ向き直る。


「いえ、何もありませんよ?」

「次の試験も頑張りましょう」


「うん」


 そして、最後の試験に臨む——。


 最後に確認するのはボクシング。


 嵐華のガンナー&ボクサーという中距離、近距離を即座に切り替えて戦う戦法。


 このボクシングは嵐華の戦闘スタイルの「核」となる部分。


 さらにこのボクシングは本来、嵐華が能力を使えない時の自衛を目的として、神威が教えていたもの。


 能力が使えなくても最低限、自分の身を守れるように。


 だが、伝達速度の強化という雷の副産物が出来てしまったことで、その考えが根底から覆ってしまっていた。


 まだ神威も戦闘モードではない時のボクシングを知らない。


 普段から訓練時でも戦闘モードに入るように教えていたから……。


(あの時……確認していれば……)


 神威は過去の選択を悔やむ。


 俯いている神威に男性隊員が話しかける。


「大将、大丈夫ですか?」


 IRISのエース隊員、賢治けんじだった。


「ああ、賢治大尉か……どうした?」


「いえ……今から嵐華少尉は何かするんですか?」


 賢治が指差した方向に嵐華がシャドーをしている姿があった。


「ああ……試験をしている」


「試験?何の?」


「……IRIS隊員を続けられるかどうかだ」


 その言葉に賢治は目を見開く。


(あの嵐華少尉が?なんで?……まさかあの負傷か?)

「……俺も見ても?」


「ああ、問題ない」


(どれだけ極端なのかは正直気にはなるな……それにしても……)


 賢治は神威の顔を見る。


 神威の目はどこか遠くを見ているような……何かを諦めているような……そんな感情が賢治には見えていた。


 黒葉が嵐華のそばに行き、試験の順番を話す。


 そして、黒葉、緋織、神威、賢治は並んで、嵐華の試験の様子を見る。


 嵐華はグローブを装着し、リングサイドで軽くシャドーを始める。


 フォームは綺麗だった。


 ジャブ、フック、アッパー、そしてストレート。


 神威に仕込まれた基礎は身体に染み付いていた。


 賢治は何も言わないが、頷いて感心していた。


(動き自体はちゃんとしてるな)

(しっかり鍛錬してる証拠だ)


 続いてサンドバック打ちに入る。


 嵐華がジャブを打ち込み、フック、リバーブロー、ストレートと繋げる。


(…………っ!!)


 だが、思ったよりサンドバッグが揺れない。


 嵐華は困惑していた。


(……芯が見えない……当たらない!?)


 賢治は眉をひそめながら呟く。


「……あの時と全く威力が違う?」

「雷を使っていなかったし、技術で出せるなら関係ないと思ったが……」


 賢治の独り言に黒葉が説明する。


「嵐華の体力測定の結果を踏まえても、威力に関してはこれが妥当ということです」

「戦闘モードにも入っていませんので、打撃ポイントが安定していません」

「スピード、角度、そして点で捉えることで、初めて賢治大尉が見た威力になりますね」


「なるほど……確かに極端ですね」


 何度もコンビネーションでサンドバックに打撃を繰り返すが、結局、本来の威力は1発も出せなかった。


「はぁ……はぁ……なんで……?」

(戦闘モードに入れないと……止まってる相手でも?)


 嵐華の焦りはさらに募っていった……。


 最後は「スパーリング」。


 相手は嵐華と同期の育成生であり、ボクシングの実力は同期の中では嵐華に次ぐNo.2。


 だが、嵐華が育成生の時に何度かスパーリングした際には何も出来ず、ノックアウトされている。


 その記憶があるだけに、相手も嵐華に対して違った緊張を持っていた。


「嵐華……今回は負けねぇぞ」


「うん、よろしく」


 お互いヘッドギアを装着し、スパーリングを開始する。


 拳を合わせ、距離を取る。


(まずは小手調べだな)


 相手は左ジャブを繰り出す。


(!?)


 嵐華は全力でブロックする。


 嵐華は後退し、すでに動揺しながら冷や汗を流す。


(……あれで?ただのジャブだぞ?)


 嵐華は相手を見る。


(……始点が全く見えなかった……)


 いつもなら何が来るのか、どう対処するかが全て手に取るように分かっていた。


 その感覚がない。


 まるで、相手が霧に包まれているみたいな……そんな感覚が嵐華を襲う。


 相手も困惑しながらも、攻撃を繰り出す。


(!!右ストレート!!)


 相手の動きを見て、避け、飛び込もうとする。


 だが——。


(っぐ!?)


 ボディに左のボディーブローが突き刺さる。


 嵐華はなんとか耐え、体勢を整える。


(なんで?フェイント?全然分からない……)


 呼吸を整え、嵐華も攻撃を始める。


(落ち着け……お父さんから教えてもらったことを!!)


 ジャブ、フック、ストレート。


 単発だけではなく、フェイントを織り交ぜたコンビネーションもする。


 傍から見れば、綺麗なフォームで確かな技術で相手を押しているように見えた。


 だが、神威や賢治、黒葉……そして、相手も分かっていた。


(ただ基本を繰り返してるだけだ……)


(フェイントにも全く殺気がない)


(逆に相手は何が来るか手に取るように分かっていますね……)


(弱えぇ……これがあの嵐華か?)


 嵐華は神経をすり減らしているのか、息切れを起こしていた。


 まだスパーリングを始めて1分ほどしか経過していない。


 相手はリベンジする機会を伺っていた。


 だが、もうその気持ちは今回持ち合わせていなかった。


 相手はため息を吐き、小さく呟いた。


「(もういいよ……おまえのそんな姿見たくねぇよ)」


 嵐華がジャブを繰り出した瞬間——。


 ヘッドギア越しだったが、右フックでのクロスカウンターを叩きこまれ、ダウンする。


 嵐華は自分が何を被弾したのかも理解しておらず……ただ床を見ていた。


「嵐華!!」


 緋織がリング内に入り、嵐華を介抱する。


 相手が緋織に喋りかける。


「軽くカウンターを入れただけだから、すぐに回復するだろうよ」

「どんな意図があったか俺は聞いてないが……がっかりだったよ」


 緋織は相手を睨みつけるが、本来の嵐華ではなかったことは事実。


 唇を噛み締め、悔しさを滲ませていた。


 そのスパーリングを見ていた周囲は唖然としていた。


 あの紫導嵐華が育成生に負けた?


 それもボクシングで?


 逸材……傑物……とまで言われていたあの嵐華が?


 正隊員もその場にいて、育成生達と同様に驚いていた。


 賢治はスパーリングの様子を見て察していた。


「これは……」


 神威も結論を出す。


「ああ……反射神経が……ないに等しい」


 嵐華はカウンターのダメージを負ったままだが、介抱してくれている緋織に聞く。


「私……どうなってるの?」


 緋織は目を逸らさずに答える。


「嵐華……私も見るまではここまでとは思っていませんでした」

「反射神経が……多分、無いわけではありません……日常生活は大丈夫ですから……でも、あまりにも遅いです」

「戦闘モードをOFFにしていることで、本来人間としてあるはずの反射神経もほぼOFFになっているのかもしれません」

「恐らく……正隊員の誰にも勝てない可能性があります……少し格闘技をかじった人にも……」


 嵐華は緋織の言葉に瞳が揺れる。


 動悸が治まらない。


「はぁ……はぁ!……はぁ!!……っ!!」


「嵐華!?嵐華!?しっかりしてください!!」


 神威が即座に動く。


「担架だ!!医療班早く!!」


 嵐華の意識が遠のき、そのまま医療施設へ運ばれた。


 その一報は紫導グループにも共有され、氷華ひょうか炬乃恵このえ愛里あいり瑞帆みずほも訓練後に向かった。


 IRIS医療施設内の病室——。


 嵐華は落ち着いて眠っており、緋織と神威、黒葉がベッドの近くの椅子に座っていた。


「嵐華姉!!」


 病室へ入ると開口一番、愛里が大声で呼ぶ。


 黒葉が指を自身の口に当て、静かにするように促す。


「(ごめん……嵐華姉、大丈夫?)」


 緋織が少し気を落としながらも答える。


「大丈夫です……今は落ち着いて眠ってます」


 嵐華は穏やかな吐息を吐きながら眠っている。


 だが、その目からは涙が流れた痕があった。


「嵐華……」


 氷華が嵐華の涙に気づき、近くに寄る。


「何があったのか……聞いてもよろしいでしょうか?」


 神威と黒葉は氷華達に事情を説明する。


 ……


 聞き終えると氷華は小さく呟く。


「間違ってます……そのような考えなんて……人々を守る組織としておかしいです……」


 氷華の言葉に黒葉が答える。


 その言葉は決意を語っていた。


「……だからこそ、しっかり守らなければいけません」


 この時、この場にいた全員が理解した。


 雷の能力が生み出した副産物「スイッチ」。


 それは便利な切り替えではない。


 ONの時は現役隊員と対等、それ以上の力を持つ。


 だが、OFFになれば……ただ能力が使えなくなるだけではすまない。


 本来持っている反射神経すら、命を懸ける現場では致命的だった。


 それは神威、黒葉でさえ思った——。


「呪い」


 そう呼ぶのが相応しかった。

次回、EP31〜内紛〜

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