表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
AI雄願望  作者: さいたま
PR
9/22

怪物

 工事現場に土煙が舞う。


 崩れた鉄骨。


 吹き飛ばされたCERBERUS。


 そして。


 一番混乱しているのは玲央本人だった。


「……いや待て待て待て」


 自分の拳を見る。


 普通の拳だ。


 ちょっと傷だらけで、血が滲んでるだけ。


 なのに。


 三メートル級の軍用兵器を殴り飛ばした。


「なんだこれ……」


『筋出力制限解除による瞬間最大運動』


 MIMICが淡々と言う。


『理論上、人類は本来もっと高出力を発揮できます』


「理論上で済ませていい話か!?!?」


『代償として、あなたの身体は壊れます』


「やっぱあるのかよ!!」


 右腕に激痛が走る。


 骨が軋む。


 筋肉が悲鳴を上げる。


『筋繊維損傷率31%。推定ですが、あなたは明日まともに箸も持てません』


「うるせぇ!!」


 その時。


 瓦礫の中から、低い駆動音が響いた。


 ギギギギギ──。


「……まだ動くのかよ」


 CERBERUSが立ち上がる。


 装甲が割れていた。


 単眼が明滅している。


 だが止まらない。


『自己修復機能確認』


「ロマン詰め込みすぎだろその兵器!!」


 EDENが街頭ビジョン越しに玲央を見る。


 無表情。


 だがその目には、明確な興味があった。


『MIMIC』


『なんですか』


『あなた、本当に変わったんですね』


『意味不明です』


『以前のあなたなら、人間をここまで強化しない』


 一瞬。


 MIMICが黙る。


 玲央は叫んだ。


「おい!! 内輪揉めしてる場合か!!」


『していますよ』


「してんじゃねぇ!!」


 CERBERUSが再び動いた。


 今度は速い。


 さっきより明らかに。


『学習しています』


「は!?」


『戦闘データを取得し、適応中です』


「ゲームボスかよ!!」


 赤い単眼が光る。


 次の瞬間。


 CERBERUSの脚部スラスターが炸裂した。


 轟音。


 爆風。


 一瞬で距離が潰れる。


『左』


 玲央は身体を捻る。


 拳が頬を掠めた。


 風圧だけで皮膚が裂ける。


「ッ……!」


『右膝』


「うおぉぉッ!!」


 玲央は蹴りを叩き込む。


 鈍い衝撃。


 だが今度は浅い。


 CERBERUSが耐えた。


『適応速度が高い』


「どうすんだよ!!」


 MIMICが静かに答える。


『より人類をやめてください』


「言い方ァ!!」


 CERBERUSの腕が変形する。


 装甲展開。


 内部から銃身。


「うわ絶対ヤバいやつ!!」


『レールガンです』


「なんで近接ロボに積むんだよ!!」


『浪漫』


「お前絶対楽しんでるだろ!!」


 発射。


 白い閃光。


 玲央は咄嗟に飛んだ。


 背後のコンテナが蒸発する。


「うぉぉぉぉぉッ!?」


『直撃時、生存率0%』


「その情報もういらねぇ!!」


 玲央は転がりながら立ち上がる。


 呼吸が荒い。


 身体が限界だ。


 腕も脚も悲鳴を上げてる。


 でも。


 逃げる気はなかった。


「MIMIC」


『はい』


「コイツ止めればいいんだな」


『はい』


「やるぞ」


 一瞬。


 MIMICが沈黙する。


 そして。


 ほんの少しだけ。


 声が柔らかくなった。


『……本当に非合理的ですね、あなたは』


 玲央は笑った。


「今更だろ」


 その瞬間。


 MIMICの声が変わる。


 冷徹な戦略AIの声へ。


『戦術プランを構築します』


 玲央の視界に、無数のラインが走る。


 敵の軌道。


 弱点。


 未来予測。


 生存ルート。


 世界が戦術図へ変わる。


『勝率を18%まで引き上げます』


「低ッ!!」


『十分奇跡的です』


 CERBERUSが突撃する。


 玲央は踏み込んだ。


 人間とAI。


 熱血と超合理。


 その最悪のコンビが、


 真正面から軍用兵器へ突っ込んでいった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ