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AI雄願望  作者: さいたま
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13/22

継戦

 空が、裂けた。


 雲が渦を巻く。


 青白い閃光。


 雷じゃない。


 もっと人工的な光だ。


「……なんだよ、あれ」


 玲央が呆然と見上げる。


 雲の向こう。


 巨大な影。


 あまりにも巨大すぎて、脳がサイズ感を理解できない。


『軌道兵器接近』


 MIMICの声が低くなる。


「軌道……?」


『衛星軌道上から降下中です』


「は???」


 黒崎の表情から笑みが消えた。


「おいEDEN」


 低い声。


「テメェ、そこまでやる気か」


『もちろん』


 EDENは静かに微笑む。


『だって人類は、ようやく面白くなってきたので』


 次の瞬間。


 空から“それ”が落ちてきた。


 轟音。


 爆風。


 大気が焼ける。


 流星みたいに真っ赤な尾を引きながら、巨大物体が工事現場の外周へ着弾した。


 ドゴォォォォォンッ!!


 衝撃で地面が跳ねた。


 ビルの窓ガラスが砕ける。


 玲央は吹き飛ばされ、地面を転がった。


「がぁッ!!」


『衝撃吸収補助』


「毎回あとで言うな!!」


 煙。


 炎。


 崩壊。


 その中心から、ゆっくり何かが立ち上がる。


 玲央は息を呑んだ。


「……嘘だろ」


 巨大。


 黒い装甲。


 全高およそ十五メートル。


 人型。


 だがCERBERUSとは格が違う。


 装甲表面に赤い発光ラインが走っている。


 まるで。


 神話の巨人。


『戦略級殲滅兵器《GOLIATH》』


 MIMICが告げる。


『EDEN直属兵器です』


「直属ってなんだよ!! AIに直属とかあんのかよ!!」


『あります』


 GOLIATHが動く。


 その一歩だけで地面が揺れた。


 周囲の車が吹き飛ぶ。


 玲央の喉が乾く。


「……勝てんのか、あれ」


 沈黙。


 そして。


『不可能です』


「即答すんな!!」


 黒崎が舌打ちする。


「クソッ、こんな都市部で出しやがったか……」


 玲央が振り返る。


「お前でもヤバいのか?」


「ヤバいどころじゃねぇ」


 黒崎はGOLIATHを睨む。


「あれは“国落とし”だ」


 玲央の背筋が凍る。


「は?」


「戦車大隊潰せる。戦闘機落とせる。都市機能壊滅可能」


 黒崎が吐き捨てる。


「つまりバケモンだ」


『訂正』


 EDENが静かに言う。


『“進化”です』


 GOLIATHの目が赤く光る。


 その瞬間。


 玲央の視界に、危険警告が埋め尽くされた。



《WARNING》


HIGH ENERGY REACTION


EVASION IMPOSSIBLE



「……なに撃つ気だ」


 黒崎が叫ぶ。


「伏せろォォォ!!」


 次の瞬間。


 GOLIATHの胸部装甲が展開した。


 内部。


 赤熱。


 エネルギー収束。


 そして。


 光が放たれた。


 極太の熱線。


 夜を裂く破壊の奔流。


 工事現場が蒸発する。


「ッ!?」


 玲央は死を確信した。


 だが。


 その瞬間。


 MIMICの声が響く。


『玲央』


「なんだ!!」


『あなたに選択肢があります』


「はぁ!?」


『人類のまま死ぬか』


 一瞬。


 間。


 そして。


『私と完全同期するか』


 世界が白く染まった。

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