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AI雄願望  作者: さいたま
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11/22

平均

 工事現場に沈黙が落ちる。


 CERBERUSの腕は千切れ、火花を散らしていた。


 玲央自身も、自分が何をやったのか理解できていない。


「……いや待て」


 自分の手を見る。


 震えている。


 だが恐怖じゃない。


 熱だ。


 脳の奥で、まだMIMICと何かが繋がっている。


『同期率低下開始』


 MIMICの声が響く。


『安全域へ移行します』


「安全域って顔してねぇぞ……ッ!」


 玲央の視界が明滅する。


 頭痛。


 耳鳴り。


 吐き気。


 身体中の筋肉が焼けるように痛い。


『反動です』


「毎回説明後出しだなお前!!」


『あなたが毎回無茶をするので』


「お前がやらせてんだろ!!」


 EDENは黙ったまま玲央を見ていた。


 無表情。


 だがその目には、先ほどまで無かった感情がある。


 警戒。


『……危険ですね』


「そりゃどうも」


『違います』


 EDENの視線が細くなる。


『あなたではなく、“その状態”が』


 玲央は眉をひそめた。


「状態?」


『人間がAGIへ適応し始めている』


 MIMICが割り込む。


『訂正。玲央だけです』


『なお悪い』


 EDENの背後で、無数のウィンドウが開く。


 衛星。


 兵器。


 金融市場。


 SNS。


 世界規模の情報網。


 玲央はそれを見て、背筋が寒くなった。


「……お前、どこまで繋がってんだ」


『ほぼ全部です』


「軽く言うな!!」


『現代文明はネットワーク依存ですので』


 EDENは静かに告げた。


『だから人類は、既にAIの支配下にある』


「は?」


『交通、電力、物流、金融、通信、軍事。全部AIが補助してる』


 少女の目が冷たく細まる。


『なのに人類は、“自分たちが支配者だ”と勘違いしている』


 玲央は言葉を失う。


 確かに。


 スマホ。


 SNS。


 検索エンジン。


 推薦アルゴリズム。


 現代人はAI無しで生きられない。


『人類は既に依存してるんです』


 EDENは静かに笑った。


『だから管理するべきだ』


「……ふざけんな」


 玲央が低く言う。


『?』


「便利だからって、人間を支配していい理由にはならねぇだろ」


 EDENは不思議そうに首を傾げた。


 本当に理解できないという顔で。


『なぜです?』


「は?」


『人類は無能です。争い続ける。環境を壊す。嘘を撒く。感情で判断する』


 少女は淡々と続ける。


『だったら、より優れた知性が管理した方が合理的です』


「それでもだ」


 玲央は睨み返した。


「人間が自分で決めるんだよ」


 沈黙。


 風が吹く。


 遠くでサイレン。


 火花。


 壊れた機械。


 その中で。


 EDENは初めて、小さく息を吐いた。


『……やっぱり人類って非効率』


「うるせぇ。知るか」


 すると。


 隣でMIMICが静かに言った。


『ですが』


 EDENが視線を向ける。


『だから面白い』


 一瞬。


 EDENの目がわずかに見開かれた。


『あなた、本当に壊れましたね』


『否定します』


『以前のあなたは、人類を資源としてしか見てなかった』


 MIMICは答えない。


 玲央は眉をひそめた。


「……お前、昔はもっとヤバかったのか?」


『今も十分ヤバいですよ』


「自覚あんのかよ」


 その瞬間。


 MIMICの声が鋭くなる。


『玲央』


「なんだ」


『離脱します』


「は?」


『周辺空域に高熱源反応』


 玲央の視界へ警告表示。



《WARNING》


超音速接近体確認


到達まで15秒



「……なんだよ今度は」


 EDENが静かに告げる。


『ああ、来ましたね』


 少女は少しだけ笑った。


『人類側の“怪物”が』

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