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異世界で錬金術の現代風メシ  作者: yex
パシフィスト・second編

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第九十術 BBQ!BBQ!!

『クリムゾン』


「すみませーん、店主はいますか?」

「おお、よく来たな!」


『クリムゾン』に着いた俺たちは、店の中へ入る。

すると、店主がいつものように元気よく出迎えてくれた。


ちなみに、銀瓏たちは外で待機中だ。


「ここに来たって言うと、何か作って欲しいだろ?」

「はい。実は……特大の『BBQコンロ』を作ってもらいたくて……」

「『BBQコンロ』?……それってあれか?店に出してる肉焼きの器具のことか?」

「そうです。それの大きめの奴を作ってもらいたくて……」

「ふむ……よし、分かった。あれなら、3日ぐらいで大丈夫だろ」

「本当ですか!ありがとうございます!」

「おうよ!……それと、試運転もかねて、ご馳走して欲しいのだが……」


店主、ケートス(あれ)の件で味を占めているな……まあ、試運転も兼ねてってことなら、いいけどね。


「分かりました。それじゃあ試運転も兼ねて、お願いしますね」

「おうよ!―――おい、聞いたな。張り切って凄いのを作るぞ!!」

『『おぉぉぉぉっ!!』』


店主の一声で、作業員たちの士気が一気に上がった。


「サチさんの料理がまた食えるんだろ?」

「うおぉぉぉ!!それだけでやる気が満ち満ちるぜ!」

「いったいどんな料理を作ってもらえるんだ!?」


作業員たちが歓喜している。

……こんだけやる気が出てるんなら、こりゃちょっと豪華にしておくか。


「そうだ、銀瓏、麒麟さん。『BBQコンロ』ができあがる前に明日、魔物を狩ってきてくれないか?」

『うむ、いいぞ。BBQをするのだからな。旨い肉を狩ってくる』

『あとついでに野菜も』

「ははは……流石、相変わらずだな」

『ねーねー』


すると、大蛇が話しかけてきた。


『さっきから言ってる『ばーべきゅー』ってなんなの~?』

「んえ?そうだな……肉や野菜を炭火を利かせた網で焼くんだ」

『『すみび』?おいしいの~?』

「ああ、旨いぞ。炭火の香ばしさが入った肉や野菜がこれまた格別なんだ」

『へー!あるじがおいしいなら、きっとおいしいとおもう!あーし、楽しみ!』

「ははは、期待してろよ?」


大蛇が嬉しそうにはしゃいでいる。

これは何としても、『BBQコンロ』を完成させないとな……!


そうして俺は、明日の『BBQ』に向けて色々と準備することにした。


◆


銀瓏、麒麟は魔物を狩りに出かけてる間、俺とガーネットさんで『BBQ』の準備をする。

ちなみに大蛇は見ているだけだ。

小さいからね、しょうがない。


「ねぇ、今日は何を作るの?」

「今回は―――『手作りウィンナー』を造ろうと思います」

『『うぇんなー』?それってあさいつも食べてるしょっぱいもの?』

「ああ、そうだよ。いつもはもう出来上がったものを使っているけど、今回は一から作るぞ」

「へー……ウィンナーって手作りできるんだ」

「下処理は大変だけどね……よし、早速やるぞ」


まず最初に腸の下処理から。

『等価交換(カタログ)』で錬金した羊腸を、水で優しく洗い流す。

水と少量の酢を入れた冷水に20〜30分ほど浸けて塩抜きする。


その間にボールにブラックドラゴンの肉を錬金した粗びき肉、塩、ブラックペッパー等のスパイスをいれる。

そうして、氷水で当てながら混ぜ込む。今回は、普通のものと『バジル&レモン』の2種類を作る。


「っ~……手が冷たーい……」

「だよな~」


材料が均一に混ざったら、氷水を3~4回にわけながら、少しとろみのある状態まで混ぜるようにしてこねる。

絞り袋に搾るように専用に錬金した口金をセットし、塩抜きした羊腸を口金にたくしこんで、生地を入れる。

羊腸を少しづつ出しながら腸詰をおこなう。


「空気が入らないように気を付けてくださいね~」

「結構……難しいわね……」


絞り終えたら好みの長さで3~4回くるくるよじって形を整え、繋ぎ目をきれば……


完成!『ブラックドラゴンの腸詰めウィンナー』!!


「後は、完成した『BBQコンロ』で焼けば完成だ!」

「うわ~!完成が待ち遠しいよ~!」

『楽しみ~!』


肉だねが完成したことに喜んでいると、ちょうど銀瓏たちが戻ってきた。


『戻って来たぞ』

「おお、お帰り。どうだった?」

『めぼしい魔物はそこそこいたな。流石にSランクはいなかったが』

「いやいなくていいから……そんなポンポンとSランク遭遇したらやばいから……」


取り敢えず、確認してみるぞ……


コカトリス。


ダッシュ・ブル。


ジュック・ランタン。


鬼オン。


ギガフロッグ。


オーク。


等々……うんうん、低ランクの魔物ばっかだな。


「どれも味が旨いから、期待できそうだな」

『うむ!『BBQ』とやらがどれほどの物か、楽しみだぞ!』

『そうですね』


さて、準備は整ったし、後は出来るまで待つとするか……

そう思い、明日に備え、眠ることにした。


◆


次の日、『クリムゾン』から知らせが届いたので、向かってみると――そこには完成した『BBQコンロ』があった。


「ほら。頼んでいた物が完成したぜ」

「すげぇ……二日で終わっとる……」

「いや~旨い飯が食えると思ってな……つい、一日早く出来ちまったよ」

「凄いですね……」


流石、飯パワー……ここまで人を焚きつけるのか……


「ちなみに代金は?」

「そうだな……色々世話になってるし、『200万G』でいいぞ」

「分かりました……どうぞ」


俺は店主に袋に詰めたGを渡す。


「おう。で?さっそく試すんだろ?」

「はい、早速!」


こうして俺は、『クリムゾン』の庭で完成した『BBQコンロ』の試運転を始めることにした。


コンロを設置していると、店主が俺に話しかけてくる。


「しっかし……また『契約獣(ビースト)』が増えとるな……」

「ええ、まぁ……」

「聞いたぜ?『聖獣』と契約したんだってな?あんたは本当に規格外なことばっかするなぁ~」

「これについては、偶々幸運が重なった結果といいますか……」

「運も実力の内だぜ?胸を張りなっ!」


――バシッ!!


「おうふっ……」


店主に背中を思いっきり叩かれる。

地味にいてぇ……


さてと、コンロに火が通ってきたら……早速肉と野菜を投入!!


――ジュゥゥゥゥッ……!!


肉が焼ける匂いがたまらねぇ……!

絶対旨い奴だろ!!

あとは――昨日作っておいたウィンナーも投下!


――プチブチッ……!!


皮が焼ける音が心地いい……!

いつも使ってるコンロのように細かい火加減はできないから慎重かつ大胆に……


焼くこと数分、いい感じの焼き色になったぞ!


「それでは、好きなソースで頂いてください!」

『『おおっ!!』』


早速焼いたお肉をカットし、食べ始める。


「じゃあ、いただきます!」


――パクッ


「んん!!うめぇ!!」


炭火で焼いた香ばしさが肉の旨味を引き立てる……!

たまにはこういうシンプルな奴もいいなぁ!!


『あるじおいしい!!』

「お、そうか。旨いか?」

『うん!お肉が柔らかくてこの色の水をつけたらさらにおいしくなったよ~!』

「そうか!これは『ソース』って言って、肉とかにつけて食べるものなんだよ」

『そうなんだ~!あむっ』


大蛇は肉を頬張りながら、夢中で食べている。

さて、昨日作り置きしたウィンナーは?


――パリッ!


んん!皮がパリッと弾けて中の肉汁があふれ出してうめぇ~!!


『んん!何だこれは!?噛んだ瞬間、中の肉の汁が一気にあふれ出したぞ!?』

『この肉……爽やかな風味がてで、脂っぽくない……!これなら、食べ進めれますね』

「それは『バジル&レモン』で、爽やかな風味がするんだ。こういうのなら、麒麟さんが好きそうかなって」

『そうですか……お気遣い感謝します―――美味……!』


銀瓏も麒麟さんも喜んでいるな……!

あとは……


「はむっ……んん!ただ焼いた肉なのに、どうしてこんなにも美味しいの!?」

「うめぇ~!なんだこの肉!」

「変わったソーセージだな!」

「骨付きもいいが、これもいいな!」

「――っ!ぷはー!!いや~これは酒が旨いな!!」


どうやら、他のメンバーも喜んでいるな……

というか、店主。真っ昼間から酒飲んでいる……


「おーい、お前ら!!」

「ん?」


すると、誰かから声がかけられる。

――その人物は、ギャリックさんだった。

そして、後ろには『エリザベート』の店長もいる。


「もう、おっぱじめているな、元気でいいこった!」

「ギャリックさん、どうしてここに?」

「はっはっはっ!昨日、こいつがサチに『BBQコンロ』を作っていると聞いてな。試運転もかねて食べるらしいから気になって来てみたぜ!」

「私はついでです」

「そうなんですね……でしたら、まだまだいっぱいありますので、どうぞ食べてみてください」


そういい、俺はさらに焼いた肉をギャリックさん達に渡す。


「おお、すまないね!では、実食といくか」

「お心遣い感謝します……では、私も――」


そう言い、二人はソースをつけ、食べる。


「「っ!」」


その瞬間、二人の目の色が変わった。


「んっだこれ……旨すぎんだろ!?」

「これが、ただ焼いただけの肉とは思えないほどの味……このつけ汁が肉にアクセントをつけていますね……!」

「おっ分かりますか?『ステーキ醤油』って言って、肉のステーキに掛けると美味しいんですよ。あと……これなんてどうです?『焼肉のタレ』です」


E社定番のタレ!つけてよし、焼いてよしの万能タレだ!


「どれどれ?……んん!!うまっ!!これもいいじゃないか!!」

「タレというものが変わるだけで、こんなにも味に違いが……!」

「これもどうぞ。手作りウィンナーです」

「見た目は骨付きのあれだが……んん!うまっ!?」

「このパリッとした食感に、中の溢れる肉汁……凄い腕前です」

「いや~あはは……」


そこまで言われると、照れるな……!


「……して、この『ウィンナー』にはなんの肉が?」

「あー……それは……」


ここでブラックドラゴンのこと言ったらギャリックさんたち驚くだろうな……


「……そうですか。かなり高ランクの魔物なんでしょう。聞かないでおきます」

「そう言ってくれると助かります……」


さ、流石店長。俺のメタい気持ちを瞬時に読み取った……!


(あの反応からするに……A、それかSランクは確実……ギンロウ様達から狩ってくる可能性を考えると……これが妥当ですか……)

「にしてもこんな旨い肉には酒が飲みたいねぇ!よし、酒持ってきてくれ!」

「まだ昼ですよ。ギャリック様……」

「いいじゃねぇか!今日はそんなに忙しくないし、ぱーっと行こうぜ!!」

「ははは……あ、でしたら。こういうのはどうですか?」


そういい、俺は『ビール』を取り出す。

缶じゃなくて、瓶に入れられたやつだ。


「おお、気が利くな!」

「おお、見たことの無い酒だな」

「俺の地元で作られる酒です。『ビール』という麦の酒です」

「ここに『エール』という飲み物がありますが……それと同じようなものなのでしょうか?」


そう言い、皆にビールを配り、それを飲む。


『『っ!!』』


すると、酒を口にしたみんなが、目を見開いた。


「―――っかぁ~!!んだこれ!?うめぇ~!」

「これは……麦の香りが桁違いですね……」

「これはいくらでも飲みそうだぞ!!」

「幸!私も頂戴!!」

「はいはい」


どうやら、ギャリックさん達は喜んでもらえたようだ。

流石、安心と信頼の日本製品。味は一級品だぜ。


『あるじ~!あーしも飲んでいい?』

「だめだめ!まだ大蛇には早いよ」

『ええ~……』

「ほら、こっち飲んで我慢しろ。『オレンジジュース』だ」


大蛇はまだ2歳だからな……ジュースで我慢してくれ。


『ん~……っ!甘くて、酸っぱくておいしーよ!!』

「ふふ……」


ふてくされた大蛇だが、ジュースを飲んで、機嫌が直った。

やっぱり、子供だな……


こうして、俺たちは肉が無くなるまで、BBQを楽しんだのだった。


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