第八十四術 各国との交流③
さーて、次はどんな人と出会うのかな……
そう思いながら会場を歩いていると、青みがかった黒髪の小さな子供が目に入った。
……あれも王族なのか?
「マスカ、あの子は……?」
「あの方は、『スノーランド』の王族『スノーランド・エンペラー』様と、その父親『スノーランド・キング』様です。お二人ともペンギンの獣人ですよ」
「ペンギン……そういう獣人もいるのか」
よく見ると、父親のキングさんの方には立派な鼻髭が生えている。
「ちなみに、見た目は愛らしい子供の姿ですが、キング様50歳、エンペラー様は30歳なので気を付けてください」
「うっそだろおい!?」
見た目の割に、めちゃくちゃ歳食ってた!?
そう思いつつ、マスカがスノーランドの人達に歩み寄る。
「こんにちは、キング様、エンペラー様、パーティーは楽しまれていますか?」
「あ、こんにちは、マスカット嬢。今日も素敵なパーティーに参加させてもらってありがとうございます。うちの息子も楽しんでます!」
(声が子供らしい……!)
50歳の声量か?これが?
「にしても、この肉美味しいです!なんかタレがテリってしてて、こってりして美味しいです!」
「ああ、それは照り焼きです。美味しいですよね」
「『てりやき』……!異国にはこういうのもあるんですね!」
「ははは、そうですね」
異国は異国でも俺の世界の国の料理なんだけどね……
「「美味しい~!」」
「……」
なんか可愛らしいな……
ほっぺをプニプニしてみたい……
とても大人とは思えないな。まるでゆるキャラみたいな……
そんな二人の姿に和みつつ、俺たちは別の場所へ歩き出した。
◆
しばらく歩き回っていると、次に目に入ったのは、背中に翼の生えた女性だった。
「あれって……天使か?」
「あの方は『天使族』という亜人で、主に『スカイピア』という宗教が盛んな国にいます。」
「へー……そんな人もいるのね」
天使……といえば、神の使いが一般的だけど、そういうのはあるのだろうか?
「そうですね……確かに、神様の加護を授かっているのはいますが……」
「ああ、いるんですね」
「と言っても、小さい加護ですが……それでも戦闘力は凄いですよ?」
「へー……」
けど、俺って神の加護が【小】だけど、二個あるんだよな……
「……!」
すると、天使族の人がこちらに近づき挨拶する。
「あらあら、こんにちは。マスカット様、今日はパーティーに参加させてもらって感謝しますわ」
「ええ、こちらこそ。パーティーに応じていただき、ありがとうございます」
「はい。それと……見かけない人ですね。ここで、自己紹介をしておきましょう。私は――『スカイピア・ホーリー』、私の街『シュガー』の統治している長です。どうぞ、御贔屓に」
「ああ、こちらこそ……俺は『酒森 幸』です。その隣は……」
「『フラム・ガーネット』です!」
「そして、俺の『契約獣』ですが……銀色のドラゴンが『銀瓏』、金色の馬が『麒麟』さんです」
「まぁ……!二つ名と聖獣を契約したと話は聞いていましたが……本当のようです。それに……」
すると、ホーリーさんは、ジッと俺の方をみる。
「……っ!間違いない。あなた、神の加護を二つも持っていますね?」
(げっ……バレた……!)
「なんと!サチ様、加護を持っているんですか!それも……二つ!」
「ああ、えっと……あまり、そういうことは広めないでいただけると幸いです」
「え、ええ……そうですね。加護を二つを持つなんてこの世で二人ぐらいしかいませんからね……」
そう言うと、ホーリーさんは少し冷や汗を浮かべながら口を開く。
「それにしても……貴方の加護は、『創造神』様と『破壊神』様の加護を感じます……創造神様は分かりますが、破壊神様の加護を持つなんて……凄いですね」
「ははは……どうも」
と言っても……加護を授かった理由は俺の世界の酒や甘味に引かれたのが理由なんだよな……
「とはいえ、異国の人が我々が祈りを授けている神の加護を持っているなんて……嬉しい限りです」
「え?我々……?」
「はい、私の街『シュガー』は『創造神 ガーシュ』様を信仰している街なんです」
「へー……そうなんだ」
シュガー……ああ、並べ替えると『ガーシュ』になるのか……というか、ここの神って全員『さしすせそ』の調味料をそれっぽく並び替えたものなんだな。
ソトールは塩の『ソルト』だし……
「いつか、この国に来た時、是非とも他の街に顔を出してみてください……まぁ、あの街には顔も出さなくてもいいですが……」ボソッ
「ん?なんて?」
「ああ、いえ!こちらの話です!」
「?」
何だろう……?
そんなことを気にしつつ、俺たちは少し話した後、他の場所へまわることにした。
◆
さらに歩いていると、黒いコートを着た金髪の少年がいた。
「マスカ、あの子は?」
「あの人は『ライト・ラグナロク』様です。なんでも『バルムンク・ラグナロク』様の息子らしいです」
「へーバルムンク……ん?その名前は最近聞いたような……?」
「ほら、あれだよ!『異世界日記』の!」
「ああ!」
そうだ、『魔術協会』の時で読んだ時にでてきた葵さんの息子か!
へー……ビジュアルが凄いイケメンだな……
取り敢えず、俺は声を掛けることにした。
「やぁ、僕」
「ん?」
「パーティーは楽しんでいるかな?」
「楽しんでますよ。ところで、お兄さんは?」
「俺は『酒森 幸』っていうんだ。そして、後ろの魔法使いは俺のパーティーの一人、『フラム・ガーネット』さん、その奥に飯を食べ続けている俺の『契約獣』達で、ドラゴンは『銀瓏』、馬は『麒麟』さんだよ」
「へーそうなんですね!僕は『ライト・ラグナロク』よろしくね、お兄さん♪」
子供特有の愛らしい笑顔で言うライト。
「ああ、よろしく」(いい子だな~)
「ところで、この料理は美味しいですね!まるでお母様の味付けに近いような……?」
「おお、勘が鋭いな!実はこれ……『スカーレット・サーペント』で作った照り焼きなんだ」
「『てりやき』……前にお母様が『しょうゆ』というソースを造ろうとした時に味付けの際に作ったことがあります!」
「へー……君のお母さんって、そこまで作れるようになったのか……」
確かに照り焼きは、しょうゆ、みりん、酒、砂糖を煮詰めれば簡単に出来たっけな……
「なら、これは俺のプレゼントだ」
俺は『てりやきのタレ』、『合わせ味噌』、『カツオ醤油』、『ゴマダレドレッシング』をカゴに入れて、渡す。
「わぁ、ありがとうございます!けど、どうして?」
「うーん……『同じ国のよしみ』ということで――あとこれ」
そう言い、『異世界日記』を渡す。
「あれ?これって……お母様の……?」
「君のお母さんによろしく言っといてね。多分だけど、俺と話が合うかもしれないし」
「?……わかりました!」
俺はライトの頭を撫でながら言う。
いや~まさか、ここで葵さんとの息子と再会するなんて思わなかった……
布石も打ったし、いつか葵さん本人とも話してみたいな。
そう思っていると、ライトが料理について色々と聞いてきた。
俺は一つ一つ質問に答えながら、楽しい時間はゆっくりと過ぎていくのだった。




