第八十一術 なんやかんやでパーティー日開催!!
日にちが経ち、ついにパーティー当日。
俺は城のキッチンで、ここのシェフたちと一緒に料理を作っていた。
「サチさん。今回はどんな料理を?」
「王族が食べにくるって言っていたしな……こういうのはやっぱり豪華にしたいし……ちなみに、パーティーってどういう形式で食べるんですか?」
「基本的に『ビュッフェ形式』で王族の方たちは会話しながら食事をします」
ビュッフェ……まぁバイキングみたいなもんか。
なら、一口サイズで取りやすい料理がいいな……
「よーし!今回は、俺も作ってみたかったヤツにしよう!」
まずネギオン、キャーロトはみじん切りする。
ボウルにオーク肉とレッド・ブル肉の合いびき肉、卵、パン粉、塩、ブラックペッパー、ナツメグを入れ、ねばりが出るまで捏ねる。
ゆで卵は薄力粉をまぶしておく。
パウンド型に肉だねを1/3をいれ、そこにゆで卵を間隔をあけてのせ、残りの量を入れる。
しっかりと隙間が無いように詰めたら、200℃に予熱したオーブンで約30分焼く。
――ジュゥゥ……
「おお、いい匂いだ!」
「こんな料理見たことないぞ……!」
火が通ったら、粗熱を取って型から出す。
あとはソースだけど……
パウンド型に残った油をフライパンにいれて熱し、そこにバター、ケチャップ、中濃ソースを入れ、一煮立ちさせて、かければ……
―――完成!『オーク・キングとレッド・ブルの合いびきミートローフ』!
ちょっと味見してみようか。
そう思い、俺たちは完成したミートローフを試食する。
――ハムッ
「んん!旨い!」
しっかりとした肉の旨味に濃厚なソースが合わさってうめー!
これなら、いくらでも食べれそうだ!
「う、うめぇ!」
「これが肉か!初めて食べる味だ!」
「このソースが濃厚でうめぇ~! お代わりがしてぇ!」
よしよし、掴みはいいな。
よーしこの調子で作るぞ!
俺はシェフたちと一緒に、次々と料理を作っていく。
煮豚……ならぬ煮熊。
コカトリスの棒棒鶏。
スカーレット・サーペントの照り焼き。
オニオンスープ。
ローストブラックドラゴン。
その他諸々……
大量の料理を、なんとか作り上げることができた。
いやー……疲れた。
流石にあの量をシェフたちとやらないと大変だ……!
あとの盛り付けや準備はシェフたちに任せることにして、俺はスーツに着替え、会場へ向かうのだった。
◆
案内されて扉を開くと――すでにパーティーは始まっていた。
「うわ~……凄い人数だな……」
「幸!」
「あ、ガーネットさん」
声を掛けられて振り向くと、ガーネットさんが料理を山盛りにした皿を片手に、こちらへやって来た。
「これ全部幸の料理なの!!どれも旨すぎ!!」
「ははは……流石にあの量は無理だから、シェフたちに手伝ってもらったけどね」
パクパクと料理を食べながら、喋るガーネットさん。
それにしても……。
「……ガーネットさん、その服、綺麗ですね」
「え?」
煌びやかな紅のドレスが、よく似合っている。
普段の服装とは違って、なんというか……すごく新鮮だ。
「……どう? 似合ってる?」
「は、はい。凄く……似合ってます」
「そ、そう……」
ガーネットさんは少し照れくさそうに笑った。
「ところで、銀瓏と麒麟さんは?」
「ん、あそこで使用人に料理運んでもらってる」
「ど、どうぞ」
『うむ……ん!旨い!やはり主の肉は旨い!!』
『肉と野菜……そしてこのクリーム色のソース。これらを合わせて食べることで旨味が良く感じます……!』
「そうであるな!んー!うまい!今回は来てよかったぞ!」
銀瓏と麒麟の他に、クロガキやヤクスギさん、セコイアまでもがこの会場に来ていた。
「皆さん、来ていたんですね」
「うむ、サチさんか。まさかとは思うが、この料理は……」
「はい、俺が今回の為に作った料理です」
「やはりか!道理で旨いわけだ!」
どうやら気に入ってくれているらしい。
そう言えば、他の国の人も来ているんだったよな……
「……ん?」
「?……なっ!あなたは……!」
すると、どこかで見覚えがある人物に出会った。
あの人って……確か……
「ま、まさかあなたたちも参加しているとは思いもしませんでしたわ」
「えっと……」
「なっ!あなた、私の名前を忘れてはいませんよね!?」
「えーあーうん、分かってるようん―――『キャーロット・エルランド』ですよね?」
「ングッフ!!」
「『シャーロット・エルドラド』ですの!?」
どうやら間違えたらしい。
……あ、ガーネットさんが完全にツボに入った。
「ふ、ふん。何やら魔賢者になったと聞いていましたが……でもそれはそこの『契約獣』のお陰!あなたの実力じゃありませんことよ!」
「銀瓏と麒麟の攻撃にビビってた癖に」ボソッ
「ガーネットさん?」
今この人ボソッと嫌味言わなかった?
「ま、まぁ?いいですわ。私だってあともうすぐで『魔賢者』になりますの……その時は覚悟してくださいまし!」
「まぁ、どの道私が先輩になるけどね」
「調子のってんじゃねぇですの!!」
ガーネットさんが悪い顔をしながらシャーロットを煽る。
みたことねえぞその顔……
「ふん!……にしても、この肉美味ですわね。うちのシェフでもこんな味は初めてですわ……」
「ああ、それ俺が作ったんですよ」
「へー、あなたが――」
シャーロットが一瞬、言葉を止める。
「……え?」
「というか、全部の料理は俺が作ったやつですね」
「!?」
驚愕の顔をするシャーロット。
「この数を……全部?」
「流石にこの数は無理だから、ここのシェフに手伝ってもらったけど……料理は俺の調味料たちから作り上げてます」
「そ、そうですのね……ちなみに聞きますが、この肉は何の?」
「えっと……『ブラックドラゴン』ですね」
「なっ!?」
肉の正体を聞いた瞬間、シャーロットの顔が、昔の少女漫画みたいな驚愕の表情に変わる。
(このレベルの料理に、Sランクの魔物を討伐できるほどの腕前……おそらく、胡椒やスパイス系、宝石などの高レベルな物を持っているはず……!ここで唾をつけておかないといけない……と私の勘が囁いていますわ!)
「……?どうしました?」
「っ!い、いえ……そうですわね。あなた、『エルランド』の国に出向かれる予定はありますでしょうか?」
「え?ああ……いつかは出向こうとは思っていますけど……」
「それでしたら!ぜひ、最初に王都へ出向いてください!これ、私の招待状のカードです。王都に来て、門番たちに見せてもらったら、大丈夫ですので」
「あ、はい……」
こうして、俺はシャーロットから招待状を貰う(ほぼ強引)
「ふふふ……それでは、王都でお待ちしておりますわ!」
そう言って、シャーロットは高笑いしながら去っていった。
「……利用されてない、幸?」
「んー……」
まぁ、悪いようにはしなさそうだし……いいか?
さて、それより俺も食べてみるか。
俺は作った『ローストブラックドラゴン』を一口食べる。
「ん!旨いな……!さすがドラゴン。肉がジューシーでうめぇ……!」
「そうね!他にもこの肉もタレの味が絡み合って美味しいね!」
棒棒鶏は野菜の旨味と肉がゴマダレと合わさって旨いし……
煮熊はトロトロの食感で、スカーレット・サーペントは照り焼きのタレと合わさってまんま焼き鳥っぽいし……
いくらでもイケるな!
俺たちは料理を食べ進める。
そして、折角の機会なので、俺は各国の王たちとも挨拶を交わしてみることにした。




