第八十術 狩ってきたのは――ブラックドラゴンでした
俺は、門のところにいる銀瓏たちに話しかける。
「お帰り~銀瓏、麒麟さん。どうだった?」
『うむ!いい感じに狩ってきたぞ!それに……大物も狩ってきた』
「大物?……まぁいいか、じゃあ早速取り出したいけど……マスカ、また庭使ってもいい?」
「はい、大丈夫ですよ。私もギンロウ様達の狩った魔物を見てみたいですし」
マスカの許可も降りたので、早速見てみることにした。
大物……パシフィストだし、『A+』かな?
◆
袋に詰まった魔物を次々に取り出す。
コカトリス。
ブラッド・ベアー。
オーク・キング。
スカーレット・サーペント。
レッド・ブル。
などなど……見たことあるものや初見のものまで数多くあった。
「結構狩ったな……でもまぁ、これだけあればパーティーは大丈夫か……」
『うむ……最後に俺と麒麟が取って来た大物で最後だ』
「銀瓏が言う大物ってどんなんだ?まぁ、このランクより上だと思うが……」
『ふふ……偶々出会ってな……きっとさぞかし旨くなるんだろうな……』
「?……なんか喜んでいるけど、一体どんな――」
袋から取り出したのは―――黒い鱗が目立つドラゴンの顔が出た。
「 」
『『 』』
『うむ。これが俺たちが狩ってきた大物だ』
「――あの、一応聞くが……何これは?」
『『ブラックドラゴン』だ』
「へ、へぇ……ドラゴンね……ドラゴン!?」
銀瓏がサラっと言ったことに驚く。
ブラックドラゴンって何!?そんなのいるの!?
「……が、ガーネットさん。この魔物のランクって……」
「……Sランク……よ」
「え、え、え、Sランク!?」
ケルベロス以来の大物来たぁぁぁ!?
「お、おま、おまおま……何やってんだお前らぁぁっ!?」
『いやー、上等な肉が手に入ったからな。折角だし、俺と麒麟で狩った』
「いやサラっとそんなこと言われても!?そんな大物獲ってどうすんだよぉ!?」
『前に食べたSランクのケルベロスも美味でしたからね……きっと相当美味なんでしょう』
「麒麟さん!?」
なんか最近の麒麟、どんどんと銀瓏化してない??
あなたそんな好戦的な感じでしたっけ???
「ぶ、ブラックドラゴン……始めてみました。漆黒の鱗はどんな魔法攻撃も効きづらいと言われるあのドラゴンを……さ、さすがギンロウ様たちです」
「ま、待て……あれって他のSランクより災厄級だぞ!?」
「まさか、こんなところにSランクが来ていたとは……報告にもなかったぞ……被害が出る前に終わって良かったと喜ぶべきか……」
「……ところで」
レットさんは率直の疑問をぶつける。
「これ、狩ってきたのはいいのですが、どうやってSランク解体するの?」
『『あ』』
……そうだよな。
Aランクはともかく、Sランクを解体となると……
「……ガーネットさん、どうですか?」
「いやいや無理無理……今はAランクも解体できるけど、Sランクは無理よ……」
「ですよね……王都は?」
「……できなくはないのですが、相当時間がかかりますね」
『何!ということはパーティーに間に合わないと!?』
「えっと……そうなりますね」
『なっ!?』
その言葉に銀瓏は固まる。
……仕方ないけど、しょうがない。
『うむむ……折角のドラゴン肉が……』
『……』
銀瓏と麒麟はあからさまにショックを受けている。
折角狩ってきたものをしばらくの間食べれないとなると、少し気の毒だな……
「……あ、そうだ」
「ガーネットさん?」
なにやら、ガーネットさんに策が思い浮かんだらしい。
「えっと、解体なんだけど……あの人を呼べば、一発で解決するんだけど……」
あの人……?ま、まさか―――
「それって、ヴァンさん?」
「……うん」
『なっ!あの吸血鬼か!?』
『!?』
ヴァンの名前に出た瞬間、銀瓏と麒麟の顔が驚く。
「性格はあれだけど、Sランクを短時間で解体できるのはあの人だけ……ここは腹を括るしかないよ」
『う、うむ……』
『あの人ですか……』
二人は苦虫を嚙み潰したような顔をする。
まぁ、あの性格だから、嫌なんだろうな……
『……ええい!ドラゴンの肉のためだ!腹を括るぞ!』
『そうですね……折角のチャンス、逃すのは惜しい……』
どうやら、二人の覚悟は決まったようだ。
「確か、ここにキョーヤ校長がいましたよね?その人にヴァンさんを呼ぶようにお願いしますか」
「そうだな……わかった。では来てくれ」
そう言い、俺はルーシーさんの案内で、キョーヤ校長がいる部屋へ向かう。
その間、ガーネットさんには、獲ってきた魔物の解体をお願いすることにした。
◆
「え?『ブラックドラゴン』を急遽解体したいからヴァンを至急呼んでほしい?いいよ♨」
「いや、軽っ!?」
事情を説明したキョーヤ校長は、あまりにもフランクに了承した。
「ドラゴン肉か……前に食べたのは何十年ぶりかのう……」
「え、獲ったことあんの?」
「ああ、昔な……いやーあれは旨かったの~塩だけじゃったが中々いけるからの」
「へ、へぇ……」
やっぱ凄いわこの人……
「さて……ヴァンのやつを呼べばいいんじゃろ?あやつ、聞いたら速攻できそうじゃの~ではワシから伝えるから安心せい」
「はい!ありがとうございます」
これで、ドラゴンの件は大丈夫そうだな……
◆
「会いたかったよキリンちゅあ~ん!ギンロウちゃ~ん!」
『ぬぐぅ……!ええい、やめんか!』
『……』
嘘だろ……数分で来た……
ヴァンが銀瓏と麒麟にべったりくっついてる……
「ううむ……こうなってしまったか……」
「いや分かってただろ、この展開」
ヴァンは本当に変態だな……魔物に関して……
取り敢えず、話進まないから言うか。
「あの……ヴァンさん、ドラゴンの解体をお願いしたいんですが……」
「ん?ああ、聞いてるよ!『ブラックドラゴン』だね!あの漆黒に映る鱗をまじかにみられるなんて……早速見せてくれないか!」
興奮気味でヴァンが『ブラックドラゴン』を見たいと言っていたので出す。
「ウェーーーイ!!生で見ると、クッソでかいぜ!!これすげぇーでけぇぇぇ!!」
「いや、うるさっ」
奇声をあげながら、ブラックドラゴンの前に近づくヴァン。
これが吸血鬼の姿か?これが?
「いやー、サチ君に関わると、Sランクの魔物ばっか出会うね~いいよ、いいよ!この私が解体してあげよう!」
「あの~なるべく早めにしてくださいね?パーティーの件もありますから……」
「ああ、わかってるさ!ブラックドラゴン……まさかこの手で解体できるなんて……ああ、夢のようだ。このすべての光を吸収する鱗に獲物を引き裂く爪、そして轟々たる翼……ギンロウちゃんに匹敵するほどの美しさだぁ……はぁ……これをたっぷりと鑑賞できるなんて―――」
「さぁーて、俺たちは晩飯にしようか」
ヴァンのスイッチは入ると止まらなくなるから、無視して晩飯にしよう。
銀瓏と麒麟もさっきのことで疲れてるだろうし……
こうして俺たちは晩飯を食べ、明日に備えて眠りについた。




