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異世界で錬金術の現代風メシ  作者: yex
パシフィスト・second編

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82/121

第七十六術 到達!ようこそ王都へ!!

翌日、目覚めた俺たちは朝食を済ませ、王都に行く準備を整えると、キョーヤ校長と合流した。


「おはよう、冒険者諸君。昨日はよく眠れたかな?」

「はい、ばっちりです!」

「うむ、元気があってよろしい―――では、早速じゃが、『パシフィスト』の王都へ行こうかの」


そう言うと、キョーヤ校長は魔法の詠唱を始めた。

次の瞬間、俺たちの足元へ巨大な魔法陣が展開される。


「うおっ!」

「では行こうぞ―――『瞬間移動魔法(テレポート)』!!」


――シュン……


眩い光に包まれた俺たちの姿は、その場から一瞬で消え去った。


◆


――シュン!


視界が晴れると、目の前には巨大な城壁がそびえ立っていた。


「こ、ここが王都……」

「そうじゃ。正確には王都の入口じゃがの……ほれ、冒険者カードを用意しておくのじゃ」

「え?……ああ、そう言えば、これって証明書になるんでしたね……」

「うむ。では行こうかの」


俺たちはキョーヤ校長に案内されながら、王城へ向かって歩き出す。

歩きながら、ふと気になっていたことを尋ねた。


「そういえば、キョーヤ校長。この国の王様ってどんな人ですか?」

「ん?ああ、この国の統一しているのは『パシフィスト・マスカット』という王女じゃ」


王女ってことは、女王様みたいな立場なのか。

ということは―――


「へー……ということはマスカのお(・)母(・)さ(・)ん(・)がこの国を治めてるんですね」

「……ん?」


キョーヤ校長が、不思議そうに首を傾げた。


「……マスカ?それは一昨日の手紙の人物か?」

「え?はい……そうですが……」

「ふむ―――」


校長は何かを考え込むように顎へ手を当てる。

えっなに?なんなの?


「えっと……キョーヤ校長?」

「……ほっほっほっ、そうか、そういうことか」

「え、何が?」

「いや、今は言わんでおこう。お前さんがそう思っておるなら、その方が面白いからの~」


何ッ!?何なの!?何かあるの!?怖いよぉ!?


「ほっほっほっ……まぁのちに分かるもんじゃ」

「ええ……」


一人だけ納得した様子のキョーヤ校長を見つめながら、俺たちは王城へと向かった。


◆


城門へ到着すると、門番による入城確認が始まった。


「失礼ですが、招待状を確認します」

「うむ……」

「あ、はい」

「……」


招待状を確認した門番は、少し戸惑った表情で俺を見た。


「あの……その、角の生えた馬の魔物は……」

「え?ああ、麒麟さんですか。この招待状をいただいた後に契約したんです」

「な、成程……そうですか……取り敢えず、この魔物はあなたの『契約獣(ビースト)』という認識で間違いありませんね?」

「はい、大丈夫です……」

「かしこまりました。では確認を終えましたので、キョーヤ様はこちらへ。サチ様ご一行は、別の者が王室までご案内いたします」

「え?王室……何故?」

「実は、サチ様がお越しになりましたら、直接王室までご案内するよう王女様から命を受けておりますので……」


王女直々!?

まじか……


「ほっほっほっ……ではワシは一足先に入るとするかのう……ではまたの、幸。パーティを期待しているぞ」

「あはは……キョーヤ校長も気を付けて」


そうしてキョーヤ校長は先に城内へ入り、俺たちは別の門番に案内されることになった。

歩いている途中、後ろから門番たちの小声が聞こえてくる。


「……なぁ、あの馬って、もしかして噂の『聖獣』じゃないか?」

「馬鹿言え……いくら『二つ名』個体のドラゴンを『契約獣(ビースト)』にした人でも流石に伝説の聖獣まで契約できるわけないだろ…………仮にできたとしても、相当な手慣れの人しかあり得ん……!」


すみません……この子、銀瓏と同じく飯目的で『契約獣(ビースト)』になってます……


「でも、角の生えた馬の魔物なんていたか?『ユニコーン』ぐらいだぞ?」

「……そうかもしれんが、聞きたくねぇよ……気になるけど恐ろしくて聞きたくねぇよ……」


俺は思わずガーネットさんへ耳打ちする。


「めちゃくちゃビビってますね……」

「そりゃ麒麟は『聖獣』だからね……物語の神話に出てくる級の獣だから、そりゃビビるよ……」


苦笑しながら歩いているうちに、王室前へと到着した。

すると、そこには見覚えのある二人が待っていた。


「むっ……?おお!久しいな、サチ殿、ガーネット殿、ギンロウ殿。見ぬ間に、さらに強くなったようだな」

『ふんっ当然だ。俺のステータスは一万を超えたからな!』

「いっ……凄すぎて、想像もつきません……」

「ははは……お久しぶりです、ルーシーさん、レットさん」


そこには、騎士のルーシーさんに、魔法使いのレットさんが出迎えてくれた。


「ああ、久しぶりの再開に私も嬉しいぞ」

「私もです!」

「あ、そうだ。マスカも元気でやっていますか?」

「ああ、王女様もお元気だ。この間、A+ランクの『グレート・グリズリー』を単独討伐されたぞ」

「ええ!?1人で!?」


マスカすげー……もうそんなところまで強くなったのか。


「これも、サチ殿から授かった剣のおかげだ。その剣のおかげで王女様への支持も日に日に高まっている」

「そうなんですね……」


さすが神剣……威力はんぱねぇ~……

その時、レットさんが麒麟へ視線を向けた。


「あの~ところで……その隣の馬は……」

「え?ああ、この子は『麒麟』さんで、魔術協会に行く途中で『契約獣(ビースト)』になりまして……」

『どうも』

「ああ、こちらこそ……しかしギンロウ殿に負けぬほど神々しいな」


そりゃ『聖獣』ですからね……神の加護を持ってますし……


「えっと……見間違いかもしれませんが……まさか――『聖獣』ってことはないですよね?」

「……」

「あー……」


俺とガーネットさんは視線を逸らす。

すると、銀瓏がズバッと言う。


『そうだぞ』

「ちょっ!?銀瓏!?」

『いずれ分かることだ。それに俺が契約されている時点で、今さらだろう』

「そんな身もふたもないことを……」

「――――」


そう言うと、レットさんは口を開けたまま固まってしまう。


「お、おいレット?」


ルーシーは固まったレットを不意に触ると――


――ドンッ!!


「レ……レットォォォっ!?」


そのままレットさんは気絶してしまった。


兵士たちが慌てて彼を運び出し、ルーシーさんは申し訳なさそうに頭を下げる。


「す、すまない……まさか、レットが放心するとは……」

「ああいえ、大丈夫です……にしても、あんな風になるとは……」

「ああ、レットは昔から聖獣に憧れていてな。神話や伝承の本ばかり読んでいたんだ。夢だった存在が目の前に現れて……その、こうなった……」

『どういうことだ……それは……』


……おいたわしや、レットさん。


「コホン。では改めて、王女様がお待ちだ」

「ああ、マスカのお母さんですね。実はお土産も用意してきたんですよ」

「そ、そうか……うむ、有難い……」


?……なんかぎこちないなルーシーさん。どうした?

そんな違和感を覚えながら、俺たちは王室へ入った。


広い謁見の間には兵士たちが左右へ整列し、奥には大きなカーテンが下ろされている。

その向こうには、一人の人物の影が映っていた。


「王女様。サチ殿ご一行をお連れしました」

「ええ、ご苦労様です、ルーシー。ここからは私が対応します」

「はっ」


ルーシーさんは一歩下がる。

俺は深呼吸し、カーテン越しの人物へ頭を下げた。


「こ、こんにちは!最近Sランク冒険者になった『自由の食旅(スローイーター)』の『酒森 幸』と言います!」

「私は同じく、『魔賢者』となりました。『フラム・ガーネット』です!」

「そして、私の『契約獣(ビースト)』の銀瓏と麒麟さんです」

『ふんっ……』

『どうも』

「本日はお招きいただき、ありがとうございます!」

「まあ……」


聞こえてきたのは、とても優しく澄んだ女性の声。


……あれ?どこかで聞いたことがあるような……


「ふふ……そんなに緊張しなくても大丈夫ですよ?」

「そ、そうですか?――ああ、そうだ!実はお土産を持ってきまして……」

「土産?」

「ええ、この世界じゃ珍しい『チョコレート』を持ってきまして……」

「ちょ、チョコレートですか!」


うわ、声大きっ……


「コホン……王女様?」

「はっ……し、はっ……失礼しました。ありがとうございます。後ほど大切にいただきます」

「ええ、マスカもきっと喜ぶと思うので一緒に食べてくださいね」

「っ!?」


――ザワッ……


あれ、急に空気がざわついた。俺、何か変なこと言った?


「……はぁ、王女様。これ以上続けると誤解が深まるだけです。そろそろ芝居は終わりにしましょう」

「え?」


何て言った?芝居?


「ふふ……そうですね……折角来ていただいたのですもの―――」


――バサッ!!


その瞬間、カーテンが勢いよく開く。


その先に立っていたのは――


「私の大切なお友達には、たくさんおもてなしをしないといけませんからね♪」


豪華なドレスに身を包んだ、見覚えのある少女。


「えっ―――えええええぇっ!?」


そこに立っていたのは、王女姿のマスカだった。


つまり――


この国で言われていた『王女』とは、マスカ本人だったのである。

あまりにも衝撃的な事実に、俺はその場で言葉を失ってしまった。

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