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異世界で錬金術の現代風メシ  作者: yex
魔術協会編

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第七十術 Sランクと魔賢者

翌朝。

朝食を済ませた俺は、ガリレオさんに案内され、校長室へと向かっていた。


通された部屋は、これまで見てきた部屋とは比べものにならないほど広く、重厚な調度品が並ぶ威厳ある空間だった。


「キョーヤ校長、サチさんとガーネットさん、そして『契約獣(ビースト)』のギンロウさんとキリンさんを連れてきました」

「うむ、ご苦労じゃったガリレオ。後は、私に任せてほしい」

「承知しました」


一礼すると、ガリレオさんは静かに部屋を後にする。


「さて、冒険者と我が生徒よ。立ち話も何じゃ。まずはそこへ座りなさい」

「は、はい」

「ほっほっほっ……そう緊張するではない」


促され、俺とガーネットさんは向かい合うソファへ腰掛ける。

銀瓏と麒麟は、その後ろのカーペットの上で静かに待機した。

校長――キョーヤは白い髭を撫でながら、穏やかな笑みを浮かべる。


「さて……ガリレオから聞いているがS+ランクを倒したそうじゃな?」

「は、はい!……と言っても、倒したのは主に銀瓏と麒麟ですけどね」

「ほっほっほっ! それでも十分すごいことじゃよ」


キョーヤ校長は楽しそうに笑う。


「ドラゴンを『契約獣(ビースト)』にした者は過去にもおった。しかし、『二つ名持ち』を契約した者はお前さんが初めてじゃ。ましてや『聖獣』まで従えておるとはな」

「ははは……」


俺は流石に苦笑いする。


「そんな人物をAランクのままにしておくのは惜しい。というわけで――サチ、お前さんを『Sランク冒険者』へ昇格とする」

「ですよね~……」


まぁ、S+を二体討伐した以上、当然と言えば当然か。


「そして……我が生徒、ガーネットよ」

「っ!はい!」


姿勢を正したガーネットさんへ、校長は優しい眼差しを向ける。


「『パシフィスト』での高ランク魔物討伐。『フォレストス』の問題解決。そして魔術協会ダンジョン制覇……その功績は十分過ぎるほどじゃ」

「ありがとうございます!」


俺は心の中で頷く。

これでガーネットさんも『魔法士』へ――


「ということで、ガーネットには『魔(・)賢(・)者(・)』に昇格させてもらうことにした」

「「……ん?」」


今、この人なんて言った?

―――魔賢者?


「魔賢者……えっ!?私がですか!?」

「あたり前じゃろう」


キョーヤ校長はケロリと言ってのける。


「他の功績だけでも十分じゃが、お前たちはS+ランクを討伐したのじゃぞ? 正直、ワシ一人でも勝てるかどうか五分五分じゃ」

「「そんなに!?」」


魔術協会の頂点に立つ校長でさえ、それほどなのか。

改めてS+ランクの恐ろしさを実感する。


「それにのう」


校長はニヤリと笑った。


「Sランク冒険者の弟子が、魔法士止まりというのも不自然じゃろ?」

「た、確かに……」

「まぁ、そもそも弟子という表現も少し違うがの」


その視線が俺へ向く。


「――なぁ、幸よ」

「っ!」


その瞬間、背筋が凍った。

ま、まさか……!


「ほっほっほっ……いやーまさか、別(・)世(・)界(・)の(・)人(・)がここに来るとは人生、長生きしてみるもんじゃな~」

「な、な、何を言っているやら……」

「そ、そ、そうですよ!!嫌ですね校長~!ははは……!」


俺もガーネットさんも必死に誤魔化す。

しかし校長は豪快に笑うだけだった。


「そんなに慌てるでない。安心せい」


そして、さらりと爆弾を落とす。


「この世界へ来たのは、お前さんだけではない」

「「え?」」

『むっ?』

『ほう……』

「実はの……」


校長は胸を張る。


「――ワシも日本から召喚された人間じゃ」

「えっ……」


『『えぇぇぇっ!!』』


衝撃の真実に部屋中に俺たちの叫び声が響いた。


「こっ……校長も俺と同じ日本から来たの!?」

「無論……と言ってもここへ召喚されたのは2017年ぐらいじゃったかな?」


俺は思わず首を傾げる。

えっ、2017年?と言うことは――3年ぐらい前!?


「俺が来たのは2020年なんですけど……校長、全然そんな風に見えませんよ?」

「そうか。日本ではまだ3年しか経っておらんのか」


校長は少し懐かしそうに笑う。


「こちらでは500年じゃ」

「ごっ!?――校長いくつだよ……」

「ほっほっほっ」


笑って誤魔化された。


その後、校長は自分のことを語ってくれた。

校長の名前は『剣崎 共夜(けんざき きょうや)』といって、名前が浮きそうだったので、異世界風に『キョーヤ』と名乗っていたらしい。

キョーヤ校長は500年前、まだ勇者として召喚された一般人らしく、なんと6人も召喚されたらしい。キョーヤもそのうちの一人で個体能力が『無限魔力術』らしい。というか初代賢者なんだ、キョーヤ校長……


「当時は魔物の侵攻が激しくてのう。世界中が切羽詰まっておった……」

「は、はぁ……」

「いや~あの頃は楽しかったの~……魔法が使えてウキウキしていた自分に、仲間と一緒に高ランクの魔物を討伐もしたり……毎日が刺激に満ちておったのじゃが……」


その笑顔はどこか懐かしそうだった。


「今では、ワシ一人しかいなくての……他の皆は寿命で旅立ってしまった」

「そ、そうなんですか……」


500年。


その年月を思うと、胸が少し締め付けられる。


「でも、何でそんなに長寿なんですか?」

「ん?それはのう……ワシは神の『加護』を持っているからじゃ」

「「か、加護を!?」」

『なるほど……』


麒麟だけが納得したように頷く。


『なにがだ?』

『あの者から、少々別の神の力を感じていましたが……そういうことですか。その加護は――『生命神 ミイソ』の加護ですね?』

「流石、加護を持つ聖獣……そこまで分かるか」

「な、なに?その『生命神』って?」


初めて聞いたぞその神の名前……


『生命神とは……あらゆる生命を司る神です。不治の病すら癒やし、寿命にも干渉する力を持っています』

「つ、つまり……不老不死?」

『概ねそんな感じです』

「まじか……」

「生命神達はそもそも、あの二人がメジャー過ぎて、影に隠れがちだが、これでも立派な神じゃったぞ」

「へー……ん?達(・)?」

『生命神の他にも属性魔法を司る『魔属神 ビネガーン』、様々な職の恩恵を司る『職達神 ユーセイ』がいます。信仰は少ないですが、これでも立派な神です』

「へー……そんなのかいるのか……」


神様って、思った以上にたくさんいるんだな。

……あ、これは聞いておかないと。


「ちなみにズイーマは?」

『そんな神はいません』

「ですよね~」


麒麟が即答した。

やっぱバロンさんが言っていた通り、そんな神はいなかったか……


「ほっほっほっ……話が脱線したが、その『生命神』の加護のお陰でこうして長生きしているわけじゃよ」

「へ、へー……実際にどれくらいの年まで生きれるんですか?」

「そうじゃな……ワシが貰ったのは【小】だから1000年は生きれるかのう~」

「小でこれ!?」


ハイエルフと同じ寿命じゃねぇか……やべぇな生命神……!


「さて」


校長は話を戻す。


「勇者召喚は危険と判断したワシが禁じた。……じゃが、300年前にあの馬鹿国家が勝手にやりおってな」

「馬鹿国……」


それって『レオンガル』だよな?

校長からも呆れられてるぞ……!


「300年前に勇者召喚を行っての~その人は今は『ラグナロク』の魔王とイチャイチャしとる」

「そ、そうなんですか……」


つか、あの結婚した女性って……俺と同じ日本から来た人なの!?


「そして、今回――お前さんが来たわけじゃが……」

「あ、あの!」


俺は慌てて身を乗り出す。


「ガーネットさんは……」

「安心せい」


校長は微笑んだ。


「事故で召喚されたことも理解しておる。処罰などせん」

「「ほっ……」」


その言葉に俺たちは安堵の息が漏れた……よかった~ガーネットさんが死刑とかにならずにすんだ~!


「にしても災難じゃったの~突然知らぬ世界へ放り込まれて……大変じゃったろ?」

「ははは……そうですね。けど―――」


俺は周りを見る……


初めての出会いで、ずっとこの世界のことについて説明してくれたガーネットさん。


始めは怖かったけど、今では頼れる主戦力の銀瓏。


この人がいたおかげでフォレストスのいざこざが片付けられた麒麟。


どれもこれも、みんなの力があったおかげで、俺はここまで来られた……

そう思うと、自然と笑みが浮かんだ。


「――俺には、とても頼りになるメンバーがいたおかげで、今では楽しいって思えてきます!」

「幸……!」

『ふんっ』

『ふふ……』


校長は目を細める。


「……そうか、そうかそうか……」


その表情は、どこか昔を思い出しているようだった。


「お前さんを見ておると、若い頃の自分を思い出すわい」


少し間を置いてから、校長が言う。


「――ところで幸。一つ頼みがある」

「俺にですか?」

「うむ……」


校長は少し照れくさそうに咳払いをした。


「何やら、お前さんの能力で日本の物を錬金できると聞いたが……」

「は、はぁ……そうですが……なんでそれを?」

「昨日、ヴァンが『ステーキ……あと、見たことの無いソースも旨かったな~』とかブツブツと呟いていたのを聞いてな……」

「ああ~……」


ヴァン先生ぇ……


「それでの~……一つ、欲しいものがあっての……」

「欲しいもの?」

「実は―――チ(・)ョ(・)コ(・)レ(・)ー(・)ト(・)を作ってくれんかの~」

「……チョコレート?」


意外なものに俺は目を見開く。


「うむ……実はの、この世界のチョコレートは、日本の物と比べ物にならないくらいにマズくての~……高級チョコレートでもこの国のレベルでは市販のものに劣るばっかでの……」

「……成程」


それは確かに、日本のチョコを食べたことがあるなら恋しくなるだろう。

しかも同じ日本人……

これはサービスしない理由がない。


―――ここは飽きるぐらいたっくさんキョーヤ校長に食べさせないとな!


「分かりました!それでしたら俺が錬金して、腹いっぱい校長が満足するぐらい食べさせてあげますよ!」

「おおっ!」


校長の目が子どものように輝いた。


「本当か……すまないの~」


こうして俺は、日本のチョコレートを大量に錬金することになったのだった。

~異世界知識~

神々の紹介

創造神 ガーシュ 自由奔放な性格な女神。あまりの自由にソトールに叱られる。この世の生命を創造する力がある。甘いもの好き

破壊神 ソトール 真面目な性格の男神。いつもガーシュに世話を焼く。ありとあらゆる物を破壊する力がある。酒が好き。

魔属神 ビネガーン 根暗な性格の男神。研究熱心。全属性の恩恵を持つ力がある。酒好きでソトールの倍飲む。

職達神 ユーセイ 熱血漢な女神。全てを気合で何とかなると信じている。実はこう見えても心は乙女らしい。様々な職業の恩恵の力を持つ。色々な料理が好きらしい。

生命神 ミイソ おっとりとした性格の女神。恋愛ものが好きらしい。生命を癒す・上昇する力を持つ。美容に目がない


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