第六術 キノコ集めと肉詰め
次の日、まだ眠気が取れない俺は、寝ぼけながらも、ガーネットさんに挨拶する。
「ふぁ~……おはよう、ガーネットさん」
「おはよう、幸~」
如何やらガーネットさんも眠気が取れないようだ……
朝の身支度を終わらせ、パパっと朝飯を済ませて、俺たちはギルドの依頼を解決するために向かう。
「うーん、どれにしようかな……」
「そうね……あ、これなら幸になら大丈夫じゃない?」
「ん?どれどれ……」
ガーネットさんが見せてきたのは……『マッシュヒール』というキノコの採取だ。
「マッシュ、ヒール?」
「これよ」
ガーネットさんが『アイテムボックス』から出したのは、薄い青色のキノコだった。
「これが『マッシュヒール』よ。主に『ポーション』に使う材料になるから結構便利よ。それにそのままでも料理にも使えるから沢山とってもいいしね」
「へー……なら、これにしようかな。Fランクだし。」
「ええ、いいと思うわ」
『もう決まったか?なら行くぞ』
こうして、俺たちは『マッシュヒール』の採取のため、森へ向かった。
ガーネットさんの案内の下、『マッシュヒール』の場所へ着いた!
「ここが『マッシュヒール』の生えている場所よ!」
「うわー!すっげぇ光ってる!」
そこには、いたるところに『マッシュヒール』がボヤっと光っていた。
「それにしても……銀瓏、まさか別行動で狩りに行くとは……」
「ま、まぁ私がいるから、大丈夫よ」
銀瓏が『俺は狩りに行く。キノコ集めとかいうチマチマしてのは俺に遭わんからな。何、そこの魔導士がいるよっぽどのことが無い限りあり得ん』って言って、そのまま上空に飛び去って行ったもんな……
「私には『結界』があるし、ここにはFやEランクぐらいしかいないから安心して採取できるわ!」
「たよりにしてます。ほんと」
早速、俺たちは『マッシュヒール』の採取へ勤しむのだった……
何事もなく進み、数時間かけて、結構大量に捕獲した。
「捕獲数はもう達成しているけど……今日はこのキノコを使った料理もしたいし、多くとってもいいよね」
「ええ、もう捕獲数分は取ってるし、いいと思うわ。ちなみにおすすめは炒め物よ」
「へー……『ドスンッ』……?」
すると、後ろからズドンッと物音がした……振り返ると、そこには豚のような魔物が転がっていた。
「うおわぁぁぁぁ!?こ、これは……」
『ガノンだ。燻製とやらが美味しかったからな。狩ってきた』
「相変わらず凄いね……でも、今日は時間がかかったわね?」
『色々なところを回ったからな。あとその他に獲物が取れているからあっちに置いてある。後で確認してくれ』
「わ、分かった……ガーネットさん解体お願いできますか?」
「まっかせなさーい★」
ガーネットさんが自信満々に言い放ち、『解体魔法』で一瞬に仕分けされる。
そして解体した『ガノン』の肉と『マッシュヒール』を使って料理の準備を開始する。
『おお、今回は一体何をするのだ!』
「折角だし、ちょっと豪華にしようか」
まず、このガノンをボールに入れて『転移転換』で『ひき肉』にする。
『ガノン肉』⇒『ガノン挽き肉』
予めパンを転換させた『パン粉』を乳に浸しおく。
ひき肉に乳で浸したパン粉、塩胡椒、卵をいれて、混ぜる。
「あ、もしかして……『ハンバーグ』!」
「そうだけど……この異世界にあるの?」
「ええ。よくお母さんが誕生日に作ってくれたの」
「へーそうなんだ……だけど、今回はハンバーグじゃないんだ」
「え、そうなの?」
「ああ、今回はこのマッシュヒールにハンバーグの種を詰めるんだ」
「ええ!マッシュヒールを詰めるの!!なにそれ美味しそう!」
と、目をキラキラと輝かせる。面白いな……
マッシュヒールを布かなんかで傘部分を綺麗に汚れをとり、軸の部分を切り落とす。
そしてそこに、ハンバーグの種を敷き詰め、熱したフライパンに油をしいて、肉を下にして強火で焼く。
焼き目が付いたらひっくり返して、中火で蓋をする……
『ッ!いい匂いがしてきたぞ!』
「ほんと~」
ちょっと爪楊枝をさして、透明な汁が出てきたら引き上げて、皿に盛りつけたら―――完成!『マッシュヒールの肉詰め』!!
おっと最後に……
「マヨネーズとトマトっぽいやつで錬金して作った『ケチャップ』と一緒に混ぜ合わせたら……『オーロラソース』完成!これを肉詰めに掛けたら……よし!出来たぞ!」
『おお!来たか!!』
「うわー絶対旨い奴っ!!」
「じゃあ早速いただきまーす!」
そうして、完成した肉詰めをカブっと一口かじると―――
『っ!?うまぁぁぃっ!!』
「マッシュヒールの旨味とガノンの肉汁が合わさってうめぇ~……」
「このソースが肉の旨味に直結してバクバクいけるわ!」
『うむうまい!!噛めば噛むほど、このキノコと肉の肉汁があふれ出す!!――お代わり!』
「あっ私も!!」
「はいはい……待っててください」
物凄い速さで完食して、お代わりを要求する銀瓏にそれにつられてお代わりを要求するガーネットさん。
ばくばくと食べ続け、数分後にはもう空になっていた。
「旨かった……」
『うむ!』
「さてと……食べ終わったし、銀瓏。お前が取ってきた魔物を見せてくれない?」
『むっ?いいぞ、ついて来い』
と、銀瓏がそう言い、後をついていく……そこでやばいものを見る―――
『な、なんじゃこりゃぁぁぁぁ!?』
『『『………』』』ドーン
そこには、何段と積み重なった魔物の屍があった。
「ちょっと待って……『コカトリス』に『オーク』に『レッド・ブル』、『スカイフィッシュ』……CランクだけじゃなくてBやAランクの魔物が沢山……」
『狩りが楽しくてな……ついつい、狩ってしまった』
「いや楽しくてじゃないだろ!?どうすんのこれ!?」
『そんなもん、そこの魔導士が解体魔法を使えばいいだろう』
「できるか!?あんたこれBランク以上でしょ!?出来てもCランクまでよ……」
と、ガーネットさんは眉間にシワを寄せる。
「……仕方ない、取り敢えず『コカトリス』と『オーク』とかはCランクだから解体するけど……それ以外は一回ギルドで解体屋に頼むからね?」
『肉が取れるなら構わん』
「基準が肉かい……」
と、言うわけで───ガーネットさんはCランク以下の魔物を解体したあと残りのBランク以上の魔物は『アイテムボックス』にしまう。
そして、ギルドへ戻り、受付の人に依頼達成の確認を取る。
「お疲れさまです。では、確認の為、お預かりします」
「はい、どうぞ……あの、道中で魔物を狩りまして、解体したいんですけど……」
「それなら、彼方の部屋に『解体部屋』がありますので、『ガッツ』さんに頼めば解体してもらえますよ」
「そうですか、ありがとうございます!早速行ってみますね!」
俺達は、依頼の品を提出した後、その『解体部屋』へ入ることにした。
そこにいたのは、バンダナを巻いた、渋男がいた。
「ん?誰だあんたら?」
「あ、こんにちは……幸と言います」
「こんにちは、ガッツさん」
「おお、ガーネットか!ということはおまえが噂の……」
「え?噂?」
「ああ、何でもあの二つ名のドラゴンを『契約獣』にしたってもっぱらの噂よ」
「は、はぁ……」
「それにしても、マジだったんだな……生まれてこのかた、ドラゴンなんて始めてみるぜ……」
『それより、魔物を解体するんじゃなかったのか?』
おっと、そうだった……早速本題に入ろう。
「おう!で、何を解体してもらいたい?」
「えーと……結構あるんですが……」
「んー……よいしょ!」
『『『………』』』ドバァァァン!
「 」
ガーネットさんと一緒に銀瓏が狩ってきた魔物をすべて取り出し、山のように積み重ねる。
その光景に、ガッツさんは唖然としていた。
「こりゃ驚いた……Bランクの『スカイフィッシュ』に『リトル・グリフォン』、Aランクの『レッド・ブル』まで……どれも高ランクの奴ばっかじゃないか……」
「あの……解体はできるんでしょうか……」
「ああ……こんだけの高ランクだ。全て切るのに三日以上はかかるな……安心しろ、こんな高ランクの魔物を解体するんだ。長年の技術をフルに使って完璧に解体してみせるさ!」
「あ、ありがとうございます!」
よかった……どうやら、解体は問題ないみたいだ。
「それじゃあまた来ますね」
「ああ、楽しみに待っててくれよ」
そうして、俺たちはギルドを後にする。
すると、ガーネットさんが提案を出してきた。
「そうだ、ねぇ幸。明日は魔物討伐の依頼にしましょう」
「ええ?討伐、ですか」
『それはいいな』
「ええ!?銀瓏も?」
『いつまでも俺や魔導士から守れる暇がない時もなる……そんな時は自分だけにしか身を守れん。せめて護身ができるぐらいにまで戦えるようにしろ』
「そうそう……この世は『弱肉強食』……弱い者が強者に食われる世界よ?」
「うう……確かに……」
いつまでもガーネットさんに頼るのは良くないし……たまには足を引っ張らないようにしないとな……!
「よし……!明日は魔物を狩ってみせるぞ!」
「ええ、その意気よ!」
『フン……!ようやくその気になったか……』
そうして、明日に備え、夕食を食べて、睡眠をとるのだった……




