第五十六術 ついに出発!向え、『魔術協会』!
次の日、軽めに朝食を済ませた俺たちは、『ハイエルフの村』を出発する準備をする。
取り敢えず、ペガサスには、『シャンプー』と『ヘアスプレー』でも渡しておくか……ペガサス、結構毛並み気にしていたし、多めにしておこう。
後は、ホイップとコーンフレーク、あと練乳渡しておくか……ここ果実が特産だし、いっぱいあっても大丈夫だろ。
「―――っとこれぐらいで渡しておきますね」
『ありがとうさっちゃん!助かるわ~』
「もう行くのか……『魔術協会』へ」
「ええ、ケルベロスの件でちょっと……」
「それはいいが、キリン様を困らせるなよ。いくら主だからと言ってキリン様を蔑ろにするなよ」
「はいはい……分かってますよ……」
流石にそんなことはしないが……あの人次第なんだよな……
「さぁて……じゃあいよいよ行きますか……」
『だな』
『そうですね……』
「じゃあ、行きましょう。『魔術協会』へ!」
―――ダッ!!
そうして、銀瓏と麒麟に跨って、俺たちはこの森を抜けた先……『魔術協会』へ向かう。
「『魔術協会』……なんかちょっとワクワクしてきた……!」
きっと『ハリー〇ッター』みたいなところなんだろうな~
―――
私はこの『魔術協会』の様々な仕事の管理を任されている『ルーン・ガリレオ』と申します……
ただ今、絶賛緊急の対応に勤しんでいます。何故かというと……先日、このような手紙を頂きました。
『ガリレオ先生へ
ご無沙汰しております。『フラム・ガーネット』です。
爽やかな魔力の風が感じるこの頃、折り入って相談があります。実は『パシフィスト』でSランクの魔物『ケルベロス』が私たちの所属しているパーティーが討伐しまして、ギルドは解体拒否されてしまい、どうしようかと困っていた所、ヴァン先生に解体をお願いしたくこのような手紙を送りました。後日、『魔術協会』へ弟子、もといパーティーメンバーと一緒に足を運ぼうと思ってます。
対応をお願いします。 『魔導士』フラム・ガーネットより』
なんと、我が国の生徒のガーネットが、Sランクを討伐したと連絡が来たのだ。
これは喜ばしいことだ……何せ、Sランクの魔物は魔賢者が十人かそこらででやっと倒せるぐらいの強さなのだからな……それにしても、まさかガーネットが弟子を作っていたとは……珍しいな。ガーネットは一年で魔導士まで上り詰めた、エリート魔法候補だ。しかも弟子は普通、魔法士ぐらいからが一般的だが……まぁそんなことはいい。生徒の成長が見れて、私としては喜ばしい限りだ……え?じゃあなんで忙しいのかって?それは―――
『追伸:私の弟子、『サカモリ・サチ』って言うんですけど。その子、二つ名のドラゴンを『契約獣』にしています。とても頼りになる者たちなので、よろしくやってください』
なんて?
いや、待て。百歩譲ってドラゴンはいい。うん……だけど二つ名ってなに!?よろしくやってくださいって、アホか!なんてもんを契約してんだあの弟子は!?というか、よく契約できたなぁおい!?
此処を務めて30年……こんな胃が痛くなる案件は早々ないぞ……しかも、よりによってあの魔物馬鹿に知られてしまった……あいつ、自室でブツブツと何か準備してて怖えーし、何かハァハァと、顔が赤らめてくねくねし始めたし……ただえさえ、Sランクのあれこれとか最近『フォレストス』での関係が向上してたり、忙しいのに……いや『フォレストス』の件は良いんだけどね?ここ前まではあの魔物馬鹿のせいで色々大変だったわけだし……
もう、これ以上厄介なこと持ち込まないでくれよ……?
「た、大変です!ガリレオさん!」
「なんですか?」
「あの、あのあの!さささっき、エルフの長から聞いた情報なんですが……」
「?……エルフの長からですか?」
……何だろう、すっっっごく聞きたくないんだが……
「じじじ実は―――聖獣『ユニコーン』をサチという人物が『契約獣』にしたと……報告が……」
「ブルゥゥゥゥゥァァァァァァッ!?」
「が、ガリレオさぁぁぁん!?」
その報告にいに穴が開いて、口から血反吐が出る……
ば か や ろ う 。なんてもんを契約しちゃってるんだよ……サチぃ……
と、取り敢えず―――
「このことはあの馬鹿に知らせるな!あの者たちが着いたら、真っ先に私に報告するんだ!もしユニコーンが連れてきたとなれば、あの馬鹿が黙ってないぞ!!」
「か、かしこまりました!」
はぁ……と、ため息をついた私はこめかみに手をつまみ、事の重大さを整理する……
ユニコーンと言えば、あの馬鹿が『ちょっとエルフの国に行ってくるね!え?何しに行くのかだって?決まっているだろ!聖獣たちの生体を調べるのさ!できれば毛なんかも……うへへへ……』とかなんとか言って、出かけたせいですっかりエルフたちにしか心が開かなくなったと聞いていましたが……サチのお陰で変わったのか?
何にせよ、これ以上あの馬鹿の快進撃を進ませてたま「ねぇ……?」るか……あ?
「ちょっと、どういうことか、説明してくれるかい?」
うわっ……でた……
「あの……ユニコーンが……『契約獣』にしたって本当???」キラキラ……
と、魔物馬鹿が目を輝かせ、好奇心を昂らせる瞳でこちらをみていた……
スゥーー……どうしよ。
この馬鹿をどうやって諦めさせるか、無駄だと思いながらも考えるのだった。
―――
「……随分と走っているが、どのくらいだ?」
『……魔力の濃さが強くなってきたな……おそらく、もうすぐで着くぞ』
銀瓏がそういうと、やっと森を抜けた俺たち。
そこで見た光景は―――巨大な時計が付いた建物が遠くからでも分かるようにドンッと建っていた。
「あれが……『魔術協会』……」
『ふむ、『魔法の学校』と言うだけあって、此処からでも魔力の乱れが凄まじいな』
「そりゃあそうわよ。私より上の階級もちらほらいるわけだし。魔力の幅は凄いのよ」
『ふむ……』
まぁ、何にせよ。行ってみるのに変わりはないんだ。行くしかないでしょ。
「さてと、早速『ケルベロス』を解体できる『シル・ヴァン』に会いに行くぞ」
『……まぁいいだろう。さっさと行くぞ』
『あまり気乗りしませんが……仕方ない、行きましょう』
「あははは……」
こうして、森を抜けた俺は、『魔術協会』へ続く道を二人に乗りながら進むのであった……




