第五十五術 VS A+ランク ドレイク
『ハイエルフダンジョン 最下層』
着くと、そこは広いスペースの平野の所だった……
「ここは……平野?ボスは……」
『……っ、上から来るぞ』
「え?」
―――ドシィィンッ!
すると上から、銀瓏の獣形態と似た姿をしたドラゴンが降ってきた。違うのは赤黒い体と5mぐらいの大きさだった。
「あれなに?銀瓏と若干似てるけど……」
『あれは『ドレイク』。ドラゴンの劣化個体だ。だが、A+ランクだ』
「A+ランク……」
『今の私たちなら余裕です――行きますよ!』
『グォォォォッ!!』
ドレイクが雄たけびをあげると、麒麟と銀瓏が一気に駆けだす。
『ふんっ!』
『はぁっ!』
―――ズァンッ!!
『グァァァァッ!?』
銀瓏の爪と麒麟の角からの魔力でドレイクの身体にバターを切るように軽々と傷をつける。
『グゥゥっ……アアッ!』
―――バオンッ!
今度はドレイクの口から火球が二人に放たれるが……
『ふん……そんなもの、効かん!』バッ!
『っ……』スッ……
銀瓏たちは軽々と躱す。
まぁA+と言えど、相手Sぐらいだし、相手が悪いって言うか……
っと、俺たちも加勢するか……もう戦力的に十分だと思うが……
「『突風斬撃』!!」
『っ!』
―――ズォォォォッ!
『ウィズ』でドレイクを閉じ込め、ガーネットさんの魔法へとつなげさせる。
「『粉氷魔法』!」
―――ヒュオォォォッ!
風と氷、合わさった力で猛吹雪を作り出し、ドレイクを氷結化させる。
『ふっ……これで終わりだ!』
『っ……』バズズッ!
「……っ!」
その隙に、俺と銀瓏、麒麟がそれぞれに魔力を溜め、一斉に放つ。
この時、俺は銃型にした『ウィズ』に魔力を溜めている。
『はあっ!!』
『せいっ!』
「バンッ!」
―――ドコォォォォンッ!!
三人の一斉攻撃により、凍ったドレイクを破壊することに成功した。
……うん、どう見たってオーバーキルだよな。流石に可哀想になってきた。
『ふっ……肩慣らしにもならなかったが……まぁいい運動になれた』
『こんなに魔力を使うのは久しぶりですね』
「流石……おっ」
二人の強さに感心していると、ドレイクの残骸がポンッと音を立てて、ドロップ品に変わった。
素材は肉や皮のほか、宝石品もドロップしていた。宝石もドロップすんの……
「これ……珍しいわね。『龍の琥珀』って言って、ドラゴン族の魔力で作った宝石で、かなり貴重なものよ……!」
「そうなんですか?」
「ええ!これ一つで大体1000万Gはくだらないわ!」
「プェッ……」
い……1000万ってやばくね??他の宝石が霞むレベルだぞ?
「宝石は貴族の他にも魔法使いにとってかなり価値があって、触媒や杖、様々なものに使われるから妥当よ」
「へー……魔法関係だから高いんだな……」
『さて、ここのボスを倒したし、もう脱出するぞ』
「お、そうだな……じゃあ帰るか」
そうして、ドレイクを難なく撃破した俺たちはこのダンジョンを脱出するのだった……
「うわっ暗っ……」
脱出したら、空はもう真っ暗だった……銀瓏と麒麟のお陰で多少明るいが、それでも数mぐらいの明るさしかなかった。
「ここまで一気に駆け上がっていったからな……そりゃ暗いわけだ……」
『うむ……先ほどドレイクと戦ったからな、少々小腹が空いてきたな』
「ええ?さっき食ったばかりなのに?」
『……失礼ながら、私も……』
「麒麟さんも!?」
俺はあんまり空いてないけど……仕方ない、こんな時は『等価交換』で、あの商品を錬金するか……
「ねぇ、幸。その容器は何?」
「これですか?これは俺がいた世界でよく食べていた―――『カップラーメン』です!」
「カップ……?」
『ラーメン?』
『……何ですかそれは』
「簡単で、安くて、そして旨い。三拍子そろった万能即席の食料だ!」
俺は『味噌味』、『あっさり醤油味』、『シーフード味』、『チリトマト味』を錬金し、それぞれお湯を注いで三分待つ。
「……よし、いいだろう。ほら、持ってって」
『おおー!』
三分たったカップラーメンの蓋を取り出すと、スープの香ばしいにおいが鼻に通る……うーん、これこれ。カップラーメンっていえばこのジャンクな匂いだな……俺はするするいけるあっさり醬油にした。
味噌は銀瓏、シーフードはガーネットさん、チリトマトは麒麟と振り分けている。
―――ズゾゾ……
早速出来たカップラーメンをすすり出す……ん~!あっさりした味付きだから全然いけるな~!
『んん!この濃厚なスープ!はじめて飲むぞ!』
『このマトマのような酸味の効いたスープもいいですね……』
「本当~!しかもこの麺も結構いいわ!」
「でしょ~」
やっぱ『カップラーメン』って、偶に食いたいよな~
数分もかからず、カップラーメンを完食する。ここにご飯をいれておじやにして食うのもいいが、そこまで食えないから、今日はここまでにしておくか……
『ふむ……今日はこのくらいで丁度いい。それにしても、主の世界の料理は豊富なものだな……料理もそうだが、保存食もこうも旨いとは……』
「だね……ここじゃ保存の効いた食料って言えば、『干し肉』か『黒パン』だもん」
「だろ?日本の技術に感謝だな」
他にも色々あるからな……あ、レンジで作れるのもあるけど、どうしよう……『クリムゾン』に作ってもらうのもありだけど……どう説明するか……という電化製品なんてあるのか?
ガーネットさんにダメもとで聞いてみるか……
「そういえば、ガーネットさん……この世界に何か機械に特化した国とかってありますか?」
「え?機械?……うーん、機械かどうか分からないけど、魔道具が発展している国なら知っているわよ?」
「本当ですか?それってどこ?」
「たしか……『エレキトリック』ね。色々な魔道具があるから、もしかしたら幸が欲しい魔道具があるかもだし、オーダーで出来るかもしれないわ!」
「ほうほう……」
魔道具……じゃあ、『何かを温める魔道具』とかあるかもしれないな!
『そんなもの、どうするのだ?』
「これがあれば、すぐ旨い飯が温まった状態で出せるんだ。一々フライパンで温める手間が省けるし、色々使えるんだ」
『ほう……そんなものが……できれば今すぐ行きたいが、『ケルベロス』の解体が残っているからな……』
あー……そうだったな。エルフ達の村ですっかり忘れてた……確かに、此処が最後の村だったよな?
……じゃあ次はいよいよ『魔術協会』へ向かうということか。
「じゃあ、明日準備したらそろそろ『魔術協会』へ向かうとしようか。確かここが最後の村だったろ?」
『そうですね……にしても、行くんですね……あの人に会うために』
「あー……確か麒麟さん、色々あったんですよね?」
『ええ……』
と、麒麟は眉間にしわを寄せる……どこまで嫌らわれてんだよ……『シル・ヴァン』っていう人物は。
見たことないぞ麒麟のその表情……
「ははは……で、でも腕は凄いのよ!腕と知識は……」
「それフォローになってませんよ?」
『……まぁそこはおいおい考えるとして……今は明日の為に寝るぞ』
「そうだな」
そうして、俺たちは明日、『魔術協会』へ向かうため、しっかりと休眠を取るのだった。




