第五十三術 ハイエルフダンジョン
次の日、起きた俺は軽めに朝食を作ることにした……コーンフレーク残ってるし、果実と牛乳を合わせたシリアルもどきにした。
『うむ!乳に浸したサクサクの奴と果実が合わさって旨いぞ!』
『時間が経てば、果実の旨味が溶けだし、乳に更に深みが増します!』
『このサクサクと乳と果実だけで簡単だから朝に丁度いい手軽さね!』
「果実がゴロゴロしているのもいいわね~」
と、好評のようだ。
朝忙しい時の即席飯だからな。三大栄養素+ビタミンがとれて栄養満点だし、旨い。
『さてと……朝飯も食べたし、早速ダンジョンに潜るとするか!!』
『おー!!』
気合入ってるな~……まぁ俺もここ最近『等価交換』で色々と注文し続けたし、魔結晶の確保に丁度いいか……
そうして、俺たちはハイエルフの村の隣にある洞穴へ向かう。
そこには地面から生えてきたような洞穴で中に下へ続く階段があった……なんか、自然に生えたのか?
「これ……地面から出て来てるけど、自然に生えたのか?」
『そうです』
「そうです!?」
『魔物等の魔力が漏れ出した場所では偶に地面からダンジョンが生えることもあります』
「まるで意味が分からんぞ!?」
ダンジョンってそういう風に作られんの!?もはや生物の範疇を越えてるような……
もういいや、ダンジョンについて真面目に受け止めると、おかしくなるからさっさと行くか……
『ハイエルフダンジョン 一階』
薄暗い中、取り敢えずどんな魔物がいるか確認しよう。
「銀瓏、どんな魔物がいるか分かるか?」
『……ん。如何やらここにはBランクの魔物が沢山いるな』
「Bランクか……それなりに肉に良さそうなのがいるな」
『……っ!来ますよ』
「え?」
麒麟がそういわれると、暗闇から何かが光だし、襲い掛かってくる。
「うおっ!?」ギンッ!
すかさず俺は『フォース』で盾に錬成させ、謎の魔物の攻撃を防ぐ。
「っ……!?なんだ!?」
目の前には漆黒の鱗を持った蛇が俺に噛みつこうとしていた。
「あれは『ブラックサーペント』よ。Bランクサーペントの中でも、凶暴な蛇の魔物よ!」
『じっとしててください』バリリッ!
『ふんっ―――』
――ビュンッ、バリッ!!
『 』ドスンッ!
銀瓏の風魔法と麒麟の雷魔法で『ブラックサーペント』を一撃で葬った……うわ~瞬殺。
『ふん、この程度どうしたことは無い』
『大丈夫ですか?』
「え、ええ……おかげさまで……」
やっぱこの二人、相当なルールブレイカーだよな……まぁ今さらか。
素材を回収したあと、俺たちは次の階へ進む。
『ハイエルフダンジョン 二階』
次の階はオークの集団がいた。
……50匹ぐらい。うん、多い。
『はっはぁ!!物の数ではないわ!!』
『ふっ――』
二人が先手必勝でオークに突撃する……俺たちは逃げてきたオークを相手するか……
「心臓を穿て!『フォース』!!」
――ビュビュビュンッ!!
『『『グォォォォッ!?』』』
「『水槍魔法』!!」
――ギュルルルルッ!!
『グォォォッ!?』
俺は『フォース』を槍に変え、『錬成』で柄を伸ばし、オーク目掛けて三体同時に誘導弾のように突き刺す。
ガーネットさんは水魔法で槍のようにして、オーク目掛けて発射する。
そうしてガーネットさんと共に10匹ぐらい狩った後、銀瓏たちの方はオークの討伐が終わっていた。
『うむ!肉の確保完了だな……オーク肉は旨いからな』
『野菜の魔物が出て来ればいいですが……』
「流石、聖獣と二つ名……もう終わってる……」
「だね……私達で今10匹ぐらいだよ」
『さぁ!この調子でどんどん行くぞ!』
そう言い、次の階へ進む。
特に何こともなく軽々と階を攻略して今は―――
『ハイエルフダンジョン 九階』
『ふむ……もう九階か……随分早く着いたな』
『そうですね』
「そりゃ銀瓏だけじゃなくて麒麟さんもいるからな。戦力二倍の話じゃないからもう三倍よ三倍」
麒麟は加護もあるし、なくても滅茶苦茶強いから俺が出会う前に、敵が倒されているなんてことがあったからな……
いつか見た魔物の他に『ガーゴイル』やら『ゲイザー』やら不気味な魔物がいたな……
それらの素材はガーネットさんが言うには、ポーションとかの材料になるらしい。
まぁそのへんの素材はガーネットさんに任せるとして、そろそろ飯にするか。
「さて、もうすぐ中ボス戦だし、多分もう昼ぐらいだからそろそろ飯にするか」
『おお!丁度飯を食わせろと言おうとしてたところだ!』
『今日は何ですか?』
「今日は作り置きした……『ハヤシライス』だ!」
俺はハヤシライスを温め直して、ご飯を盛り、器によそいで、皆の前に差し出す。
さて、それでは―――
『いただきます!』
――パクッ
んー!!うめぇ~!溶けだしたトマトの酸味と旨味がルウと合わさってより深い味わいになってる!!
『うむ!肉もさながら、この液体もいい!前に食べた『カレー』もいいが、これもいいぞ!』
『この味……マトマですね?味もいいし、コクもいい……美味しいです!』
「肉も柔らかくて、ルウも味わい深くて……本当、美味しいわ!!」
『―――お代わり!』
「はいはい」
三人がお代わりを要求し、再びご飯とルウをよそって渡す……そんなことが何回もあり、ハヤシライスは完食するのだった。
『ふむ……幸のご飯を食べると、何だか妙に力が湧いてくる感じがしますね……』
「あー、それね。多分俺の『錬金術』の能力だと思うんだ」
『どういうことです?』
麒麟は知らないみたいだし、ここに俺たちしかいないからいいか……
「俺が錬金して作ったもので料理すると、なんかバフ効果が付与されるみたいなんだ。だから、妙に力が湧くのはそれのお陰だ」
『なるほど……』
「このことは内密な?貴族たちにバレれば色々とめんどくさいことになるからな?」
『そういうことでしたら分かりました。このことは私たちの秘密……ということで』
よしよし、麒麟は物分かりが良くていいな~
『さて、飯も食ったし……そろそろ行くとするか!』
銀瓏がやる気を出し、いざ十階層へ進むのだった……
『ハイエルフダンジョン 十階』
広い所へ着くと、そこにいたのは、ケンタウロスのような姿をしていて、皮膚がなく筋肉がむき出しになっているそこには無数の牙か生えた口があり顔に至っては燃えるような赤い目が一つしかない魔物が立っていた。
結構グロイな……
「ガーネットさん、あの魔物は……」
「あれは『ナックラヴィ―』!Aランクの魔物よ!動きが素早いけど、皮膚がないから電気と炎が弱点よ」
皮膚がないということは……淡水も苦手か?塩がしみだして、痛みが出るはず!
『電気……と言うとは、私の出番の様ですね』
『ふん!俺も炎は出せるわ!』
『……!!』ダッ!
うおっ!?こっちに突進してきた!?
「あぶねっ!?」
「キャッ!」
『ふんっ』
『おっと……』
みんなそれぞれ回避し、ナックラヴィ―は急旋回し、狙いを定める……って俺!?
「やろう、なら……」
――コポポ……
俺は『ウィズ』で魔力を込め、水を纏わせた後、そこから更に自身の体液を錬金して、水と合わせてナックラヴィー目掛けて放つ。
――ジュワァァッ!!
『~っ!?』
すると動きが止まり、悶絶する。
よし!やはり効いているな!
「一気に畳みかけるぞ!――銀瓏!麒麟さん!ガーネットさん!」
『おう!』
『承知』
「了解!」
動きを封じている間に、俺たちはそれぞれの高威力の攻撃をナックラヴィーに放つ!
「『雷斬撃』!」
『『天誅』!!』
『『牙龍咆』!!』
「『雷電魔法』!!」
――バリリッ……ボゴォンッ!!
『っ!』
雷と火炎の合わさった攻撃が、爆発を起こし、その場で勢いのある爆風を発生させる。
「うっ……どうだ?」
『――っ』
――ポンッ!
ナックラヴィーが倒れると、素材がドロップする。
ふぃ……倒した。
「なんか肉落としたけど……食えんの?これ??」
『そうだな……味は淡白で筋肉質な味だぞ』
「胸かささみって感じか?それなら、揚げがいいか……」
ささみフライにしたらよさそうだな……鶏肉と同じ味か分からんけど。
『さて、中ボスも倒したことですし、次行きますか』
「お、そうだな」
そうして、中ボス『ナックラヴィー』を倒した俺たちは『転送石』で次の階層へとワープするのであった……




