第四十七術 ダークエルフ村、到着!~クレープを添えて~
結構距離を稼いだし、もうそろそろ着く頃合いだと思うが……
『……っ!見えてきました』
「え、本当?」
『はい、あそこの木の壁を見てください』
「ん?おお!」
そこにはエルフと同じ先端が尖った木の壁に囲まれた物が佇んでいた。
あ、よく見ると二人の黒い肌をした門番がいるな。あれがダークエルフか……声を掛けてみるか……
「……っ!?止まれ!そこの者、何し来た!」
「ええと、俺たちは少し寄り道でここに……」
「何故人間がここに……しかも――魔術協会の者まで!」
「ああ、別に俺たちは荒らすつもりじゃ……」
『待ちなさい』
「っ!こ、これは――ゆ、ユニコーン様!?何故ここに!?」
うわ、すげっ……警戒したダークエルフが一瞬で解いて、麒麟に敬礼したぞ……聖獣ってやっぱこの国だと特別な存在なんだな。
『この者は私の主です。ここを通してやりなさい……確か、ヤクスギというエルフがこのことを伝えているはずです』
「……」
その言葉にダークエルフの門番二人は互いの顔を見た後、困惑した顔を作りながらも了承した。
「わ、分かりました……この村の長に確認しに行きます」
そう言い、ダークエルフの一人はこの村の長に話を伝えるため、この場から離れる……
残った一人は麒麟に質問してきた。
「あ、あの……何故、ユニコーン様はこの人間の『契約獣』に?」
『美味な食事が食えるからです』
「えっ……ええっ!?そ、それだけですか!?」
『はい。それと、今の私は名は『麒麟』ですので、そっちで呼んで構いません』
「わ、分かりました。キリン様……と、ところで!食事で契約したって本当ですか!?」
そりゃあ誰だって驚くよね……この世界の魔物は食いしん坊キャラなのか?
『ええ、本当です。あなたも幸の料理を食べれば理解できます……なんせ、彼の料理は取り込ませるほどの料理ですから』
「おう、急なハードルやめーや」
「そ、そんなにですか?」
いや……作り方は、誰だってできるからね?おい、そこの二人。うんうんと首を振らない!
そんなことをしていると、長を確認しに行った門番が帰ってきた。
「お、お待たせしました!この村の長がお呼びです!」
「え、あ、あぁ……」
そんなに走って……めっちゃ息切れしてるじゃねぇか……相当急いできたのかよ。
……取り敢えず、スポドリ渡しておくか。
「どうぞ、走って喉が渇いてると思いますので、これで水分補給を……」
「えっ?あ、ああ……す、すまない―――っ!?なにこれ旨ッ!?水なのこれ!?」
「スポーツドリンクです。中に塩やクエン酸などが入っていて、身体の水分などを補給するんですよ」
「へー……そんなものが……旨ッ」
「……わ、私もひとついいか!」
「えっいいですけど……」
俺はスポーツドリンクをもう一人の門番へわたすと、恐る恐る口に近づけ、飲む。
「っ!お、美味しい……水よりも断然美味しい!!確かに、キリン様が契約した理由もわかりますね……」
『そうでしょう……しかもそれだけじゃないです。酒や野菜も彼の手にかかれば何十倍に美味しくできます』
「「ご、ゴクリ……」」
麒麟の言葉に、二人はよだれが少し垂れる。
食い意地はどこのエルフも一緒か……
「はいはい……それより、長が呼んでいるんだろ?なら行こう」
『むっ……そうですね。では行きましょうか。案内を頼みます』
「は、はい!ではこちらに……」
「ダークエルフの村ってどんなんでしょう」
『ふぁー……退屈にならないといいが……』
そうして、門番の案内により、この村の長がいる所まで着いた俺たち。いざこの村の長と対面する……あのときは爺さんだったし、こっちも年寄りなのかな……
「うむ……よく来た、異国の者と魔術協会の者に銀龍の者にユニコーン様……」
「……」
なんか目の前に他のダークエルフより小さい、というか幼女が巨大な椅子に座っていた。
「えっと……麒麟さんこの子が……長?」
『そうです。見た目に反して彼女は50歳を超えてます』
「ごっ!?……長寿だからか、今一分かんねぇな……」
『人間に言うならおおよそ14歳ぐらいです』
「えっ若!?その若さで長なの!」
「ぶ、無礼者!!貴様、見た目で人を判断するではない!」
「ああ、すみません……」
怒られてしまった……けど、この年で村の長になるなんて凄いな。どこかの王女も幼かったし……この世界の幼女強くね?
「ふん!本当なら、このような無礼者は即刻、牢屋等おくりにするのだが……ヤク爺から聞いたぞ。異国の者、貴様エルフの村で食事を提供したようだな」
「えっ……ああ、はい」
「そしてそれが、貴様にしか作れない料理らしいな……その旨さでユニコーン様を虜にしたと……ふふふっ」
幼さを保ちつつ、不敵な笑みで興味を持つ長……ん?
「そ、それほど旨いのか……んふふ……ジュルッ」
うーん、これはまだ子供。
口からよだれが出てますね……
「クロガキ様……よだれが……」
「はっ!?――こ、コホン!とにかく、妾にその異国の料理を食わせろ!」
長の名前が、『クロガキ』って言うのか。というか……
「結局ただ食いたいだけじゃ……」
『それはいいな』
「銀瓏?」
『そろそろお昼時だ。ここらで飯にするのは良いだろう』
「あ、私も賛成」
『いいですね』
銀瓏の他に、麒麟やガーネットさんも賛同してきた……しょうがねぇな。
「はぁ~……分かったよ。じゃあ、今から食事を作るから待ってろ……と言うわけで、今から昼めしの準備をしますのでよかったらどうですか?」
「ん?なんと、貴様のとこは昼ぐらいから飯にするのか?」
「え?ええ、そうですよ。一日三食ですが……」
「ほう……妾、というかこの国じゃ基本朝・夜の二食しかなかったからの~」
そうなのか……聞けば、この国は食料の保管上、食べ物の消費を減らすため二食にしているらしい……
なら、結構沢山食べるよな~……それにここ、女性が多いな。男:女、3:7ってとこか?
こういうのは腹持ちの良いスイーツがいいよな?―――そうだ!あれにするか!
「では、今からちょっと準備するので、待ってくださいね」
「うむ。良いぞ」
取り敢えず俺は、台所に行って準備する。
今日は量が量だから、『等価交換』に頼るか……おっ、あったぞ。
今回俺が選んだのは――『クレープ』だ!オカズクレープもあるし、この二種類を錬金するぞ!
数分後――
「お待たせしました!『色々種類が入ったクレープ』です!」
『おお!!』
「中にフルーツ系とオカズ系に分けてありますので、自分たちが好きな物をどうぞ取ってってください!」
『わーい!!』
と、みんな一斉に皿に盛ったクレープを刈り取り、口に頬張っていった……圧凄っ……
「はむ……むほーっ!?な、なんだこの甘さは!イチゴに……乳か!このクリームは!濃厚でイチゴの甘酸っぱさがより際立つ~」
「ん~!旨ッ!このチョコバナナ……生クリームと合わさって甘い!」
『んむ!果実もいいが、この唐揚げ入りクレープは絶品だ!!』
『これは……魚ですね。白いソースがこの魚の味を濃厚にしてくれていますね……旨ッ』
「本当、美味しい~!」
「果実と生地が合う~!」
「うめぇ~!うめぇよ~!」
「肉もいいし、果実も旨い!これが『クレープ』か!!」
一瞬で、ダークエルフ達は『クレープ』に魅了される。
俺も食うか……ハムッ――
んん!旨い!久々にクレープ食ったけど、もちもちとした生地にフルーツやクリームの甘さが相まって旨いな~!
オカズも味を邪魔しないように生地がいい感じになっているし、この数じゃすぐなくなりそうだ……
数十分が経ち、皿に盛られていたクレープはあっという間にダークエルフや銀瓏たちの腹に収まった。
「うむ……噂どおり、いやそれ以上の旨さだったぞ!こんなものが作れるとは……これはハイエルフの所にも伝えなければ損だな!」
「ハイエルフ……ですか」
「うむ、ハイエルフはエルフ、ダークエルフより長寿で1000年以上も生きているものもいるからな」
「1000!麒麟さんより年上の人もいるんですか……」
「そうじゃ……そ、それとな……こんな時に言うのはなんだが……今日の夕食もできれば作って欲しいな~……なんて」
「クロガキ様……それは流石に……」
と、クロガキがモジモジしながら今日の夕食のことを頼んできた……材料は少ないからな……作るなら、どこか狩ってこないといけないかな……
「別にいいですけど、生憎材料が少なくて……Bランク以下の魔物等を今日中に狩ってくれれば、解体もしますし、多くの数を作れますが……」
「なんと!魔物を狩ってくれれば作ってくれるのか!?そうと決まれば、早速精鋭部隊を派遣して魔物どもを狩ってくるのだ!!」
「はっ、承知しました」
「判断が早い!?」
どこぞの天狗の仮面も驚く即決だ!?
「速攻行って、速攻で帰って来れば、『くれーぷ』と同じぐらい旨い飯にありつけるのだ!」
『おおお!!』
「今食ったあれ並に旨い飯が食えるぞ!」
「楽しみね~!」
「よっしゃいっちょ行ってくるぜ~!!」
と、ダークエルフの皆はやる気に満ち満ちていた……凄いね、飯パワー……
「では、行ってきます……今日夕食、期待していますよ!」
「あ、はい……」
そう言い、ダークエルフの精鋭部隊は魔物を狩るため、出かけて行った。
―――よし!次どうするか、切り替えよ。




