第四術 ビーフサンドイッチと門番でひと悶着
めっちゃ強いドラゴン――『銀瓏』を仲間にした俺たちは、森を抜ける前に軽く朝食を取ることにした。
「はい、朝ごはん。昨日の肉は全部なくなったから、今日はパン祭りです」
「おお! あのあんパンとかメロンパンとかのやつね!! 朝から贅沢~!」
『おい、肉は?』
即答である。
「ねぇよ!昨日お前が調子に乗って全部食っただろうが!!」
『むぅ……』
銀瓏は不満そうに唸りながらも、皿に山盛りになった菓子パンへ視線を落とした。
『仕方ない……いただくとしよう』
ひょい、と一つを口に放り込む。
『つ!!これは旨いな!豆を甘く煮たものか……これがこんなに美味しいとは……こっちはサクサクしてこれも旨い!』
どうやらご満悦らしいな……
「んー!このクリーム、初めて食べるね!」
「それは『クリームパン』です。『カスタード』っていう卵と乳などを合わせてを加熱してできたクリームです。ハムッ……」
『うむ。肉もいいが、これはこれでいい!』
「……って、肉肉言っているけど、そんなに食いたいなら銀瓏がその肉をとって来ればいいじゃねぇか」
『ハグッ……確かに、一理はあるな……』
秒で納得するな。
『いいだろう。食事が終わったら一つ狩りに行く――というわけでお代わりを要求する!』
「はいはい……」
そうして、朝食を済んだ俺たちは出発の準備を支度すると、銀瓏が狩りへ飛び立つ。
『では、ここら辺の魔物を一つ狩りに行く。すぐ戻る』
「おう、いってらー」
銀瓏は翼を広げ、バサッ!!と羽ばたき、銀瓏は一瞬で空へ消えた。
「ほんと食い意地だけはドラゴン級だな……」
「それだけ幸の料理が規格外ってことよ。私が魔物なら即契約してるわ」
「基準おかしくない?」
そんな会話をしていると――
ドンッ、と重い音が森の奥から響いた。
「な、なんだぁ!?」
『戻ったぞ』
「ええ!?銀瓏帰ってくんの速っ!?」
『昼飯が楽しみだからな、速攻で見つけて狩ったまでよ』
「狩ったって……何これ?牛?」
銀瓏が狩った獲物を見るに、角が生えた黒い牛だった。
……結構デカいんだけど。
「これ、『ロケット・ブル』ね……突進が強力なCランクの魔物ね。こんな魔物を一瞬で持って帰るなんて、流石Sランク……」
『ふふんっ……狩ってきてやったからには昼飯を期待してるぞ?』
「はいはい……ガーネットさん、解体お願いできますか?」
「ええ、任せて」
そうして、銀瓏が狩ってきた魔物を解体した後、俺たちは森から抜け出し、目的地の『ファースト』の街が見えるとこまで来た。
「おお……あれが『ファースト』か……」
「ええ。とてもいい所よ」
『おい、もうそろそろ昼飯の時間ではないか?』
「銀瓏、おまえなぁ……」
「ははっ……確かにそろそろお昼だし、魔物はこの辺にいないからいいんじゃない?」
「ええ?……しょうがないな、昼飯にするか」
『わーい!』
街へ向かう前に腹ごしらえを済ませる。
牛肉だよな?うーん……そんな手間を掛けたくないし……そうだ!外で食べるといえば、やっぱサンドイッチだね!
「ねぇ、幸。このソースは何なの?」
「俺の世界の万能ソース。ステーキに掛けると旨いんだよ!」
『ほう、ということは『ロケット・ブルのステーキ』か!』
「いや、その上をいく」
俺がそう言って準備したのは、レタスっぽい『スターレ』、『ロケット・ブルの肉』、『食パン』、そして『ブラビーズ』から何度も錬金して作った『ステーキ醤油(ニンニク風味)』!ステーキするときにはやっぱこれだよな!
まずは、『ロケット・ブル』の肉を切る!今回は薄切りと厚切りの二種類にしよう。
そして切った肉を塩、魔力転換で作った胡椒をふりかけ、焼く。
―――ジュゥッ……!
んーいい音……
『っ!おおいい匂いがしてきたぞ!!』
「ほんとだ~……」
食パンの上にレタスを敷いて、焼いた肉を置いて、『ステーキ醬油』をかける!
そして食パンを置いて乾燥しないように布などで被せて、平らなものを置いて食パンと具材を馴染ませる。
数分待って切ったら――――完成!『ロケット・ブルのステーキサンドイッチ』!!
「これ絶対うまいやつだぁ!!」
『おお!!』
「では、早速―――いただきます!」
そうして、出来上がったサンドイッチを頬張った。
『っ!!――――うっまぁぁぁっ!!』
なんだこの肉!まるで和牛だぁ!旨いし、ステーキ醬油が更にまた合う!!
「このソースと肉汁が食パンに染みて……うまぁ……」
「生の肉で食べたことがあるが……焼いただけでこんなにうまいとは……もうよっぽどのことでない限り生肉で食べる選択はなくなったぞ!―――お代わり!!」
「あっずるい!私も!!」
「はいはい……そう言うと思って、もう作ってるから」
『俺は分厚い方を頼むぞ!』
「私薄切り!!」
と、自信満々に大声でおかわりを要求する。
銀瓏もそうだけどガーネットさんもよく食べるな……
この後、銀瓏たちがバクバクと食べ進み、皆満腹だった。
結局、肉は綺麗に消えた。
「はぁ~食べた食べた~……」
『こんな食事が毎日続くと思うと、嬉しいぞ!』
「腹ごしらえも済んだことだし、『ファースト』へ向かおうか」
『おー!!』
◆
とあるギルドにて……バロンは今現状について頭を抱えていた。
「『光輝なる白銀龍』……一体どう対処を……」
「バロンさん!」
すると兵士が慌てて扉を開ける。
「っ!……何か進展がありましたか!?」
「そ、それが……なんと言えばいいか……とにかく一回来てください!!」
「?」
バロンは慌ててきた兵士に言われるがままに案内される。
◆
どうもこんにちは、幸です。意気揚々と『ファースト』に着いたのはいいんですが……いざ入ろうとしたら―――そこで待っていたのは、槍を構えた兵士たちだった。
「止まれ!! 貴様ら何者だ!!」
完全に包囲されている。
「いや、普通に旅行者ですけど……」
『む? 敵か?』
「落ち着け銀瓏!!」
だが時すでに遅し。
周囲の兵士がざわつく。
「ドラゴンだぞ……!?」
「報告の『光輝なる白銀龍』じゃないのか!?」
「なんで冒険者と一緒にいる!?」
『ふん……』
「えっと……あはは……」
「あぁー……やっぱこうなっちゃったか……」
すると、門番の責任者らしき人物が前に立つ。
「き、貴様ら!ここへ何しに来た!返答次第ではただではすまさないぞ!」
『あ゛あ゛?』
「ミッ―――」
「こらこらやめろ銀瓏!!兵士を余計に刺激してどうする!!」
『なに?』
「そうよ!もしここで銀瓏が暴れちゃったら、捕まって死刑になるし、もう二度と幸のご飯が食べれなくなるよ!いいの!」
『む、むぅぅ……ええい!大人しく待ってやるから、お前らが対処しろ!』
と、銀瓏はふて寝する。
なんかヒソヒソ聞こえる……やっぱりこいつの存在が目立っているな……
すると、その混乱の中心へ、一人の男が現れた。
「……これは一体、何の騒ぎです?」
眼鏡の男――ギルド関係者らしき人物が、現場を見て固まる。
「バロンさん!! 緊急です!!」
「緊急……?」
彼の視線が銀瓏に触れた瞬間――
「……は?」
完全停止した。
「こ、ここここれは一体……」
「こ、こんにちは~バロンさん……」
「っ!?あ、あなたはガーネット!?何故ここに!?」
ガーネットさんが申し訳なさそうにバロン……さんという人に挨拶する。
「あなた、確か『上級ポーション』を作るために自宅にいると……ん?その人は?」
「あ、はい!俺は『酒森 幸』と言います!この度ガーネットさんの弟子になりました。よろしくお願いします!」
「『サカモリ・サチ』?聞いたことの無い名だ……それにガーネットが弟子を作ったと報告はなかったはずですが……」
「え、えーと……最近なったばかりなので、バロンさんの耳には届いていいなかったと思います!」
「……まぁいいです。色々聞きたいですが、取り敢えず―――このドラゴンは一体なんですか!」
「あーそのーうーんと……まぁ、幸の『契約獣』ですね」
「かっ!?―――」
俺の『契約獣』だと聞いた瞬間む、バロンさんがカチンッと石のように固まった……
「ば、ば、ば、バカおっしゃい!!『契約獣』!?このドラゴン、しかも『二つ名』個体の『光輝なる白銀龍』がこの男が『契約獣』だと―――あれー!?本当に『契約獣』って書いてる!?それに『個体能力』が『錬金術』!?」
「あ、あはは~」
バロンさんが『鑑定』で俺のことを調べると、バッチリ『契約獣』と乗っていたことにまた驚く。
「しかもあなた、『冒険者ギルド』か『魔術教会』にもはいってないじゃないですか!?それなのにこのドラゴンを『契約獣』にできたんですか!!」
「……はい」
「あ、あぁ……」フラッ……
バロンさんはあまりの情報に立ち眩みする。
「だ、大丈夫ですか?バロンさん……」
「え、ええ……まぁ、はぁ~……最後に確認です。このドラゴンは私たちの街を破壊したりしませんか?」
「は、はい大丈夫です!銀瓏はちゃんと暴れないと言い聞かせてますんで!!だろ?銀瓏?」
『ふん……俺からは手出しはしない、危害を加えない限りな。ただ、向かってくるのならば話は別だがな?』
「ご……ゴクリッ―――」
「銀瓏、コイツまた……と、取り敢えず、破壊する気はないです!本当に!」
それを見たバロンさんは深いため息をついた。
「……武器を下ろしなさい」
「し、しかし!」
「戦って勝てる相手ではありません」」
バロンさんがそう言い、やっと兵士の警戒を解く。
「コホン、取り敢えず―――ようこそ、サチさん、ガーネット。辺境の街、『ファースト』へ」
「あ、あはは……お、お邪魔します」
こうして、俺たちは一悶着ありながらも『ファースト』へ入ることができたのだった……
異世界紹介
『パシフィスト』
比較的平和な場所F~Dランクの魔物が多い、偶にCかBランクなどの魔物が出る時もある。
『ファースト』
平凡な町で、特に言うことはない
『ロックマウンテン』
鉱山が近いところで有名、鉱物を踏んだつに使ったものがこの町の特注品
『トランザ』
『パシフィスト』で唯一の貿易街、掘り出し物などがある




