第四十五術 次の村へ出発!
次の日、目覚めの良い朝日と共に起き上がる。
朝飯の準備ですっかりと早起き気味になってきたな……前の世界ではそんな時間に起きないのにな……
『おはよう、幸。早起きとは感心ですね』
「どっかの食いしん坊たちのお陰でね……と言うか、麒麟さんも早起きですね」
『私は朝日と共に目覚める体質なので……自然と起きるのが早いです』
へー……そういうもんなのね……さて、今日の朝ごはんは――麒麟もいるし、今日は加入祝いと言うことで、ちょっと豪華にするか……
「確か、麒麟さんって野菜が好きなんですよね?」
『ええ、肉類はあまり食べませんが……』
「銀瓏の真逆ってことだな……じゃあ、今日は野菜をメインにするか」
『おや?いいのですか?』
「ああ、麒麟さんの加入祝いと言うことで」
『ほう、そんな気遣いを……ありがたいです』
「待ってろよ、すぐ作るから」
今回はパパっと作れる。そうざいの素シリーズにするか……これがあると調味料の準備もしなくて済むし、余らない!
今日は『茄子の味噌炒め』、『豚ともやし炒め』、『ガリバタキャベツ炒め』の三種を使うか。
どれもこれも旨いから、いいよな~!
『折角ですし、私も手伝いましょう』
「え?それはありがたいけど……どうやって?」
『私には『念動力』というスキルがあります。それで、物体を動かせたりと腕のように扱えます』
「それは便利だな~!じゃあお言葉に甘えて、手伝ってもらっていいか?」
『ええ』
まずは、『茄子の味噌炒め』から。
茄子ルメの果肉は乱切りにして、リトル・グリフォンの肉を一口大に切る。
フライパンに油を入れて中火で熱し、リトル・グリフォンの肉を皮目から入れ、焼き色がつくまで焼く。裏返して油大さじ1を入れて茄子ルメの果肉を加え、全体に火が通るまで4~5分炒める。
フライパンの中央をあけ、そこにそうざいの具を加え、中火で1分ほど炒め合わせれば……
―――完成!
次に『豚ともやし炒め』だ。
もやしは洗って水気をよくきって、ギネロは1cm幅の斜め切りに、オーク肉は5cm長さに切る。
フライパンを中火で熱し、オーク肉を入れて炒め、肉の色が変わってきたら、ギネロを加えて火が通るまで炒める。
もやしを加え、強めの中火でさらに1~2分炒める。
そこにそうざいの具を加え、中火で全体に炒め合わせたら……
――完成!
最後に『ガリバタキャベツ炒め』!
キャベルーツは6cm四方に切って、オーク肉は7cm長さに切る。
フライパンを中火で熱し、オーク肉を入れて2分ほど炒める。火が通ったらキャベルーツを加え、4分ほど炒める。
そうざいの具を加え、中火で1分ほど炒め合わせれば……
――完成!
後は米を準備すれば……よし、出来た!
『リトル・グリフォンと茄子ルメの味噌炒め』、『オークともやし炒め』、『オークのガリバタキャベルーツ炒め』だ!
麒麟に手伝ってもらったから、早く終わったな。
「いい匂い~……」
『中々旨そうな匂いだな……』
「おっ来たな」
『匂いにつられてますね……』
「さてと、揃ったわけだし早速―――ん?」
「じ~……」
後ろを振り返ると、そこには食べたそうにこちらを見ているヤクスギさんがいた。
……視線が痛々しいな……
「えっと……ヤクスギさんも食べます?」
「っ!いいんですか?なら、お言葉に甘えて……」
いや、そこでジッと見ていたけどね……まぁいいか。
『今日の朝はやたら多いな……まぁ全部食えるが』
「今日は麒麟さんの加入祝いだからな……いつもより豪華にしてみたぞ」
「どれもいい匂いね~!早く食べましょう!」
全員席に着き、早速出来立ての料理を口に運ぶ。
『いただきます!』
――ハグッ
「っ!旨い!!」
流石そうざいの素だ……しっかりとした味付きに肉と野菜が合う~!
リトル・グリフォンの柔らかな肉にとろっとした茄子ルメの果肉が素と絡んでうめぇ~!
「これは……なんと旨い料理だ!キャベルーツのシャキシャキ感を残しつつ、肉の旨味と合わさり、味に深みがある!ん~たまらないぞ……!」
「本当~!このキャベルーツ炒めに香ばしいタレが合わさって美味しい~!」
『このもやしという食べ物、シャキシャキして旨いですね……オーク肉と相性がかなりいい……!これなら、私でも完食できます!』
『うむ!やたら葉物が多いが、これはこれで旨いぞ!!』
『お代わり!!』
「あ、わ、私もいいだろうか……」
「はいよ~」
と、全員ご飯のお代わりを要求する。
やっぱりこういうそうざいの素で作った料理はご飯が一番だよな!
そんなこんなで、あっという間に完食したのだった。
皆朝から食うな……お代わり三杯たぞ。
あ、そうだそうだ……忘れるところだった。
「ヤクスギさん、これをどうぞ……昨日使ってたパン粉や唐揚げ粉……あと、カシワさんに色んなブレンドの『カレールウ』を。あとは……昨日、皆さんが飲んだ酒を数十本程度っと……どうか受け取ってください」
「おお、すまない。これなら、当分旨い食事にありつけるな!――そうじゃ、サチさん『転移魔法』と言うのを知ってますか?」
「ト、『転移魔法』?『瞬間移動魔法』とは違うんですか?」
「『転移魔法』はいわば物体を別のところへワープする魔法だ。『瞬間移動魔法』と違って、規模が違うから習得はこっちの方が取りやすいんだ」
「へーそうなんですね……それでどういう?」
「これを渡そうと思ってな……『転移魔法』の極意だ」
「え゛っ!?そんな貴重なのいいんですか?」
と、ガーネットさんが驚く。
そういえば、こういった極意とか魔法書とかって高価なものだったっけ?
「あれだけの施しをしてもらったのだ……それに比べれば軽い物よ!―――それとな、これを機にちょっと頼みたいことが……」
「頼みたいこと?」
「そうだ……もし、この材料が無くなったら、またここに送ってもらっていいか?勿論、タダではない!私たちが狩ってきた魔物を交換するいわば『トレード』という形で取引するのはどうだ?なにぶん、この国じゃあ『G』はあまり使わないからな……基本的に物々交換でやっているからな……」
そういう文化なんだな、エルフの国って……それに、Gは色々あって有り余っているし、魔物の肉が確保できるから、その方がいいな!
「分かりました。俺はそれで問題ないですよ」
「おお、ありがとう……これでいつでもサチさんの取り寄せる酒や食事にありつけるなぁ~!」
と、ヤクスギさんはニヤケ顔で明後日の方向を見る。
おいおい、気が緩みすぎだろ……まぁ、こっちからしたらこの世界じゃ味わえない物だからな……このくらいならいいだろう。
「さてと、これからどうしようか……」
「おっ……なら、ここから近い『ダークエルフ』の村に行ってみてはどうだ?もし寄るなら私から『推薦所』を送るぞ?」
「え?いいんですか?それはありがたいです」
これなら、他のエルフ種族達から襲われずに済むな……
「そういえば、各村で特産品ってあるんですかね?」
「ん?ああ、そうだな……ここ『エルフ村』は『野菜類』が多く、『ダークエルフ村』は『肉類』、『ハイエルフ村』は『果実類』が多く取れる感じだな」
「そうなんですね」
ふむふむ、肉類はいいとして、果実類か……『アップルパイ』とか『ジュース』……あと『ワイン』ができるな……ワインで肉をカッコよく『フランベ』したり、ビーフシチューとかにつかえるな!
そんなことを思いつつ、出発の準備をする。
いざ、出発する直前、エルフ達のみんなが見送ってくれる。
「ではサチさん、旅のご武運を祈っています」
「カレーのルウ、ありがとうな!早速お昼作ってみるよ!」
「作り方は裏に表記されてますので、安心してくださいね」
『では、出発するぞ』
『それではエルフの皆さん、行ってきます』
と、エルフの皆に最後の会話をする。
ちなみに、銀瓏の上にガーネットさん、麒麟の上に俺が跨っている状態になっている。
馬に乗るとどこぞの勇者みたいな感じになるな……
『行くぞ!目指すは『ダークエルフ村』!!』
『気合が入ってますね』
「なんせ、特産品が『肉類』だからな……銀瓏にとっては楽しみなんだろう……」
「折角だから『ステーキ』にして食いたいよね~!」
やれやれ……じゃあ行くか!
そう思いつつ、俺たちは『ダークエルフ村』へ向かい始める!




