第四十四術 麒麟
ユニコーンが契約を持ち掛けたことに驚く俺……というか銀瓏以外全員驚いてるよ!?
「待って待って待て待て待て!!正気か!?」
『ええ、正気です。というわけで契約してください。というかしろ』
「命令口調!?」
いくら何でも本気か!?飯目的で契約って……銀瓏じゃあるまいし……というか、長寿魔物は腹ペコキャラなのか??
『こんなにも美味たる食事にありつけるのなら『契約獣』にだってなります』
『ふん、よくわかっているではないか。長年生きてきた俺たちみたいな者には数十年楽しみが出来たことだからな』
『そういうことです』
「えぇ~……」
マジかよ……いくら何でも聖獣を『契約獣』にしたなんて聞いたことないぞ……というか初めてだろう……
「あれ、と言うか……『契約獣』にもなってないのに『念話』が使えてません?」
『私には創造神『ガーシュ』様の加護がありますからね……『念話』もできるんですよ』
「へー……加護って魔物とか聖獣だとそんなことがあるんですね~――じゃなくってだね!?」
そ、そうだ!こんな時はヤクスギさんに相談だ!
「ヤクスギさーん!これどうなんですか!?何とかしてください!あんたこの村の長でしょ!?」
「う、うむ……そ、そうなのだが……ゆ、ユニコーン様、どうか考えください……人間ですよ?人一倍あなた様が警戒している人たちですぞ?」
『だから何ですか……そのような物、美味たる食事の前には不要――旨いものは旨い、それだけです』
「ダメみたいだな★」
「諦めんな!!」
くっそ……どうする?このまま『契約獣』にすると、各方面から色々とめんどくさいあれこれがハチャメチャに押し寄せる未来しかねぇ……あっ!そうだ!あの事なら、流石のユニコーンでも、諦めてくれるはず!
「……分かりました。ユニコーン様がそこまでおっしゃるならいいでしょう」
『ふむ……では――』
「ですが……実は俺たち、とあるものを解体するためにとある人に会うため、『魔術協会』へ向かうのです」
『?……そのとある物とは?』
「Sランクの『ケルベロス』っていうんですけど……」
『っ!』ザワッ……
その名を聞くと、エルフ達がざわつく。
まぁだろうな……なんせ、Sランクだし……
「そ、それは本当か!」
「ええ……って言っても、狩ってきたのは銀瓏たちだけど……」
「ほら、これが証拠」
「お、おお……Sランクなんて、バイコーン様が村の侵入を止めるために狩ってきたぐらいだ……」
と、狩ったケルベロスをエルフ達はマジマジとみる……
『――して、これが?』
「実はSランクの魔物を解体できる人が『魔術協会』にいるので、向かっているんですよ」
『なるほど……その名前は?』
「『シル・ヴァン』っていう先生です」
『―――っ』ピクッ
『っ!?』
その名が出た瞬間、周りの空気がドッと重くなるような気がした……
『……成程、そう来ましたか……』
「ええ……何やら、この国は『シル・ヴァン』の奇行で『魔術協会』に深い亀裂が入っているようで……流石にユニコーン様と言えど、その人物会うのに『契約獣』になるのはどうかと……」
『ふむ……』
如何やら『シル・ヴァン』の名が出た瞬間、物凄く躊躇うユニコーンの姿がいた……言ったの俺だけど、どんだけ会うの嫌なんだ?
『ふむ……』
「……」
『ふむ……ムシャ……』
「いや、食いながら考えんなよ」
何、ナチュナルにかき揚げ食ってんねん。
そんなツッコミをしつつ、長い沈黙の上、ユニコーンはやっと決断を出した。
『―――決めました……いいでしょう。あなたの旅に同行します』
「ええ!?マジで!?」
絶対やめると思ってたけど、まさか食欲の方が勝つなんて……どんだけ食いたいんだよ。
「ええ……本当に大丈夫?確か、森の奥でひっそりと隠れるぐらい嫌なんだろ?」
『確かにそうですが……けど、いつあなたのような料理人がここに来るかわかりません。だったら、多少のリスクはあれど、ついていくのが良いと判断しました』
「そ、そうですか……」
はぁ……もうこれ、決定事項だろ……絶対貴族たちが色々と面倒事を押し寄せると考えると……胃がキリキリしてきた……
『案ずるな、たとえ幾戦の兵士が来ようとも、俺の力で全て粉砕するのみよ』
「戦争でもおっぱじめる気か?嫌だからな絶対!!」
『さて、決まりましたし……サチ、私の前に』
「あ、はい」
ユニコーンに言われ前に立つと、角を手に置いて気を落ち着かせろと言ってきたので、そうしてみる。
――すると、ユニコーンが光に覆われ、数秒経った後、光が収まった。
『――これで、『契約獣』の契約は終わりました。最後に私に名前を付けてください』
「ああ、銀瓏みたいなやつね……」
名前か……ぱっと見、金の馬だからな……ゴールド、だとなんか浮いているし……銀瓏みたいなのがいいが……あ、じゃあ―――
「『麒麟』……なんてどうかな?一応、聖獣だし……」
『『キリン』……ええ、いいでしょう。それでいきます』
こうして、ユニコーンもとい、『麒麟』が俺たちのパーティーへ入ることとなった。
うわぁ……な、なんかやばいパーティーになってきたぞ……
「あの~……ユニコーン様、同行するのは構いませんが……結界の維持は……」
『そうでしたね……っ―――』
――キュオォォォンッ!!
麒麟の角が光り輝くと、村全体を金色の光に包まれ、その後、透明になって消え去った……これが麒麟の結界?すごい神々しいな……
『これなら300年経ってもSランクの魔物が来ても大丈夫です』
「300!?凄い維持だな……」
『幸の料理のお陰で、今の結界はかなり維持ができますし、強固になってます。銀瓏の最大火力でも余裕で耐えきれるぐらいには』
『ほう、言うではないか……では試しに一つ』
「やめろつってんだろおい!」
お前らが戦うと、この国どころかその他の国が消し炭になるわ!?マジでやめろ!!
「なんと……サチの、サチさんの料理にはそのような効果が……」
「えーと……まぁ、はい。そうですね……」
「それにしても……あのユニコーン様の機嫌がよくなるほどの物があるとは……これは、そろそろ私達も重い腰を上げる必要があるのかもしれんな……」
『ひとつ言っておくが……あの料理は主しか作れんからな?』
『なんだって!?』
「うおっビックリした!?」
銀瓏の一言で、エルフ達が驚いた。
そ、そんなにショックなの……?
『主の作る料理には見たことの無い調味料があるからな……おそらく、どの国にも売っていないだろうな』
「ふむ……そうか……それは残念だ……」
「で、でも!他の国ではこの国じゃ見たことない物だってたくさんありますよ!なんなら、後で俺が調味料や酒を錬金で提供しますし……」
「なんと!そ、そこまでしてもらっていいのか!?」
「ええまぁはい……麒麟さんのこともありますので……」
「むぅ……そうだな。よし、分かった。私たちエルフ達も他国の貿易に踏み入るとするか……」
どうやら、エルフ達もこれを機に他国との接触を試みることにした。
だったら初めてだし、『パシフィスト』から初めてみるのはどうかな?あそこなら、他種族の差別もないし、安全に始められる!
「でしたら、『パシフィスト』に行ってみてはどうですか?あそこなら、差別も無いですし、比較的平和……うん、平和ですのでいいかと思います」
「そうか……分かった。この村が落ち着いてきたら、そこへ行くか。ゆくゆくは『魔術協会』へ交流でもするか……」
「え?いいんですか?」
「ああ、他の村はまだ警戒はするだろうが、いい機会だ。これを機に他の国へ観光するのも良い」
「す、凄いよ幸!もしかしたら、『魔術協会』との蟠りを解消できるかもしれないよ!」
「嘘でしょ……」
たった一回の食事でここまで変わる?
……でもまぁ、いい方向に変わるなら良しとするか。
『……不思議な人ですね。あの幸と言う人物は……たった一つの料理でここまでの人物と繋ぐなんて……』
『ふん、それだけ主の料理は最高だということだ……なって良かっただろ?』
『ええ……そうですね。』
なんか『契約獣』達が話し合っているが……まぁいいか。
「取り敢えず、時間も遅いですし、ここらでお開きにしませんか?今日は色々と疲れましたし……」
「そうだな……では、寝床は準備をしておきますので、少し待っててください」
「分かりました」
そういうことで、準備をしている合間に俺は食器等の片づけをした後、ヤクスギさんが準備してくれたベットに寝転ぶのだった……ハァ~色々あったけど、明日からどうしよ……スヤァ……
~麒麟のステータス紹介~
【名前】 麒麟
【年齢】 900
【性別】 ♀
【種族】 ユニコーン
【契約先】 酒森 幸
【パーティ】 自由の食旅
【レベル】 950
【ステータス】
・体力 15000
・魔力 30000
・筋力 20000
・俊敏性 25000
・耐久性 12000
【スキル】
・雷魔法・聖魔法・対魔力装甲 ・念動力・自己強化魔法・結界魔法
・回復魔法・無詠唱術・消費魔力術・魔力感知術・念話・浮遊魔法
【個体能力】
・聖神属性
【加護】
・創造神の加護




