第四十二術 エルフの村、到・着!!
途中『リトル・グリフォン』と遭遇し、肉を確保しつつ進むこと一時間……遂に『エルフの村』に着くことができた。見た目は木の柵に覆われた場所だな……
「では、私はこれからこの村の長に、このことを伝えるから少し待っててくれないか?」
「分かりました」
そう言い、カシワさんは村長に会って自分たちのことを伝えるために村へ入っていった。
こればっかりはカシワさんに頼むか……大丈夫かな?初めて会った時は、プライドが高くて、警戒が強かったもんな……
『安心しろ、もし戦うこととなれば俺が――』
「やめろー!!全面戦争する気かお前は!!頼むからカシワさんが戻ってくるまで大人しくしててくれよ……」
『うむ……まぁいいだろう』
はぁ~……本当、銀瓏の言うことは冗談なのか本気なのか分からんな……
そんなことが起こりつつ、待つこと数十分、やっとカシワさんが戻ってきた!
どうだった……?
「すまない、待たせたな……長から了承してもらったよ」
「本当ですか!一体どうやって?」
「何……サチが作る料理を熱弁したら、長も他のみんなも『そんなにいうのならぜひとも食べてみたい』と言ってな……どうだろう?ぜひ、私たちの村で料理を作ってもらえないか?材料はこちらで準備するが……」
ふむふむ……なるほど、カシワさんが長達に料理が旨かったことを話したら、自分たちも食べてみたいと言ってきたか……そう言うことなら、断る理由は無いな!それに食材はそっちで準備してもらえるし……ここはお言葉に甘えるのがよさそうだ!
「分かりました!それと……他にもこんな料理もありますよと言う感じで一つ、長達に献上するつまみをここで調理しますね」
「べつに構わないが……何を?」
「簡単で野菜の味が楽しめる――『浅漬け』を作ります」
「「『浅漬け』?」」
『何なのだそれは?旨いのか?』
「旨いぞ。野菜のみずみずしさにほんのりの塩味が効いて旨いんだ!」
手順は簡単だから、パパっと行くぞ!
まず最初に色んな野菜を切っておく……キュウリとナスと白菜だな!
キュウリに似た野菜を5mm幅でカットする。
ナスっぽいやつは食べやすい大きさにきって水にさらしておく。
白菜っぽいやつはざく切りにする。
その切った野菜を袋にいれ、この『浅漬けの素』を入れて、揉み込む!
その後、空気を抜いて、10分以上置いておく……長達に渡す時ぐらいには食べごろになっているだろう……
よし!準備ができたし……いざ、村長に会いに行くぞ!!
―――
カシワさんが案内したのは、他の家より立派な家だった。
ここが村長の家なのか……
いざ、入ってみると、中は結構綺麗で、赤い絨毯が敷かれていて、いかにも権力が住んでいる雰囲気を醸し出していた……すると、他のエルフよりしわが多い男エルフが現れる。
「よく来たな、人間共よ……詳しい話はカシワから聞いている……」
「あ、どうも……こんにちは」
「こんにちは……」
「うむ、カシワから聞いていると思うが、私はこの村の長、『ヤクスギ』と言う」
「あ、どうも……ご丁寧に。俺は『酒森 幸』です。冒険者をやっています」
「私は『フラム・ガーネット』です。ランクは『魔導士』です」
『……銀瓏だ』
と、皆簡単な自己紹介をする。
すると、ヤクスギさんはカシワさんが言っていた件を言う。
「さて、ここにいれたのは、他でもない。お前さんの料理が見たことない美味しい料理を出していたと言っておってな……本来なら、『魔術協会』の奴らは入国拒否だが……カシワが言うには、ここでは絶対に味わえない料理だと言い聞かされてな……本当にそうか確かめるためじゃ」
「そうですか……確か、材料はそちらで負担する話でしたよね?」
「ああ、だが私としてはそこまでする価値は果たしてあるだろうか……と思っている」
まぁ、そりゃそうか……『シル・ヴァン』っていう『魔術協会』の先生のせいでエルフたちはより一層、警戒しているからな……ここはいっちょ、警戒を解くためについさっき作った『浅漬け』の出番だな!!
「それでしたら、丁度エルフの皆様に、手軽なつまみを用意しましたので、良かったら一つどうぞ!」
そう言い、俺は『浅漬け』したキュウリっぽい奴を取り出し、汁気を切ってヤクスギさんに渡す。
「ささっ、どうぞ」
「う、うむ……これはみたところ普通のリキューリなんだが?」
「それは、塩味のある液体に野菜を付けたものとなってます。ほんのりした塩味が野菜の旨味を引き出していますよ~」
「ふむ……では、頂こう」
そう言って、ヤクスギさんは『浅漬け』したリキューリを一口かじった。
―――パキッ……
「っ!?な、なんだこの野菜は!?噛んだ瞬間、漬けていた液の塩味が野菜と合わさって……こ、これは旨い!?なんだこれは!は、箸がと、止まらん!?」
よし!掴みは完璧!これなら、村長たちの警戒を解くのに時間は掛からないぞ!!
「他の皆様もどうぞ!食べてみてください!他の野菜も準備していますよ!」
「お、おお……どうする」ザワザワ……
「折角だから食べてみようぜ?」ザワザワ……
と、他のエルフも次々に『浅漬け』した野菜を食べ始める。
すると、あっちこっちで、賞賛の嵐が飛び交う。
「うめぇぇぇ!?これ本当に野菜か!?ナースのみずみずしさが半端ねぇぞ!!」
「このハックサも中々いける……ほんのりとした塩味がハックサの旨味を最大限に引き出している……」
「んー!この『浅漬け』って言う料理、さっぱりしてて美味しいわね!」
『ふむ……悪くない味だな。肉と一緒に食えば、それなりに美味しいと思うぞ?』
如何やら、いつメンたちも美味しいと評価してもらった。これなら、文句は出ないはずだ!
「どうですか?ヤクスギさん。他にもまだ違う料理をお作りしますが……」
「うむ……承知した。私の精鋭部隊を用意し、直ちに魔物を狩ってくるとしよう……」
お、おう……判断が早いな……
「随分、早い決断ですね……」
「当たり前だ……ただの野菜が、こんな液に数分漬けこむだけで、こんなにも味が変わるのだ……これは酒のつまみにいいかもしれん!それに、『聖獣』様もきっと……」
「『聖獣』様?……それって各村の守護神的なアレですか?」
「そうだ。この村の聖獣様は『ユニコーン』様と言う一角馬だ。ダークエルフの村の『バイコーン』様とハイエルフの村の『ペガサス』様の子供だ」
「こ、子供!?」
さ、さすがファンタジー……理想よりぶっ飛んだ設定だ……
「子供と言えど、私より年上だこう見えても私は450歳、ユニコーン様は900歳だ」
「きゅっ!?」
銀瓏より長寿じゃねぇか!?
それだと、バイコーンとペガサスは一体何歳なんだ……
「ユニコーン様は新鮮な野菜が好物でな……この『浅漬け』というものをお供えすれば、きっとユニコーン様もお喜びになれるはずだ」
「へー……お供えするんですね」
「そうだ。ユニコーン様達、聖獣様は村から魔物たちに襲われないように『結界』を張られておる……そのことに感謝をし、村を守るお礼に野菜や酒類をお供えしているのだ……」
「そんなことが……ん?酒?」
いまヤクスギさんの口から、重要な情報が出てきたぞ?
酒……酒が好きなんだ、ユニコーンは……
「あの、今酒って出てましたが……飲むんですか?」
「ん?ああ、そうだ。ユニコーン様だけじゃなく、バイコーン様やペガサス様も酒を飲むぞ?むろん、私達もだ」
「へー……そうなんですね……」ニヤッ……
これはいいこと聞いたぞ!!
酒なら、『等価交換』でこの世界には無い良い物を錬金できる!旨い酒なら、きっと印象も良くなってこの国を安全に攻略できるかも……!
よし、そうと決まれば、早速お供えに行くぞ!!
「あの!もしよかったら俺もそのユニコーン様にお供えをしてもいいでですか!」
「うむ、それは良いことだ。こんな旨い物をユニコーン様に献上すれば、きっと喜ばれること間違いなしだ!頼んだぞ!」
「お任せください!必ずや舌が唸るほどの物を献上します!!」キラーンッ!
「凄い熱量だね……幸……」
『あんなキャラではなかっただろ……相当ハイになっているな……』
よーし、なんだかやる気が上がってきたぞ!!
見せつけてやるぜ……日本の努力の結晶を……!!




