第四十術 フォレストス
新章開幕――
どうも俺です、幸です。
今俺たちは、Sランクの魔物『ケルベロス』を解体するために、『シル・ヴァン』という人物に会うのだが……それには『魔術協会』へ行かなければけないので、銀瓏で絶賛飛行中なのだが……木が多いな、というかこれ森?
「なあ、銀瓏……これどこに向っているんだ?」
『ん?……そうだな、いま『フォレストス』を突っ切る最中だ』
「――はっ!?ちょっ!何やってんの銀瓏!!」
と、急にガーネットさんが大声をあげる。
ど、どうしたんだガーネットさん……いつもの様子と違うぞ?
「銀瓏!今からでもいいから迂回して、早く!!」
『何故だ?ここからだと早く『魔術協会』とやらに着くぞ』
「そうじゃなくて、ここを通るのはダメなの!色々と問題があるの!!とくに『魔術協会』の人達は!!」
「……あの、さっきから思っていたのですが、何で頑なに『フォレストス』を避けるようにするんですか?」
「うう……はぁ~……仕方ないか、いつか話さなければいけないし……」
そう言って、ガーネットさんが話して貰った……
如何やら、この『フォレストス』には『聖獣』と呼ばれる獣が街を守る守護神的な存在らしい……これは、ダンジョンの時に聞いた話だな。
で、ここからが問題で……どうやら、『魔術協会』の一人が、『聖獣』を会いに行くと言って『フォレストス』に独断で行ってきたらしい……
その聖獣をいかがわしい目で見て来て、じっくり観察等の研究をしていたのだった。
そして、聖獣はストレスで、攻撃するが……如何やら、不死身なので簡単に復活するらしい……怖っ。
最終的にはいなくなるまで森の奥でひっそりと隠れることにしたのだ……そして、『魔術協会』の人達がその人を回収しに戻ってきて、今回の件で謝罪と立ち寄らないことを宣言する……これが、ガーネットさんが言っていた理由だ。
というか……何してんだよあの人……おかげで、ガーネットさんが不憫な思いすることになってんじゃねぇか……
「それで、その問題を起こした人なんだけどその人……なんだよね――『シル・ヴァン』先生」
「え゛っ!?」
その名前って、今俺たちが会おうとしている人じゃ……というか、納得した……不死身の理由、だってあの人『吸血鬼』だし!
「ちなみにあの人、『聖獣』の『聖属性』喰らっても何故か肉体が消滅しないのよ。普通なら消えるのに」
「怖っ」
そりゃ森の奥へ避難するわ……にしても魔物のことになると暴走する人だったとは……見かけによらずやばいな……
「銀瓏、ガーネットさんがここまで言っているし、迂回するしかないとは思うが……」
『だか、もうすぐでエルフの街に着くぞ』
「えっ!?もうそこまで行ってんの!?やばいやばい……もし、エルフに見つかったら色々と迷惑ガガガガ……」
「が、ガーネットさん!?落ち着いて!?」
マズいな、相当参っている様子だ……早く何とかしないと……
「銀瓏、なるべく街の縄張りに入らず、避けるようにしよう」
『俺はべつにそのままでいいのだが……それに敵対するなら、受けて立つまでだ』
「お前はそれでいいかもしれないけど、ガーネットさんや『魔術協会』の人達に迷惑やらなんやら発生すんだよ!!飯を野菜オンリーするぞてめぇ!!」
『むっ……それはダメだ……最近葉物が食えるようになったが、オンリーだと、流石にな……仕方ない、ある程度は避けるが、対話は主に任せる』
「なるべく、見つからないようにね……」
『善処する』――ビュゥッ!
そう言い、少し早さを上げ、この森を突っ切るようにする。
しかし、俺は知らなかった……この森に住んでいる人たちは、とんでもない魔力を感知する人物だったとは―――
―――
『ハイエルフの村』
「……この魔力は―――ドラゴン!しかもただのドラゴンではない……まさか、『二つ名』!?」
「ふむ……しかし、そのドラゴンの上には二人、人が乗っている?」
「まさか――あのドラゴン、『契約獣』か!?し、しかし……あの『二つ名』を『契約獣』にするなんて、一体どんな手を……」
『ダークエルフの村』
「……」
「長老、どうしました?」
「いかんな……あの背中に乗っている魔力……『魔術協会』の者だ」
「なんですって!なぜ、『魔術協会』の奴らが……はっまさか!奴らの目的は我らの守り獣、『聖獣』を『契約獣』に……!?」
『……ケッ、ビリビリくるこの魔力……二つ名だな?しかも、人間を乗せてやがる……』
『……この気配、『魔術協会』の……あの者の魔力ではありませんが……』
『それでもいやーね……何が目的かしら……』
『エルフの村 周辺』
「……目的は知らんが、これ以上あの者たちに好きにはさせん!!」
―――
いつもよりスピード上げ突っ切っている中、銀瓏が何かに気づく。
『……むっ?』
「どうした銀瓏?」
『……どうやら、こちらの存在に気づいて、向かっているようだ……』
「ちょっ!?銀瓏、振り切れる?」
『わからんが……善処する……!』――シュッ!!
「うおっ!?」
銀瓏が、アクティブに動いて、森の木をローリングで回避する。
……うっぷ――気分が悪くなってきた……
「ぎ、銀瓏……もうちょっとスピード落として……吐きそう……」
『むっ……そうすると、追いつかれるが……』
「ならせめて、ローリングしないで……酔う」
『まったく軟弱なものだな……』
いや、本当……急に視界がグワングワンすれば、こうなるって……
そんな会話をくり広げていると―――突然、目の前に弓矢が多数振ってきた!
『っ!』――ギュンッ
「うおっ!?」
銀瓏は持ち前の機動力で、弓矢を回避し、その場で地に着く。
い、今の弓矢って……
「銀瓏……今のは……」
『ああ、今のは――エルフか』
「ああ……もう……めんどくさいことになった……」
すると、1人のエルフの女が現れた……見た目は、ファンタジーでよく見た、緑の衣装を身に纏った金髪で長髪のエルフ耳をもつ人物だ。
そのエルフが、今度は弓矢を構えて、高圧な言葉で言いよってきた。
「貴様ら!ここに何しに来た!ここがエルフの村だと知ってのことか!」
「あー違います違います!!俺たちはただ、『魔術協会』へ行くのに近かったから、この『フォレストス』によっただけです!?だから、武器を締まって頂くといいのですが……」
『……』
俺は両手を上げ、降伏のサインを出すが、銀瓏は鋭い目つきで威嚇する……
やめろ銀瓏~!あの女エルフが俺たちのことを危険分子だと思ったらどうする!
「『魔術協会』……ふっなるほど、そういうことか……」
「え?何が?」
「とぼけるな!『魔術協会』に行くのは建前で、本当の目的は―――我らの『聖獣』、『ユニコーン』様を『契約獣』にするきだろう!!」
「……えっ!?」
何かとんでもない勘違いをしとるぅぅぅ!?
「やはりまだ諦めていなかったか……幾度もなくいやらしい目で聖獣様達を観察したのもとどまらず、『契約獣』にする気とは……身の程を知れ!」
「いやいやいやいや!?なんか物凄い勘違いしていますけど、そんなこと一つたりとも思っていません!?」
「何をいう!そのドラゴンが何よりの証拠だ!!」
と、女エルフは銀瓏を指した。
え?どういうこと?
「そのドラゴン……普通のシルバードラゴンではないな?この魔力は『二つ名』!その『二つ名』がただの人間に従う、もとい『契約獣』になるなどありえん!本当は何か洗脳とか、毒しかで『契約獣』にしたのだろう」
「誤解がひどすぎる」
「だから言ったじゃん……めんどくさいことになるって……」
あまりのとんでも発言で、俺は引いた……どうしよう、この人俺の話を聞かなさそうだな……
と、そんなことを思っていると銀瓏が口を開く。
『おい、俺が人間どもに従うわけないだろう。それに、この俺が人間の洗脳や毒でやられるたまじゃないわ!馬鹿にするのも大概にしろよ……亜人風情が……!』
「っ!……な、なら何故!?何故、この者に『契約獣』なぞに……!」
『それはな……主の作る飯がダントツで旨いからだぁぁ!!』ドンッ!!
「め、飯が旨い……だと……!」
うん、まぁ、そうだよね。そんな驚愕の顔になるのは……でも事実なんだよね……飯目的で『契約獣』になったの……
『そうだ!主にかかれば、肉は当然、今まで食わなかった葉物や穀物を美味しく食えるようになるのだ!そんな料理を作れる人材を『契約獣』になるのは必然だ!』
「えっそうなの?」
「多分、銀瓏が勝手に言ってるだけよ……でも、幸の料理はおいしいのは事実なんだよね~」
まぁ、あれは日本で作られた技術の結晶のタレで作った奴なんだけどね……
すると、女エルフは、武器を少し下げ、考える。
「……」
「?あの~どうしました」
「……いや、その……そんなに、言うほどなのか?あの『二つ名』をうならせるほどの料理を……」
と、目を交互にみつめ、逸らす……ははーん?さては食いたいんだな?
まぁそりゃそうか……あの調味料たちは俺の世界にしかない調味料だからな……よし、そろそろお昼ぐらいになるし、折角だから食べてもらうか!
「でしたら、もうそろそろお昼ですし、何か作りましょうか?」
「なっ!……いいだろう。貴様の腕、見せてもらおうか」
「ほっ……何とかなりそう……」
そう言いながら、女エルフは武器をしまった。
というわけで、いつものメンバーに女エルフをゲストにお昼ご飯を作ることにしたのだった。




