第三十九術 これからの目的
二つの店を回った後、俺は早速、作ってもらった装備を着ることにした。
「じゃーん!どうよ銀瓏!カッコいいだろ!」
『ふん……俺はそう言うのには分からん……が、魔力の質がいいな』
「Aランクの素材だからな……ガーネットさんは?」
「おまたせ~!どうかな?」
振り返るとそこには、真紅のローブを包むこんだガーネットさんが立っていた。
お、おお……凄い似合ってる……
「す、凄く似合ってますよガーネットさん!綺麗で!」
「ふぇ……///そ、そんなこと言われると、こっちも嬉しいかな……って……というか、異性にそう言われたの初めて……///」
「えっ……///」
顔を赤らめるガーネットさん。それにつられるように俺自身も体が何だか熱くなる……えっとこれって……
「そ、そんなことより!!これからのことを考えましょう!!」
「えっ、あ、お、おう!そ、そうですね!!」
『何をしとるのだ……お前ら……』
と、必死に話題の切り替えの姿に銀瓏は呆れた様子で見てた。
う、うるせーな!俺だって女性の方に意識しちゃうと、なんか熱くなんだよ!
「と言っても……この国の依頼はだいたい片付いたよな?……後行っていないとこだと……『王都』になるが……」
「あそこはAランクの冒険者もいるし、そんなに困った案件はないと思うな……」
「となると……いま優先して片付けるとすれば……あれだな……」
「あれね……」
『あれか……』
俺たちが言うあれとは―――Sランク『ケルベロス』のことだ。どうやら、この国じゃSランクの解体が無理のようだ。そもそもSランクを討伐ですら少なく、解体できる人も限られているらしい……
「私の『解体魔法』がSランクに対応したらその場で出来るんだけどねぇ~……」
『もう一度ダンジョンに行ってレベル上げしかないが……それだといつ、できるか分からん』
「うーん……あっそうだ!こういう時の『全知魔書』!」
あの能力なら、異世界の知識でも扱えるはず……試す価値はあるな!
「Hey、『全知魔書』。Sランクの魔物を解体したいんだけどおすすめな人材っている?」
『『Sランクの魔物を解体できるおすすめな人材』、検索中……検索完了しました』
お、早いな……どれどれ?
その場面には銀髪のポニーテールで片眼鏡をかけた人物が載っていた。
名前は……『シル・ヴァン』、種族が……『吸血鬼』!?
「ガーネットさん、『吸血鬼』って?」
「ん?あー、血を吸う亜人ね。魔力を血液に変換したりするから魔力も豊富で、主に『ラグナロク』に生活しているわ」
「ら、ラグナロク?」
何かやばい所のような名前だな……
「通称『魔族の国』亜人や獣人たちが多くて、五つ町があって、その四つの街に『四天王』が一人ずつ住んでいて、街を運営しているのよ」
「し、四天王!?」
なにそのRPGに出てきそうな言葉!?四天王がいるって事は当然……
「あの、魔王もいるんですか?」
「あっちの呼び方だとそうね……いるわよ?」
「うわーまじかー……あの、ちなみに魔王が世界を征服するとかありますか?」
「んー……昔は聞いたことがあったわ。だけど、今は他の国で友好的な関係を気づいている国も少なくはないわ」
「え?そうなの?」
一般的な魔王は他の国を攻め落とすのが定番なんだけど……別に脅かしていないなら、安心ちゃ安心だな……
「聞かされた話なんだけど、300年前、とある人間の女性と恋に落ちて、結婚したから他の国と信頼関係を結べたと言っていたわ」
「へー……よくあるロマンス設定ですね……あれ、ということはその女性ってもうとっくに寿命で……」
「いや?まだ生きてるよ」
「生きてんの!?」
「魔王との契約で寿命が延びているから結構長寿になっているわ」
うわー……その女性に感謝だな。その人のお陰でこうして争いの平穏が保たれているから……
「ところで、脱線したけどなんで『吸血鬼』を?」
「えっと、Sランク解体におすすめな人物を検索したら『シル・ヴァン』っていう女性が出て来て……」
「え゛っ……『シル・ヴァン』先生……ですって?」
先生?ガーネットさんの知っているということは……
「この『シル・ヴァン』って人、『魔術協会』の先生的な?」
「……ええ、そうよ。この人は『魔術協会』の先生よ。主に『解体学』っていう魔物の解体に関してはエキスパートの人物よ……そこで私は『解体魔法』を覚えたのよ……」
何か聞くだけ聞くと、凄い人物に聞こえるけど……ガーネットさんがめっちゃいやそうな顔で見てるんだけど……
「あの人にかかれば魔物の解体は100%のポテンシャル保ったまま解体できるわ……だけどね……魔物のことになると……本当……はぁ……」
ガーネットさんが見たことの無い嫌な顔をしている!?どんだけイヤなんだ!?
と、ガーネットさんがうんうん唸って考え、やっと結論を出した。
「っ~~はぁー……仕方ないか。ケルベロスの肉は私だって食べてみたいし、腹くくるか……主に銀瓏に」
『はっ?何故俺なのだ?』
「会ったら分かる」
『お、おう……』
ということは、目標は『魔術協会』ってことだな。
地図によると……ここから『フォレストス』に入って突っ切る感じか……
「取り敢えず、フォレストスは入らず、迂回するしか……」
「何を言う。このままフォレストスに行った方が早いだろう」
「あそこはダメなの!特に私みたいな『魔術協会』の人は特に!」
「……なんでですか?」
「うぅ……ちよっと色々あったのよ……」
どうしたんだろう……ガーネットさん。こめかみにしわを寄せて……
「取り敢えず、目的も決まったし、早速明日準備していくぞ!」
『おー!!』
「おー……」
そういうことで、俺たちは明日に備えて晩御飯を食べて眠りにつく……
そして次の日、この街から出るので皆に挨拶しに行く。
最初はギャリックさん。買い取り金とか受け取った後、大笑いしながら見送ってもらえたな……
「おお!もう行くのか!」
「はい、『魔術協会』で『ケルベロス』を解体に……」
「そうか……ははっ!応援しているぜ!」
次に『エリザベート』の店長。丁寧な言葉で暖かく見守っていたな。アクセサリー、楽しみにしています!
その次に『クリムゾン』の店長。また旨い飯をよろしくと催促された……今度何かキッチン道具とか作ってもらう時にくるか……
「さて……長旅になるし、食材も買ったから行く準備は完了!そっちは?」
『うむ!こっちは大丈夫だ!早くケルベロスの肉をありつくぞ!』
「私も大丈夫よ。さっき、『魔術協会』に解体の件の手紙を転移したから、いつでも行けるわ」
物の転移魔法!へーそんな物もあるのか……魔法ってやっぱりすごいな。
「よし!じゃあ早速、『魔術協会』へ向けて――出発!!」
『うむ!待っていろ、ケルベロスの肉!!』
「はぁー……お願いだから、無事に何事も平穏に着きますように……」
こうして、俺たちはSランクの『ケルベロス』を解体するために、『魔術協会』へ向かうのだった……
次回、新たな国に突入!




