第三十六術 ケルベロスVSエナジードリンク(ゼリータイプ)
魔物の報告を受けた後、ギャリックさんと共に、ギルドの広場に向かう。
「ついさっき、冒険者の人達がひどい重症を……」
「命があるだけよしだ!Sランクでそれだけの損害だったら十分マシだ!!」
「え……Sランク!?」
ゼパルよりも目劣りするが……Sランクでも十分強いはずだろ!?というかなんでSランクがここにいんの!?
「ここ比較的平和な国でしょ!?なんでSランクが現れるんですか!?」
「おそらくだけど……『レオンガル』に現れたあの魔物のせいだと思うんだよね!」
「ほんと『レオンガル』って碌でもねぇ国だな!!」
着くとそこには……重症を負った冒険者たちが受付の人達で治療しているところだった……
それはもう痛々しいほどの冒険者たちや苦しみの声が響いていた。
「うぐっ……い、痛ぇよ……」
「おい!ポーションは!」
「そ、それがもう切らしてまして……毒消しもありません……」
「くそっ!こんな時にか!!」
「あ、あの!!」
すると、ガーネットさんが手を挙げて言う。
「私、中級ですけど……ポーションならあります!」
「っ!そうか、それでもありがたい。早く――」
『待て』
「っ!」
ど、どうした銀瓏……急に止めて……
『フン……その程度では、ケルベロスの毒なんぞ治るわけなかろう……どれ、ちょっと貸せ』
「あっちょっ……どうするの?」
『……っ』
――ブチッ
ガーネットさんからポーションを受け取ると、銀瓏の指を少しかじり、血を流す。それをポーションに少し入れた。
『それを振ってからそいつらに掛けろ。毒も治る』
「……や、やってみる!」
そう言うと、ギャリックさんは軽く振った後、傷を負った冒険者に銀瓏の血入りポーションを振りかけると、数秒で痛々しい傷が塞がり、変色していた皮膚が治った。
効力すげぇ!?
「っ!なんて回復力だ……ドラゴンの血はエリクサーの材料に使われるといっていたが、ここまでとは……」
「これなら……助かるかもしれません!」
どうやら、あっちは大丈夫そうだ……
「銀瓏、どうした急に?お前らしくないぞ?」
『フン……気まぐれだ』
「?」
「もしかして、辛そうな顔した幸のことを気遣ってくれたの?」
『っ!――そ、そんなわけがなかろう!!タダの気まぐれだ!!』
と、顔が少し真っ赤になりつつ否定する……照れ隠しだろう……銀瓏、お前……俺の為に……
「銀瓏~お前結構いいところあるじゃねぇか!見直したぞ?」
『~~えぇい!そんなことよりだ!あのケルベロス、確か沼地にいたと言ったな……』
「は、はい!様子を見に来た冒険者が探索していると、ばったり会ってしまって……」
にしても……何故あそこに?
「おそらく、Aランクの魔物たちが居なくなったから、住処を変えた可能性もあるかもしれないな……」
「そうなんですね……ん?Aランク?」
あ~(思考中)あ~(察し)あ~(自責)……完全に俺たちのせいやん……銀瓏がAランクを狩りつくしたから、誰もいない場所に偶々Sランクがはいってきたって感じかよ~……
「この原因って……銀瓏が魔物を狩っていったからじゃん……」
「だとしてもどのみち入るのも時間の問題だ……よし、聞けぇみんな!!」
『!!』
すると、ギャリックさんが豪快な声で冒険者たちをまとめる。
「いいか!時は一刻も争う!Cランク以上の冒険者は強制参加だ!皆、気合入れていくぞぉ!!」
『オオオォォォォッ!!』
うわぁ……凄い気合だ……というか、俺もCランクだから行くのか~S+ランク倒したからどの道行くんだろうな~これ……
「というわけだ。帰ってきて早々悪いが、どうかSランクの『ケルベロス』の討伐に参加してくれ」
「え、ええ……はい、それはいいですけど……」
「よし、みんな聞いてくれ!このパーティーはあのダンジョンを攻略した奴らだ!しかも、S+ランクも倒した実力者だ!安心して戦えよ!」
『オォォォォッ!!』
「魔賢者やSランク冒険者でも討伐ができなかったあのS+をか!」
「こりゃやべぇぜ……行けるぞ!」
「急なハードル!?」
そういうのが一番嫌なんだけど!?だ、だけど……銀瓏もいるし、何かあっても大丈夫だが……
『そういえば、『ケルベロス』の肉は結構うまかったな……うむ、主よ。『ケルベロス』を狩ったらその肉を頂戴するぞ!』
「えぇ……というか、食えるのそれ?犬の肉だよな?」
『ああ、Sランクだからな……それなりに味もいいのだ』
Sランクってそういう物だっけ?けど、銀瓏がそういわれるぐらいだし、気になるな……
「はぁ~しょうがない、本当は行きたくないけど……ギルドマスターに名指しされたんだ……よし、ここはいっちょ『ドーピング』の出番か……!」
「『……『ドーピング』?』」
こうして、俺たちは冒険者たちを連れて沼地に行く。
銀瓏が『別に冒険者の増援はいらんのだが……』と言っていたが……ま、まぁもし他の魔物がこっちに向かう可能性もあるし、と言ったら、銀瓏も渋々了承した。
……よし、ここである物をだすか。
『それが主が言っていた『ドーピング』というものか?』
「ああ……と言っても、安全な薬用食だからそんなに気を引き締める物じゃないが……」
そう言って取り出したのは……社会のお供と呼ばれる『エナジードリンク』だ!中はゼリータイプで食感も楽しめるものになっている。
それをガーネットさんと銀瓏に渡した。
「これ……ゼリー?飲むの?」
「ああ、ゼリー飲料だからな」
『ふむ……ジュー―――っ!旨い!なんといいのど越しだ!変わった味だが、悪くない!』
「だろ?ガーネットさんはどうですか―――」
「……」ゴゴゴゴッ……
「 」
な、なんか、ガーネットさん……肉質変わってません?なんかどっかの世紀末に出てきそうな見た目に変化してるけど……
「すごい……この力……これなら最上級魔法が出せるかもしれない……!」
「え、あの……が、ガーネットさん?ぎ、銀瓏!なんか、ガーネットさんの様子が――」
『これが『ドーピング』というものか!以前より力が倍増しておるぞ!!』キラキラ……
銀瓏の体がめっちゃキラキラ光っとる!?
「ぎ……銀瓏?」
『どれ……ちょっとは遊んでやろうか……』
「気が高まるぅ……あふれるぅ……」
そういい、沼地の入り口に二人は立つ……なんか、やばい雰囲気が……
『行くぞガーネット!!』
「ウォォォォォっ!!」ドッ――!!
雄たけびを挙げながら二人は沼地の奥へ行って止まった……
「……あのあなたは行かないんですか?」
「……先行っちゃったし……取り敢えず帰ってくるまで待とうか……」
冒険者の一人がなんか言ってるけど、知るか……あの暴走をどうやってついていけるんだよ……
と、考えながらも数分ぐらい待つ。
なんか、途中大きな音が鳴ったけど……気のせいだよな?気のせいだと思わせてくれ……
数十分後―――
『うむ……帰ってきたぞ……』
「うへぇあ……」
「……」
そこには気が抜けた二人がケルベロスの亡骸を引きずってきた姿があった……
『ケルベロスは倒したが、それでも暴れ足りなくなって、そこら辺にいる魔物をついつい狩ってしまったな……だが、急に体がだるくなってしまっな……』
「だからガーネットさんもその状態で背負われてるのか……」
「うん……なんか時間経ったら急に力が抜けて……残りは『マジックボックス』にいれてる……」
「そ、そうですか……」
俺はふと、後ろを見てみると、案の定冒険者たちがざわついていた……
「嘘だろ……」
「あのSランクの『ケルベロス』がこうも簡単に……」
「おれ……初めて見た……ケルベロス……」
「やっぱりあのドラゴンつえぇ~……」
「……」 (汗)
はぁ~……いいのかな……これ絶対普通は犠牲者が出るはずだろ?
というか、このエナジードリンク……効果どうなってんの?
後で確認してみたが、このように書かれていた。
『エナジードリンク (ゼリータイプ) 現代社会で働く者に使う飲料ゼリー。飲むと、ステータス全体200%UP、十分後『脱力状態』でステータスが全体50%下がる』
……これは、S+ランクの時以外、封印だな……




