第二十八術 いざ行かん!トラン・ザ・ダンジョン
翌朝、俺たちは早速ダンジョンに潜るべくダンジョンの入口に受付があるので、そこで手続きを済ませる。なんか人がいっぱいだ……それにダンジョンの入り口が豪華すぎない?
ガーネットさんが言うには、国が正式に認められたダンジョンはそれなりにルールがあるらしい。
以下の内容が国のダンジョンでのルールらしい……
・基本、相手が戦っている魔物に加担するのはNG。ただし、助けを求めたり、通行の邪魔の時は致し方なし。
・最初に魔物を倒した冒険者が素材を獲得する権利がある。本人が受け取らない意思があれば貰ってもよい。
・中ボス、ボスの部屋は、他の人が入っていたら、救助要請がくるまで素直に待つ。
と、だいたいこんなところだ。まぁ要は横取り、ダメ、絶対ってことだ。
「命の危機を感じたら速やかに脱出するのを推奨します。それでは、ダンジョン攻略頑張ってくださいね」
「はい、どうも……よし、いこうか!!」
『うむ』
「ええ!」
こうして、俺たちは緊張と怖さを胸に潜め、早速ダンジョンへ潜るのだった。
『トランザダンジョン 一階』
『ふむ……如何やら、十階まではタダの雑魚魔物ばっかのようだな……雑魚相手に時間をかける暇はない。このまま突っ切るぞ』
「ええ!他の人もいるんだから、気を付けて行けよ?」
『善処する』
本当に善処する気あるのか?
と、そんなことを考えつつ、銀瓏の後ろに乗る俺達。
銀瓏は翼を広げ、突撃の準備をする。
『では行くぞ!』
「銀瓏、頼むから安全運転で―――あああああっ!?」
ゴォォォッ!と物音を立てながら、ダンジョンの十階まで一気に駆け降りる……安全運転って言っただろォォォ!?
――ドコッ!
「うおっ!?」
――バキッ!!
「うひゃぁ!?」
――――ズドォォォンッ!!!
「な、なんだぁ!?」
次々に他の人が戦っている魔物を蹴散らしながら先へと進む。お前!もうちょっと回避する努力しろよ!!
「やややややりすぎだ銀瓏!!他の人達の魔物がお前の体当たりで倒してる!」
『何を言う。ルールにもあっただろう『通行の邪魔の時は致し方なし』……と』
「だとしても限度ってもんがあるだろ!!」
これじゃあただのひき逃げだよ……かなり悪質の……
と、そんなこんなであの後も道の射線上に突っ立ってた多数の魔物を一気に蹴散らしながら九階層まで辿り着く……お前、本当お前ってやつは……
「ハァ……ハァ……銀瓏、お前本当……一回加減という物をしれ……ハァ……」
『ふん、近くにいた魔物がわるい』
「どこの犯罪者の台詞だよ……」
ハァ~……もういいや、数分しか経ってないけど……ひとまず休憩をはさむか……
「さっきのでちょっと疲れたら……おやつ食べましょう」
『おやつ?』
「間食だよ。小腹が空いた時に菓子とか食べることだ」
『おお、つまりデザートか!』
「まぁ……あながち間違ってないけど……」
「今日は何するの?」
「うーんそうだな……」
この後も銀瓏に沢山動くからな……栄養が高いものにするか……だったら!
「栄養があって、なおかつ美味しいといえば……『栄養バー』だな!」
『栄養バー チョコ味』
【お支払い】
果実or木の実×5個
チョコ×1個
or
MP 100
丁度、果物系もあるし、魔力消費も少ないから沢山買えるな!
そうして、色んな栄養バーを沢山錬金して、二人の前に出す。
「ほら、どうぞ」
『ほう……スンスン――これはチョコか、どれどれ……』
――ザグッ!
『ん!口に入れた瞬間、チョコの甘さと果実の酸味、木の実の香ばしさが合わさって、旨いぞ!それになんだが、力が上がってきたぞ!』
「ん~この白いのもチョコだ~甘ーい!」
「ガーネットさんが食べたのは『ホワイトチョコ』味ですね。他にも『クッキーinベリー』や『プロテイン味』、『グレープフルーツ味』なと色々豊富ですよ」
「へー……いろんな種類があるのね」
「ええ、しかもどれも旨いエネルギー食です!」
と、間食を楽しんでいると、ふと、声を掛けられる。
「ちょっといいか?」
「ん?えっとあなた達は……」
「俺らは上の階にいた冒険者だ。実はさっきあんたたちが通り過ぎた時に魔物を引き倒した素材が沢山あったんだが……」
「あ~……銀瓏のですね……」
「一応、あんたのパーティーが倒したんだから、持ってきたんだか……」
「あ、大丈夫大丈夫!大丈夫ですので、その魔物の素材は皆さんが手に持っててください!そうだ……ついでに皆さんもどうぞ!ここまで来るのに疲れているでしょうし……栄養補給ということで……」
と、俺は『栄養バー』がたくさん入った皿を冒険者たちに見せる。
「そ、それは嬉しいが……いいのか?」
「ええ、ぜひ!銀瓏が迷惑をかけたお詫びとしてぜひ!」
『おい』
「これに関しては銀瓏が悪いんだから大人しくしなさい」
『む、むぅ……』
「そこまで言うのなら……いただこう」
そう言い、1人の冒険者は手に取る。
――サクッ!
「ん!?な、なんだこれは!う、うまい!!果実か!?こんなにうまいもんは生まれて初めてだ!」
「皆さんも、どうぞ」
「お、おお……」
1人の冒険者が絶賛していると、他の冒険者たちもぞろぞろと、一つずつもらい、食べる。
「うまっ!!なんだこれ……ビスケットか!?」
「いやクッキーか!?こんなにサクサクした菓子は初めてだ!!」
「この茶色の菓子もうめぇ~!甘くてとろけそう!!」
「中の木のみが生地と合わさって旨いぞ!」
どうやら、冒険者たちの受けがよろしかったようだ。
「こんな菓子を食べれるなんて……夢みたいだ……」
「ははは……じつはそれ、手軽に食べられる携帯食でして……栄養豊富で旅先で食べる時に便利かと」
「なんだと!?普通は長旅だから鮮度優先で『干し肉』とか『黒パン』ぐらいしか食べられないものなのに……い、いくらだ!!いくらするんだ!!」
「え、えーっと……そうですね」
と、冒険者の人が血眼で見る……
これ大体日本円で100円だから……うん、手数料込みで売っていいよな。どうせ、俺の世界しか食えないし……
「そうですね……『200G』でいかがでしょうか?」
「「「に……っ!?」」」
すると、冒険者たちの動きが止まった。
あ、あれ~どうした?
「おい……本当にこれが200Gなのか?」
「え?ちょっと高かったですか?」
「いやいやいやいや!むしろ逆、安すぎだ!こんなものが200Gが買えるなんて夢見たいだ!『干し肉』だって500Gぐらいだし!というか、200Gで買えると帰って怖い……」
そ、そうなの?いかん、俺の世界とここの世界の価値観のギャップが激しすぎてついていけない……
「えっとじゃあ……合間を取って、『400G』でいいですか?」
「あ、ああ……そうしてくれると助かる……」
「あのところで……この茶色の菓子はなんですか?甘くてとろけそうな味だったけど……」
「ああ、それはち――」
「へい!ストップ!」ガシッ
「むぐっ!?」
女戦士の冒険者がチョコのことを聞こうとしたら、急にガーネットさんが俺の口を塞いだ。
「ここで『チョコレートです』って言ったら、場が凍るに決まっているでしょ!?感覚麻痺してたけど、『チョコレート』も『クッキー』も高級なのよ!それ知ったら、皆驚愕するわよ!」ヒソヒソ……
「そ、そうでしたね……」
そういえば前にガーネットさん、初めてのパンを錬金したときに言っていたな……危ない危ない……危うく、大惨事になるとこだった……と、取り敢えずそれっぽいこと言って誤魔化そう……
「えっと……それはですね。あの高級と言われる『チョコレート』を格安で再現したものです」
「『チョコレート』……!そんな高価なものを……『400G』で……」
「ああ、大丈夫です!それは限りなく、『チョコレート』に似た味で構成されていますから、そんな高価なものは一切使っていませんから!そんなに躊躇わなくて大丈夫です!」
「う、うむ……」
という設定で行こう!な~に、どうせ冒険者が『チョコレート』や『クッキー』なんてこの世界じゃ滅多に食べられないし、製造も味もわかんないはずだからバレはしない……チョコは知らんけど、クッキーは小麦、バター、卵で作れるから大丈夫……
「そう言うことなら、気兼ねなく買えるな……すまない、1枚ずつでいいから10……いや20個くれ!」
「私、30個!!」
「俺、10個!」
「僕は『チョコ』と『プロテイン』ってやつを!」
「はいはい!少々お待ちを~!!」
そうして、俺は冒険者たちに『栄養バー』を販売する……ガーネットさんも手伝って、なんと『4万G』稼いだ……凄すぎぃ~……
「ありがとう、おかげでいい物が買えた!」
「どうぞお気になさらず~偶々でしたので……」
「このあとはどうするんだ?」
「俺たちは下の階層へ進みます」
「そうか……俺たちは中ボス倒した後、ここから出る予定だから、先に行っていいぜ」
「分かりました!あと、他の冒険者たちが来たら、素材は持って帰っていいと伝えてください」
「おう、いいぜ!それじゃ頑張れよ!」
「はい!」
俺は、冒険者たちに挨拶を済ませた後、銀瓏たちと合流する。
『終わったか?』
「ああ」
「さてと……行こうか皆!」
俺たちは、次の階の中ボスを倒しに行くため、次の階層へと進むのだった……




