第二十二術 ダンジョン帰りだと、盗賊相手で拍子抜けする
トランザへ向かう道中、ふと気になったことを思い出した。
「そういえば、ムーンビーストも倒したし、レベルが上がったかな?」
「確認してみよっか」
【名前】 酒森 幸
【年齢】 20
【性別】 ♂
【職業】 Cランク冒険者
【パーティ】 自由の食旅
【レベル】 37
【ステータス】
・体力 1000
・魔力 4000
・筋力 440
・俊敏性 410
・耐久性 430
【スキル】
【契約獣】『光輝なる白銀龍』
【個体能力】
・錬金術
・等価交換
【加護】 創造神の加護【小】
「もう37か……。40も見えてきたな」
ついこの前まで一桁台だった気がするのに、随分と成長したものだ。
続いて銀瓏のステータスを確認する。
【名前】 銀瓏
【年齢】 600
【性別】 ♂
【種族】 シルバードラゴン
【二つ名】 『光輝なる白銀龍』
【契約先】 酒森 幸
【パーティ】 自由の食旅
【レベル】 550
【ステータス】
・体力 7000
・魔力 11000
・筋力 7800
・俊敏性 8000
・耐久性 9300
【スキル】
・炎魔法・水魔法・雷魔法・風魔法・土魔法・形態変化・対魔力装甲 (NEW)
・ドラゴン魂・無詠唱術・消費魔力術・魔力感知術・念話
【個体能力】
・氷結魔属性
おっなんか新たなスキルが登録されてる……『対魔力装甲』?
「ねぇガーネットさん。この『対魔力装甲』っ?」
「名の通り、相手からの魔力攻撃の通りを半減するスキルよ。元々、耐久性が高いのに要塞化しちゃったね」
「ハハハ……」
笑うしかない……ただでさえ要塞みたいな性能なのに、さらに要塞化している。
続いてガーネットさんのステータスも確認する。
【名前】 フラム・ガーネット
【年齢】 25
【性別】 ♀
【職業】 魔法使い『魔導士』
【レベル】 50
【ステータス】
・体力 900
・魔力 2000
・筋力 430
・俊敏性 400
・耐久性 500
【スキル】
・炎魔法・水魔法・雷魔法・風魔法・土魔法・氷魔法・瞬間移動魔法
・解体魔法・状態変化魔法・消費魔力術・鑑定・アイテムボックスLv8
【個体能力】
・結界術
・属性結界術(NEW)
お、ガーネットさんも新たな個体進化してる……『属性結界術』?
「ガーネットさんの『個体能力』も進化していますね」
「本当ね。どれどれ……『属性結界術』?魔法の結界貼れるってことかしら?」
「試しに一回してみます?」
「そうね……」
そういうことで、一旦離れたところで、ガーネットさんの新スキルを試すことにした。
「行くよ~『火炎結界』!」
───キュィィィン……
辺りが結界を包み込み、空間が赤くなった!
「試しに……『火魔法』!」
ボッ――!
小さな火球が放たれる。
次の瞬間―――
ドゴォォォォンッ!!
離れた木が爆発し、《《根元から吹き飛んだ》》。
「「………」」
思わず無言になる。
威力すご……
「あ、あれ~?」
ガーネットさん本人も困惑していた。
「初級魔法だったんだけど……」
「初級……あれで?」
『なるほどな』
銀瓏が感心したように呟く。
『この結界は属性魔法を強化する効果を持つようだ。俺の氷結魔属性にも匹敵する強化率だな』
「マジかよ……」
「しかもこれ、味方にも効果があるみたい」
「え?」
「幸や銀瓏が魔法を使っても強化されるわ」
成る程、所謂バフ要員ということか……魔力の底上げ出来るのは助かるな。
「取り敢えず、ダンジョンもクリアしたことだし、さっさと『トランザ』へ向かおうか」
「そうね」
『うむ、丁度いい運動になったしな』
銀瓏にとってはダンジョンは運動するためのやつかよ……と、呆れながらも、俺たちは再び銀瓏の背に乗り、『トランザ』へ向かう。
◆
『トランザ』へ向かうため、しばらく飛行を続けていると。
『………っ!』
急に銀瓏が止まった。
「どうした銀瓏?」
『おい、あそこの馬車……盗賊に襲われているぞ』
「えぇ!?」
銀瓏が行った方向へ見ると……一台の馬車が大勢の盗賊に囲まれていた。
騎士と魔法使いが必死に応戦している……多勢に無勢、急いで援護しないと!
「銀瓏!急いであの人たちの援護へ向かうぞ!」
『むっ……何故だ?俺は別にどうでもいいが……』
「後でご飯豪華にするから!!」
『っ…!』
目の色が変わった。
『その言葉、忘れるなよ!』
バッ―――
「「うぉぉぉぉっぁぁあ!?」」
めしのことでやる気を出した銀瓏は全速力で向かってくれたけど……もうちょっとスピード落としてぇぇ!?
―side ルーシー―
私は『ギャロップ・ルーシー』、『パシフィスト』の王都にある国王の直々の直近の騎士だ。
先日、用事により遠出をしてその帰路の途中、盗賊の襲撃を受けてしまった。強さはそこまでではないが、後ろには王女様がいる……レットの支援があるとはいえ、何とかしなければ!
「ルーシー!私も戦います!」
「ダメです王女!あなたをここでこんな俗共との戦いに巻き込ませては!」
後方の王女様を守りながら剣を振るう。
魔導士レットも援護しているが、数が多い。
「ですが、その数では……」
「確かに、ちょっとやばいですが……」
「レット!弱気になるな!」
くっ、このままでは――
「へっへっ!いくら王族のお前らでもこの数の相手で守り切るのはつらいようだな……!」
「くっ!……?」
盗賊が勝ち誇った声を上げた、その時だった……
遠くから何かが近付いてくる風を裂く轟音。
いや、それだけではない、何か絶叫のようなものが……
「「ああああっ!?」」
『……』バサッ!!
「「「っ!?」」」
上空を見上げると、そこには巨大な銀色の影が舞い降りた……ドラゴンだ。
……ん?待て、人が乗っているぞ!?
『―――グォアアアアアアアッ!!』
―――ドコォォォンッ!!
放たれた氷のブレスが地面を凍結させ、巨大な氷山を作り上げた。
私は思わず息を呑む。
(まさか……)
『光輝なる白銀龍』
噂でしか聞いたことのない二つ名個体……その存在が目の前にいた。
『おい、そこの山賊共』
その時、あのドラゴンから『念話』が聞こえてきた。
『そこの騎士たちとの戦闘をやめ、武器を捨てよ。あれのように氷結のコレクションにはなりたくなかろう?』
「あ……ああ……」
盗賊たちは顔を青くし、一斉に武器を捨てた。
戦意など残っていない。
こうして私たちは、あっけなく危機を脱したのだった。
◆
銀瓏が早すぎて、意識失いかけたけど、なんとかすんだ……
すると、そこに金髪の長髪騎士と、紫髪のボブカット魔法使いと、貴族のような金髪子供の少女が寄って来て、その騎士が声を掛けられる。
「すまない、助かった。私は王都で騎士をしている『ギャロップ・ルーシー』だ。よろしく頼む」
「あ、どうも!お……私は『自由の食旅』というパーティに所属してます。『酒森 幸』です」
「私は同じく『自由の食旅』に入っている、魔導士の『フラム・ガーネット』です」
『……フンッ』
「あー……こいつは銀瓏、私の『契約獣』でして……」
「『契約獣』!?どうりで、『念話』が使えるのか……」
ルーシーさんが目を見開いた。
すると紫髪の魔導士が恐る恐る口を開く。
「あの……すみません、聞いてもよろしいですか?」
「あ、はい。何でしょう?」
「私は『バイオ・レット』と申します。あの、確認ですけど……鑑定で見ましたが、そのドラゴン『光輝なる白銀龍』って出てますけど……」
「あーはい。あってますよ」
「ふ、二つ名個体を『契約獣』にって……相当お強いんですね……Sランクですか?」
「あ、いえ違いますよ。自分まだなりたてのCランクでして……」
「えっ!?」
「なに!?」
二人が同時に固まった。
「……ちょっと冒険者カードを見せてくれないか?」
「あ、どうぞ……」
そう言い、冒険者カードをルーシー達に見せる。
すると、交互にカードと自分を見比べ始める。
「……本当にCランクだ」
「本物のようですし、ウソではないのですが……」
「あ、あの!」
「ん?」
と、二人がひそひそと話しているとき、金髪の子供の少女が話しかけてきた。
「どうしたんですか?」
「私の名前は『マスカ』と言います。そ、それで、サチ様はあのドラゴンをどうやって手名付けたんですか!!」
「っ!?王女様!?」
マスカと名乗る少女がどうやって銀瓏を手名付けたか聞いてきくると、ルーシーさんが慌てる。
王女様?やっぱり偉い人だったのか。
「えっと……もしかしてマスカ様はどっかの国の王女なんですか?」
「……詳しくは王女の娘ですが、それと様はいりません。気軽にマスカちゃん……それか呼び捨てでも呼んでください♪」
少女はにっこり笑った。
「お、王女様何を―――」
「ルーシー?し~です」
「っ!?」
人差し指を口元に当て、ルーシーさんが沈黙した。
……触れないでおこう。
「えーっとそれでですね、マスカ様「ちゃん♪」……マスカは銀瓏がなんで『契約獣』になったか知りたいんですよね?」
「成程、ギンロウ様って言うんですね。噂でしか聞いたことありませんが、何やら食事に特殊な毒で弱らせて『契約獣』にした……とお聞きしたんですが……」
何その噂!?食事自体はあってるけど毒なんて聞いたことねぇぞ!?
すると銀瓏が呆れたように鼻を鳴らす。
『フンッ……俺が人間どもが作った毒でやられるわけないだろう?……ただ、食事の部分はあっているな』
「と、言いますと?」
『主の料理は、ここ600年の中生きてきた中でも、ダントツで食が旨かったのだ。最初、俺はタダ、上空で散歩していたが、ふといい匂いがして様子を見に来たが、そこの二人が何やら嗅いだことのない飲み物を飲んでいてな……気になったんで後を付いたわけだ』
飲み物……スープのことか?
そういえばあの時のお昼、サンドイッチと一緒に食べていたな……
『そして、あの時の夜、肉のいい香りがしたので見てみたら……見たことのないものを食べていた。確か『唐揚げ』と言っていたな。『ギガフロッグ』とかいう蛙の肉で揚げた料理だ。しかも、あの料理、衣にも味が付いていてな……肉の味と合わさって旨かったのだ!たったこれっぽっちの肉で満足できる料理を作れるのだぞ?『契約獣』になるしかないだろ!』
「そ、そんなに美味しかったのか?」
『ああ!しかも『唐揚げ』だけではないぞ?その他にも食べたのは『ステーキ』『パン』『よだれホーク』『ガノン肉の色々煮込み』『カレーライス』……俺が生きていた中で、見たことも食べたことの無い料理がいっぱいでどれも旨かったぞ!!』
「ご、ごくり……」
『しかも、俺は葉物や穀物とかは食わんが、主の料理することで、食えるまでの料理ができるんだぞ!!』
「あのドラゴンがこんなに早口で絶賛するなんて……余ほど美味しかったのでしょう……」
「本当だよ!幸の料理はどれも素晴らしいものだからね!」
なんか妙に熱が入っている銀瓏とガーネットさんが褒めたたえてくれる……そ、そんなに言われると、照れるな……
すると、マスカが興奮気味でいう。
「あ、あの!」
マスカが勢いよく手を挙げた。
「?……どうしました?」
「わ、私もぜひ!そのギンロウ様が絶賛したその『唐揚げ』という料理を食べさせてもらってもいいですか!!」
「……えっ!?」
『ほう、それはいいな!主よ、こいつらに『唐揚げ』の旨さを見せつけてやろうぞ!』
「いやちょ、何勝手にきめてんの!?」
『いいではないか。お前、俺に『今日のご飯豪華にするから』と言ってたではないか』
ぐっ……確かに言ってたが……
言ったけど……
「けど、全員に食べさせるから肉は明日の分まで全部使うかもしれないんだぞ?」
『問題ない。昼過ぎだから今から魔物を狩って来れば、明日の朝分の肉は取れる』
「あーはいそうですか……」
まぁ銀瓏がそう言うならいいけど……
「えっと……銀瓏がそう言っているんで、ご一緒にどうですか?」
「ぜひ!!」
「す、すまない今日の夕食まで用意を……」
「『唐揚げ』ですか……久しぶりに食べますね……」
こうして俺たちは、王女一行と共に昼食をとることになったのだった。




