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異世界で錬金術の現代風メシ  作者: yex
パシフィスト編

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23/65

第二十一術 Sランク ムーンビースト

朝日が昇り、軽めの朝食を済ませた俺たちは、いよいよ最深部へ向かうことにした。


「いよいよか……」

『さて、骨のあるやつを頼むぞ』

「ゴクリ……いくよ」


ガーネットさんが『転送石』へ魔力を流し込む。

すると足元に巨大な魔法陣が展開し、眩い光が辺りを包み込んだ。


――ピシュンッ。


次の瞬間、俺たちが立っていたのは広大な空間だった。

まるで古代神殿のような石造りの遺跡、天井は遥か高く、巨大な柱が並んでいる。


「ここが最下層か……っ!?なんだあれ!?」


視線の先にいたのは、異様な魔物だった。

灰色のぬめりを帯びた巨体、頭部からはピンク色の触手が無数に伸び、目は存在しない。

その代わり、裂けた口にはびっしりと牙が並び、真紅の爪が不気味な光を放っていた。


「なにあの魔物!?」

「……っ!?嘘でしょ」


ガーネットさんの顔色が変わる。

えっなに!?なんて書いてんの?


「あの魔物は『ムーンビースト』っていう魔物よ……そして、あの魔物は『Sランク』……最高ランクよ」

「!?」


その一言で思考が止まる。

え、え、え、Sランク!?それって銀瓏と同じランクってこと!?


『ふん、Sランクと言えど、多少手こずる相手だ。だが、気をつけろ……奴の身体は粘液性の体液を纏ってる。物理攻撃があまり効かない』

「ええ!?……というか、まるで戦ったかのような言い方だけど……」

『実際に狩ったからな』

「マジで!?」


その瞬間だった。


『―――グォォォッ!!』


ムーンビーストが咆哮を上げた。地面が震える。

次の瞬間には巨体とは思えない速度で突進してきた。


「ひぇっ!?」

「きゃっ!?」


俺たちは慌てて飛び退く。


『さっきも言ったが、コイツは物理攻撃はあまり意味がない!魔法で攻撃し続けろ!』

「ま、魔法……なら『錬金術:風(ウィンド・アルケミー)』!」バシュシュ!

『っ!』


錬金で大気中の空気を風魔法に変え、ムーンビーストへ鋭い槍の風魔法を向ける。

しかし――


『グルル……』


かすり傷ぐらいしかできなかった。

くっそ!こいつ硬すぎじゃね!?


『ガァッ!』

「うわっ!」


今度は俺目掛けて腕を振り下ろしてきた。


「『絶対防御結界(バリアー)』!!」


――ガキィィンッ!!


『がっ!?』


透明な結界が攻撃を受け止め、衝撃で空気が震えた。

た、助かった……


「あ、ありがとうございますガーネットさん!」

「お礼はあと!銀瓏!」

『ぬぅん!!』ゴォォォッ!

『っ!』


銀瓏の姿が消えた――いや、速すぎて見えなかっただけだ。


『『龍王・華炎(かえん)』!!』


―――ドゴォォッ!!


燃え盛る炎を纏った爪が、ムーンビーストの横腹に突き立てた。

巨体が吹き飛び、神殿の壁へ激突……轟音と共に巨大なクレーターが生まれる。


それでも――


『ぐっ……ガァァァ!!』

「うわっ……銀瓏の攻撃喰らったのにまだ動けてる……」


いつもならサクッと倒していたから、耐久力の凄さに引くわ……流石Sランクと言わざるを得ない……


「なぁ、銀瓏!あいつ倒したことがあるって言ってたよな。どうやってだ?」

『ああ?そうだな……こいつには粘液性の体液を身にまとっているからな……『炎魔法』を纏わせて、その粘液を焼き尽くして倒したものよ』

「炎?……っ!そうか、『()()』!」


あの粘液……あれが防御の本体だ。


ならば――


「ガーネットさん!ムーンビーストに向けて『炎魔法』で、銀瓏は弱らせたあと、ムーンビーストに攻撃で!」

「わかったわ!」

『ほう?何か策が見つけたようだな……いいだろう!その手に乗せられてやる!』


俺は両手を突き出した。


「行くぞ!――『錬金術:風(ウィンド・アルケミー)』!」ゴォォォッ!

『っ!』


今度は槍じゃない……巨大な竜巻。

ムーンビーストを中心に閉じ込めるように風を渦巻かせる。


「今だ、ガーネットさん!」

「『火炎魔法(フレイム)』!!」ボッ――


――ボゴォォォォッ!!


ガーネットさんの炎魔法と俺の錬金した風魔法を合わせ、炎の竜巻を作り出す。


『ガァァァァァッ!?』


すると、ムーンビーストが苦しみ、悶える。

粘液が蒸発していく音が聞こえた。


「よしよし効いてる!やっぱり乾燥に弱いんだ!」

『ふっ……ナイスだお前ら!―――『突撃龍(ドラゴンダイブ)』!!』

『っ!――』


――ドゴォォォンッ!!


音を置き去りにした突撃、銀色の閃光がムーンビーストを貫いた。


『グガッ……!?』


巨体が大きく抉れ、その身体はゆっくりと崩れ落ちた。


「や、やったか?」

「幸、それ多分ダメな奴」


なんかフラグっぽい台詞を吐きつつ見守ると、ムーンビーストがポンッと音を立てながらドロップする。


「ドロップした……ということは!」

「ムーンビースト、討伐成功だ!!」

「わーい!!」

『ふんっ……まあ軽い運動になったな』


全然良い運動の範囲じゃないと思う。

ムーンビーストの討伐に喜んでいると、ゴゴゴッと何か音が鳴る。


「えっ何!?地震!?」

「っ!幸あれ!あれ見て!」


ガーネットさんが指したその方向には、神殿中央の床が割れ、その中から一本の剣が姿を現した。

何あれ!?剣!?


「ど、どうしようガーネットさん……」

「ど、どうって……引っこ抜くしかなくない?」


ええ……怖いんだけど……

恐る恐る剣の柄を握り引っこ抜くと、いとも簡単に抜けた。うわっ意外と軽っ……


「ガーネットさん、この剣は何ですかね?」

「ちょっと待ってて―――ヴぇ゛!?」

「?どうしたんですか?」

『なんだなんだ?なんて書いている?』


ガーネットさんの鑑定でこの剣の詳細を見ると―――


『神剣エクスカリバー オリハルコン製。魔力を込めれば聖神属性のビームが出る』


沈黙―――


なんかどっかの騎士王が使いそうな剣が出てきたんだけど……というか『神剣』って何!?


『お、おお……神剣か、俺は初めて見るな』

「あわわ……!嘘でしょ噓でしょ!?」

「え?何?そんな有名?」

「有名どころじゃないわよ……」


ガーネットさんが食い気味に言う。


「『神剣』って言うのはね、神が作り出した剣と言われていてね。その『神剣』は特別な効果をもつのよ……!しかも効果は絶大で、『なんでも切れる』とか『身体能力向上』とか持つだけで効果が発揮されるわ。しかも発見した数が少ないって言われるのよ。ほとんどがダンジョンで出て来たって言われたけど……は、初めて出てきたとこ見た……!」


や、やべぇ代物だった……これ……!

と、とと取り敢えず……これは次のギルドの時に鑑定してもらおうかな……


「……ひとまず、ダンジョンでドロップしたもの確認しません?」

「……うん、賛成」


俺はそっと神剣を収納した。

……うん、後でギルドに相談しよう。

絶対に俺一人じゃ判断できない。


というわけで、ギルドに献上する時の為に、一回ダンジョン産の素材を確認する。

あっ銀瓏は興味ないのか寝ちゃってる。


……数時間かけて、確認が完了した。

今回でドロップした素材は―――


・キルスパイダーの足×20個

・キルスパイダーの目玉×10個

・プチバットの翼×30個

・オークの肉×10個

・オークの睾丸×20個

・オークの牙×30個

・ツインコブラの牙×5個

・ツインコブラの目玉×1個

・ツインコブラの皮×1個

・スカーレットサーペントの牙×2個

・スカーレットサーペントの皮×1個

・マンイーターのツタ×20個

・グリフォンの肉×5個

・グリフォンの翼×15個

・グリフォンのくちばし×5個

・レッドオークの肉×5個

・レッドオークの睾丸×2個

・レッドオークの牙×10個

・マンティコアの肉×5個

・マンティコアの毒針×5個

・マンティコアの毛×5個

・マンティコアの牙×10個

・オルトロスの毛×5個

・オルトロスの牙×10個

・カルキノスの肉×15個

・カルキノスの甲羅×10個

・ウルトラアルミラージの肉×2個

・ウルトラアルミラージの角×5個

・ウルトラアルミラージの牙×5個

・カトブレパスの目×1個

・カトブレパスの角×1個

・ムーンビーストの触手×1個

・ムーンビーストの爪×2個

・ムーンビーストの粘液×3個

・神剣エクスカリバー×1個


以上が今回のドロップした素材だ……うん、多いな。


「こんなに素材がいっぱいですね……」

「そうね……私も別でダンジョン行ったことあるけど……ここまでの収穫はなかったわ」


これ全部売ったら何Gになるんだ?

――うん、考えるのは止めよう。


「取り敢えず、ここから出ましょう。そして早く『トランザ』のギルドで買い取りしていきましょう……」

「賛成」

『ん?もう終わったか?』

「ああ、今終わったよ。じゃあ戻るか」


そうしてダンジョンのボス、ムーンビーストを討伐に成功した俺たちはダンジョンから出るのだった。



~こぼれ話『やらかし』~

ガーシュ「暇だったから色々な剣を作っていたのだ」

ソトール「嫌な予感しかしないんだが」

ガーシュ「気付いたら神剣が完成していたのだ!」

ソトール「気付いたらで済む話じゃないだろ!?」

ガーシュ「やっちっゃたZE★」

ソトール「やっちゃったじゃないだろ!何カッコいい言い方してんだ!」

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