第十一術 一気にCランクとパシフィストのお願い
『ファースト』について早々、バロンさんに報告すると、少々驚いた顔をする。
「お、おうふ……頼んだのは私ですが、いざ目の前にすると感心しますね……」
と、『トライサーペント』の頭をまじまじと見るバロンさんの姿があった。
「『トライサーペント』は魔賢者レベルの人でも2、3人派遣しないと倒せないレベルなのよね……というか大抵のAランクはそんな感じ」
「え?マジ?」
これを仕留めた俺らって……いや、7、8割は銀瓏のお陰だけどね……
「では言った通り、ランクをCにあげておきますね。今日はお疲れでしょうし、明日発行した、Cランクのカードをお渡しします」
「はい……そうして頂けると助かります……」
色々魔力使ったから疲れたからな……
そうして、明日ギルドへ向かうため、夕食を食べて英気を養うのだった……あ、そういえば、そろそろ解体が終わってる頃か……
「今日は幸が疲れているだろうし、今日は私が料理するね」
「あ、ありがとうございます。助かります……」
「いいよいいよ!いつも幸には美味しい料理を貰っているからね!」
め、女神や、いまガーネットさんが女神に見える……
そうして、ガーネットさんは『アイテムボックス』を取り出すのだった……
―――
どうしようかな……まだあるのは、『コカトリス』と『オーク』……それからさっき取った『トライサーペント』の肉……そうだ!せっかくだし、串焼きにしようかな。
「あれ?もしかして串焼きですか?」
「ん?ええそうよ。せっかくAランクの肉だから素材の味を生かしてみようと思うの。確か、蛇って鳥系の肉に近いって言ってたし」
「蛇……ですか……あ、それなら、確か錬金して作っておいたタレがあります。それ使ってみてください」
「タレ?」
と、幸が錬金で作ったタレという者を探す……見られない黄色の容器が目に入ったけど……これかな?
「そうです、それ。本当は鶏肉に絡めて焼くんですけど、折角ですし、それも使ってみてください」
「へー……わかったわ!」
早速、それで調理を開始する。
まず『トライサーペント』の肉を一口サイズに切って、串に刺し塩胡椒……
網鉄板をしいた簡易窯に串肉を焼いていく。
――パチパチ……
『おお!いい匂いがするな!』
「まだ待ってね……」
焼き目が付いたら、そこに幸が錬金で作ってくれたタレを塗って、少し焼く。
――ジュワァァ……
「わー……凄くいい匂い……!」
「よし、丁度いい感じね!」
取り出して、皿に盛ったら……
―――完成!『トライサーペントの串焼き(塩・タレ)』!!
――――
「早速頂くわ」
『うむ!』
そう言い、串焼きを掴む。
……蛇肉って初めて食べるけど……
「……鶏、これは鶏肉……アムッ」
勇気を振り絞りいざ、実食する―――っ!こ、これは……
『うっまぁぁぁっ!』
なんだこの肉、結構ジューシーで弾力もある……うめぇ~
『うむ!前に一回『トライサーペント』を食べたことがあったが……想像以上に旨いぞ!』
「塩もいいけど、このタレも最高!肉の味がより引き立たせているわ!!……こんな時はやっぱこれをださないと!」
そう言い、ガーネットさんが『アイテムボックス』からビンのようなものを取り出す。
……もしかしてこれ酒か?
「ガーネットさん、それって……」
「ん?『エール』っていう酒よ。やっぱこれには酒が合うのよ!んっんっ――ぷはぁー!!旨い!」
エール……確かビールみたいなものだったっけ?酒か……ガーネットさんならこれが喜びそうだな……
「ガーネットさん、こんなのはどうですか?」
「んー?」
丁度、酒もあるから『転移』でいけるな。
コップに注いだエールを転移であの酒を錬金する!!
『エール』⇒『ビール』
そこには銀の缶で出来た酒が出てくる。
これがA社のよく見るスーパードライ!
「へー……これが、幸の世界の酒?どれどれ……っ!」
早速飲んでみたガーネットさん……すると、飲んだ瞬間、目がかっ開く。
「うっま!?なにこの酒!?今まで飲んだ酒よりも旨いわ!えぇ……?本当に同じ原料でつくった酒?キレとかが違いすぎるわ……」
どうやら喜んでくれてるみたいだ。
あ、そういえば……
「銀瓏、お前酒はどうなの?」
『ん?飲めないわけではないが……あまり度数のやつは好まん。苦いからな』
「えー……この苦さがいいんだよね~ギンリョウはお子ちゃまだな~もぉー……ングッ」
『でろでろに酔ったお前に言われたくないぞ』
「うへへ……」
完全に出来上がってるガーネットさん。呂律が回らなくなっているな……
あんなにあった串焼きは全部無くなり、片付けが終わっている頃には、ガーネットさんはよだれが出ながら寝ていた。
「zzz……うへぇ、わらひはえりーとまどぉしよおー……いつかまけんひゃになるからね……」
「じゃあ、銀瓏。俺、ガーネットさんを寝室まで運ぶから、お休み」
『うむ、明日のめしを楽しみにしてる』
「はいはい……」
そう言い、ガーネットさんを寝室まで運んだ後、俺はベットにダイブして、深い眠りにつく……
そして次の日、軽く朝食を済ませ、バロンさんに会いに行くと、何やら袋とか置いてあるのが見える。
「来ましたね、サチさん。これが『Cランク』の冒険者カードです。お受け取りください」
「あ、どうも……ところで、バロンさん。その袋は?」
「ああ、これですか。これは解体した時のGです。昨日、『トライサーペント』の分も入っています。ガッツさんから『久しぶりにいい仕事になったよ』と伝言を預かっています」
「へー……それで何Gになったんですか?」
「そうですね……解体料、王都に献上した分を差し引いて―――ざっと『600万G』ですね」
『え゛っ』
ろ……600万!?そんな大金になるの!?
「ええ、ほとんどがAやBランクの魔物ですからね……滅多に手に入らないですから、それほど貴重なものです……ああ、それと、肉とガーネットが解体の時受け取る素材も別で袋に入っていますので、確認をお願いします」
「あ、はい……どうも……」
ガーネットさん、いきなりの大金で片言になっとる……
「いやー……本当に大変でしたよ。『パシフィスト』の国王や貴族たちをうんと、黙らせるのを……『トライサーペント』の素材は『フォレストス』で稀に見かける程度でしたので、ここだとそりゃもう貴族たちは阿鼻叫喚で……」
『お、お疲れ様です……』
きっと、王都の出張で大変詰められたんだろうな……すみません、銀瓏が強すぎて……
「あ、そうそう……王都の出来事で忘れるところでした―――これは、『パシフィスト』の国王からの伝言です」
「え?伝言?」
「ええ……『『サカモリ・サチ』及び『ギンロウ』、我が国『パシフィスト』では自由と尊重へここに宣言する。しかし、我が国を脅かす時、協力を要請する』……要は、この国で自由に過ごしても問題ないとことらしいです。ただ、この国の危機には必ず駆け付けるという条件ですが……」
「へー……あ、そうか。それなら一々門番に突っかからなくて済むってことか!」
「ええ、そのことはもう『パシフィスト』中に広まっています。貴族やベテラン冒険者からもちょっかいかけることも無くなります。それほどギンロウさんの力は絶大ってところです」
『ふん……当然だろう』
と、銀瓏が勝ち誇った顔をする……すぐ調子乗るんだから……
「良かったね幸。貴族って大体がメンツを気にする人ばっかだから、簡単に手出しされないよ」
「確かに、王国絡みのことは嫌ですからね……」
「ははは……それには同感です。そういえば、お二人は『パーティ』は組まれているんですよね?」
「え?……ああ、確かにいつも同行してましたね」
「そういえば……弟子だから当たり前で忘れてたけど、ある意味『パーティ』ね」
「でしたらこの際ですし、『パーティ名』を決めて頂いたらどうです?」
「パーティ名……」
いきなりそういわれると……ちょっと迷うな……うーん、俺的にはのんびり冒険を楽しみたいし、異世界の食材を堪能したいからな……あっ、思い付いた―――
「なら……『自由の食旅』って言うのはどうですか?俺たちは自由に旅して、色んな世界の食材を使って食べてますし……」
「『スローイーター』……うん、あなたらしい名前ね。気に入ったわ!」
『ふん、まあまあなパーティ名だな』
どうやら、いい感じのようだ。
「ええ、いい名前ですね。そうだ、これから旅立ちますか?」
「え?そうですね……特に予定は決まっていませんが……」
「なら丁度いいです!実は、この先の『ロックマウンテン』と『トランザ』という街には、まだ解決していない高ランクの依頼がいまして……見ての通り、ここは平和的な国なので高ランクの冒険者がいません」
「なるほど……その高ランクをクリアした俺たちにその街へ行って、その高ランクの依頼を片付ける……ということですね?」
「はい、仰るとおりです」
確かに、あのSランクの銀瓏が要るんだから、面倒な高ランクを片付けられるのはありがたいよな……まぁ銀瓏がいるし、大丈夫でしょ、多分。
「分かりました。その依頼、是非受けさせてもらいます……それでいいよね。銀瓏?」
『問題ない。退屈しのぎになりそうだからな。楽しみだ……!』
うわー分かりやすくやる気満々……頼りになる~
「ありがとうございます……ではこれを。『ファースト』ギルドの招待状です。『ロックマウンテン』か『トランザ』のギルドマスターへ見せてもらってください」
「あ、ありがとうございます!」
「ここからだと、『ロックマウンテン』が近いですからそこから行くのをおすすめしますよ」
と、バロンさんから招待状の紙を貰う。
「何から何までありがとうございますバロンさん……では早速明日、行ってみますね」
「ええ、お願いします」
「二人もそれでいい?」
「ええ、いいわよ。ちょうど大金貰ったから、気になった品を買いたかったわ!」
『俺は飯が食えれば文句はない』
「……ということですので。」
「ふふ、本当に愉快なパーティですね」
と、バロンさんはにこやかに微笑むのだった。




