第百四術 え!?異世界に『和』の料理を!?――できらぁ!!
こうして、しばらく俺たちは葵さんの屋敷にお世話になることになった。
そんなわけで、そろそろ夕食の準備をするため、俺はキッチンへ向かう……
いざ料理しようとしたら、何と、葵さんも手伝ってくれるとのこと。
これは嬉しい。いつも食べる量が多いから、料理を作る手間も時間も省けるのはありがたい。
「で、幸さん。今回は何を作りましょうか?」
「そうだな……そうだ!せっかく同じ日本人がいることですし―――今回は『和』をテーマにした料理にしましょう!」
「『和』……それって『肉じゃが』とか『焼き魚』とかですか?」
「そうです。やっぱり、日本人ですからね。たまに『和食』も食べたいものですよ」
「それはいいですね!折角ですから、私たちの住んでいた料理を味わいたいですからね!」
「はい。じゃあ、早速作りますか」
『肉じゃが』
まず、ロケット・ブルの肉を薄切りにし、葵さんの畑で採れた野菜たちを切っていく。
ニンジンは乱切り、玉ねぎはくし形切り、ジャガイモは四つに切って水煮さらす。
鍋に油を熱して、具材を炒める。
その後、水を入れ、ひと煮立ちさせる。
次に『すき焼きのタレ』を入れ、ジャガイモが柔らかくなるまで煮込めば……
――完成!!
『焼き魚』
今回は、錬金で俺の国で採れる『サンマ』と『鮭』だ。
まず、塩を振り、余分な水分をペーパーで拭き取る。
サンマは皮目に浅く切り込みを入れておく。
アルミに乗せ、塩をふり、200℃オーブンで15分くらい加熱。
焼けたら取り出し、後は大根おろしを添えあげれば……
――完成!!
『ほうれん草のお浸し』
ほうれん草を塩ゆでし、水気を取って、さっとさらして、水気を絞る。
その後、3~4cm長さのザク切りにして皿に広げ、しょうゆをふりかけ、ぎゅっと絞る
水ですこし薄めた麺つゆをほうれん草に入れて馴染ませて、しばらく置く。
最後、つけ汁ごと器に盛りつけ、鰹節を添えてあげれば……
――完成!!
あの後、『冷奴』、『だし巻き卵』、『味噌汁』など作り、晩御飯の準備が完成する。
「ほら、皆!出来たぞ~!!」
『『おお!!』』
テーブルを埋め尽くすほどの料理が並べられる。
「うわ~、今日はとても豪華ですね!」
「ん?おお、ライトか。あの時以来だね」
「あ、どうも皆さん、こんにちは。あの時のお兄さん。先日のパーティの料理、美味しかったです!」
「そうか……今日は君のお母さんと一緒に作ったから、いっぱい食べてくれよな」
「本当ですか!お兄さんもお母様も、どの料理も美味しかったから楽しみです!」
そう言うと、ライトは満面の笑みを浮かべる。
うわっショタの純粋の笑顔つっよ!眩しく感じる!?
「ねぇ、早速食べようよ!」
「ああ、そうだな……じゃあ食べようか」
「ええ、そうですね!」
そう言いながら、それぞれ席に着く。
そして、俺たちは出来上がった料理を食べ始めた。
『『いただきます!』』
――ハムッ……
『『っ!!』』
――旨ッ!!
肉じゃがのホクホクした野菜に、すき焼きのタレが合わさって、うめぇ~!
いつも母さんが作ってる『肉じゃが』の味だ~!!
『うむ!この焼いた魚も旨い!味は『ピンクトラウト』と似ているが、この皮の香ばしさといい、身のぷっくり感といい、実に旨い!』
『この野菜の『おひたし』というものもいいですね……シンプルな味わい。しかし、ほうれん草と風味と香ばしい鰹節の香りが口いっぱいに広がる……』
『魚も美味しいけど、卵も美味しいよ~!』
「どれも優しい味がするね~ホッとする」
「ハムッ……どれも美味しい料理です!」
そう言いながら、皆バクバクとご飯を食べ進めていく。
俺もサンマを箸でほぐして、一口――
サンマのパリッとした皮に、ほくほくとした身が味わい深い醤油にかけてご飯と一緒に食べることで──んんー!うめぇ~!このサンマの塩焼きはいいよなー!!
やっぱり、こういう『和』の料理は、心が暖まるな~……
そう思いつつも、あれだけあった料理は、みるみるうちに減っていく。
そして――
もう、無くなった……皆どんだけ食べるんだよ。
「今日のご飯は美味しかったです!」
「はは、それはどうも」
ライトのやつ、ご飯を3杯ぐらいおかわりしたもんな~相当美味しかったんだろう。
「お母様の料理も、美味しかったですが、お兄さんの料理も美味しかったですよ」
「もー、そんなこと言って~……なら、食後のデザートはいる?」
『『いる!!』』
デザートと聞いて、ライトだけでなく、他のメンバーも食べたいと言う。
今回は、折角『和』の料理で埋め尽くしたから、『和菓子』を錬金するぞ!
俺は『等価交換』で、『みたらし団子』、『苺大福』、『羊羮』、『たい焼き』を錬金する。
「わぁ……これもしかして『和菓子』!!」
「そうですよ、葵さん。折角何で、緑茶で味わいましょう」
そう言いながら、各自、『和菓子』を手に取る。
俺は、苺大福だな。
──んん~うめぇ~!!苺の酸味とあんこの甘さが、求肥を包み込んで、文字通りひとつにしてくれる……そして、この緑茶がまた合いますな~
『うむ!このぷにぷにとした食感に、香り高いタレとの相性が抜群だな!!』
『この黒い塊……柔らかく、甘さがしつこくなく絶妙なバランスですね……』
『この魚、中が甘いよ~!』
「本当~……ん?これ、中身が違う……!」
「ああ、そのたい焼きには、『あんこ』のほかに『カスタード』と『白餡』もありますよ」
「どれも同じ生地なのに、中身が違うだけで、こんなに変わるんですね……」
「そこがたい焼きとかの魅力だな~」
こういう焼き物は色んな種類の味があるのはいいからな……食べて飽きない。
「あむ……んん~…何百年ぶりの甘味……甘さが身に染みる……」
「ははは……葵さんは日本育ちですからね。これは相当味わい深いでしょう」
「んん……甘味と言えば、サトウキビを一から生やして、試行錯誤で砂糖を完成させて、そこから色々やってみたけど……やっぱり、人から作った職人の『和菓子』はうまい~……」
葵さんは嬉し涙を流しながら、苺大福を味わう。
これ、錬金して作ってるから、職人は関与してないような……まぁ、再現料理みたいなものだと思えればいいか。
俺はそう思いつつも、食後のデザートを食べ終える。
片付けは葵さんとこのメイド達にやってくれるので、俺達は風呂に入り、客先用の就寝部屋でぐっすりと眠る。
うわ~ベットがめっちゃフッカフカだぁ~……
──スヤァー…




