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異世界で錬金術の現代風メシ  作者: yex
ラグナロク編

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109/119

第百一術 襲来、『魔術皇』ソー・サリー

翌日。

俺は朝食を済ませたあと、『イーストタウン』から出ようとしていた。 


「じゃあ、またなさっちゃん。多分また交流するけど、あんたの飯、美味しかったよ」

「ええ。イールビも元気で」

「あ、あの……」


すると、メデューがイールビの後ろに隠れながらも、前に出る。 


「その……ご飯、ありがとうございました……!とても、美味しかったです」

「そうか~ありがとうな~」

「……///」


そう言い、俺はメデューの頭を優しく撫でる。


「じゃあ、また会いましょう!」

「おう!さっちやんたちも元気でな!」


そう言い、俺たちは『イーストタウン』を出たのだった。


◆


銀瓏たちに乗って葵さんのところへ向かう途中、俺たちは話し合っていた。


「それにしても……イールビに奥さんがいたなんて……驚いたよ」

「そうだね~私も驚いたよ。まさか『蛇人(ラミア)族』と付き合ってるなんてね……」

「ラミア?……あの下半身が蛇の?」

『基本『蛇人(ラミア)族』は、どちらか片方に蛇の特徴が備わっている』

「へー……そうなんだ」


よくよく聞くと……娘の『メデュー』って、『メデューサ』から取った名前だもんな。

……石にする能力とか、ないよな?


そんなことを考えていると……突然、目の前の空(・)間(・)が(・)歪(・)み(・)始(・)め(・)た(・)。


「!?」

『むっ!』


急な出来事に銀瓏達は急ブレーキをかける。


「な、何あれ!?」

「嘘……あれは『時空間魔法』!?」

「時空間?……なんか凄い名前ですが……」

『時空間……時間と空間を司る魔法で、『瞬間移動魔法(テレポート)』や『転移魔法(トランスファー)』よりも高度な魔法です』

「マジで!?」


すると、歪んだ空間から、謎の人物が姿を現した。

フードを纏い、水色の鉱物の仮面を被った人物だった。


「なんだあいつ……?」

『……っ!』

「お、大蛇?」


すると、大蛇が俺の首元に少し強めに巻きつく。


『あるじ~……なんかイヤな感じがする……』

「いやな感じ……確かに不気味なオーラをしているような……」


そう思っていると、謎の仮面の男が口を開いた。


「『サカモリ サチ』……そなたの活躍を見ていたぞ」

「は、はぁ……」

「人類未踏の『二つ名』と『聖獣』の『契約獣(ビースト)』……そして、そなたの能力である『錬金術』――その力があれば、この国どころか世界をも変えることができる」

「……」

「私は『バハムート』の王、『ソー・サリー』……私の右腕となり、共に世界を変えようではないか……」


謎の仮面――『ソー・サリー』がそう言うと、俺へ手を差し出した。


そんな王からの提案に、俺の答えは――


「いや、結構です……」

「……何?」

「いや、だって……急に世界を変えようとか言われても、俺はただ普通にガーネットさんたちと異世界を楽しんで、色んなものを見て回ったりしたいですし……」


俺は銀瓏たちを見る。


「それに、こいつらもただ飯目的でついてきただけだから、言いなりって感じじゃないですし……それに――」

『っ……』

「俺の大蛇がさっきからあんたに『警戒』しているんだよね……!」


大蛇は、ソー・サリーという男に目を光らせている。

それに、バハムートってあれだろ?『レオンガル』と同じやばい所だろ?

そんな奴の言いなりとか、御免だね……本当に。


「むぅぅ……凡俗め……!その力の『価値』を分からぬのなら……私がその力を有効に使わせてもらう!」

『ふん!愚か者が……この俺を利用しようと考えているとは――よほど死にたいようだ!』

『私も……舐めてる感じがヒシヒシと伝わります……聖獣の『怒り』は相当ですよ?』


銀瓏も、麒麟も戦闘態勢に入る。

俺たちも、銀瓏たちから降りて、戦闘の準備をする。


「相手は一人だけど……油断はするなよ!皆!」

『ああ!』

『ええ』

「うん!」

「ふん……よかろう。我が『魔術皇』の力、とくと見よ!!」


そう言い、ソー・サリーは空中へ浮かぶ。

……そんなこともできるの!?


「まずは小手調べとしよう――『特大雷魔法《カースド・ヘル・ライトニング》』!!」


――バリリリッ!!


ソー・サリーの両手からどす黒い雷が迸る。

な、何か凄い魔力なんだけど!?


「ふんっ!」

『……っ!『雷光斬』!!』


――ズガァァンッ!!


太い雷撃を、麒麟が角に凝縮した雷魔法の剣で叩きつける。


「ほう……流石『聖獣』だ。私の魔法を弾くか……」

『その程度では私を倒せません』

『むんっ!』


すると、今度は銀瓏が、ソー・サリーへ突撃する。


『『龍王』――『印』!!』

「むっ……!」


――ガキィィンッ!!


銀瓏の魔力が込められた爪を、ソー・サリーが透明な壁を出現させて防御する。

あれって……『結界』!?


『むっ……硬度が高いな……!』

「ふんっ……『レッドドラゴン』でさえも弾き返す結界だ」

『だからどうした!俺は『二つ名』だぞ!』

「むっ……むぅぅ……!」


銀瓏が爪を結界へ押し込み続ける。


すると――


――ビキッ!


「むっ!?」


結界にヒビが入った。

その亀裂は瞬く間に広がっていき――


――パリィィンッ!


「ぐっ……!」


結界が粉砕される。

しかし、ソー・サリーは咄嗟に銀瓏の攻撃を回避した。


「おのれ……っ!」


ソー・サリーが上を見上げる。

そこには、いつの間にか雷雲が空を覆い尽くしていた。


『行きなさい……『天滅』!!』


麒麟が放つ、最大威力を誇る聖と雷を合わせた魔法。

それが、ソー・サリーへと降り注ぐ。


「むぅ……!『究極草魔法《リーフ・オブ・ヘルヘイム》』!!」


――ブワワワッ!!


ソー・サリーの手から無数の葉が展開される。

それらは渦を巻くように集まり、麒麟の攻撃を真正面から受け止め――相殺した。


「嘘だろ……麒麟さんの特大の攻撃を相殺した……!」

『……成程、腐っても『魔術の王』……ですか。これは、ウロボロス並みに厄介ですね』

「ふん、私が長年研究した魔術だぞ。貴様らよりも私の方が―――練度が高い!!」

『っ!』

「大蛇!」


すると、大蛇が飛び出し、『形態変化』によって、一気に全長50mほどまで巨大化し、そのままソー・サリーへ襲い掛かる。


「むぅ……!これは―――『形態変化』か!『ブルー・サーペント』にしては小さいとは思っていたが……しかし!」


ソー・サリーは大蛇へ向けて魔法を放つ。


「私が『ブルー・サーペント』如きに遅れを取ると思ったか!――『特大風魔法《ラージスト・タイフーン》』!!」

『シャアァァッ!!』


――ビュゥッ!!


ソー・サリーは嵐のような竜巻を放つ。

対する大蛇は魔法陣を展開し、そこから極太の水圧光線を放った。


二つの攻撃がぶつかり合い――

巨大な爆発と共に、煙が舞い上がる。


そして――大蛇が、地面へ倒れ込んだ。


「お、大蛇!?」

『ムギュッ……』


ドシンッ……と大蛇が倒れ、その身体が徐々に小さくなっていく。


『あ、あるじ~……あのおじさん強いよ~……』

「大蛇……!無茶しないでくれ!」


大蛇はAランクの魔物を倒せる実力を持っている。

だけど、生まれたばかりで、まだこのパーティではレベルが低い……!

麒麟の攻撃を相殺できるほどの実力を持つ相手に、大蛇が単独で向かうのは危険すぎる……!



「ふん、いくら珍しい大きさに変化していても……所詮、B(・)ラ(・)ン(・)ク(・)の(・)雑(・)魚(・)……!『魔術皇』の敵ではないわ!」

「っ……!」ピクッ――


――今こいつなんて言った?


「大蛇……っ!さ、幸?」

『?……っ!』

『あいつ……』

「むっ……」


ソー・サリーは空中から、俺たちを見下ろしている。


「なんだ?まさか、次に貴様が戦うのか?さっきまで『契約獣(ビースト)』達が戦っていたというのに……いくら『Sランク』といえど貴様はまだ若い……このソー・サリーには当然及ばな「うるせぇ」……何?」


俺はソー・サリーを見上げ、睨みつける。

……俺は今、猛烈に怒っている。


なんか勝手に俺のことを利用したいと言い出し――


銀瓏たちを政治の道具に利用しようとしたし――


けど、一番頭にキテるのは……


「そんな眠っちまいそうな長ったるい『演説』しないで、さっさと来いよ。ブリキ野郎」


――俺の可愛い大蛇を侮辱したことだ。

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