第九十九術 ラグナロク
こんにちは、幸です。
途中に出会った『イールビ』と共に、『ラグナロク』へ向かってます。
何日かの旅を跨ぎ――ついに到着しました……『ラグナロク』に!
「ここが……『ラグナロク』」
俺の目に広がるのは―――
乾いた土に、小さな草が草原のように広がる景色。
パシフィストのような青々とした緑の草原ではないものの、それでも大地には確かな豊かさが残っていた。
「見ろよこの光景。この感じ、D●みたいな作風だろ?」
「いや、誰もそんなこと思ってないけど……」
初っ端からメタ発言を繰り出すイールビ。
そんな中、銀瓏が俺へと話しかけてくる。
『おい、そんなことよりそろそろ飯の時間ではないのか?』
『そうですね……今は昼時ぐらいですからね』
「はいはい……すっかり食いしん坊キャラになってきたな……」
そう言い、俺は昼飯の準備をする。
まず、コカトリスの肉を下味をつけ、熱したフライパンで皮目から焼く。
ひっくり返して、余分な油を拭き取りつつ、仕上げに『照り焼きのタレ』を掛ける。
鶏肉に絡ませ、焼けたら……
黒パン、レタス、照り焼き、マヨネーズ、チーズ、黒パン……と順番に重ねれば完成!
―――『コカトリスのチーズてりやきバーガー』だ!!
後は、バーガーと言えば、ポテトとナゲットも揚げたぞ!
「おーい、できたぞ~」
「おお~!アッメーリカーン!!」
出来たバーガーをみんなの前に出し、食べ始める。
『『いただきます~!』』
――ジャクッ……!
「んん!旨い!」
コカトリスのジューシーな食感に、照り焼きの甘辛なソースが合わさってうめぇ~!
やっぱり照り焼きは最高だな!
「うん、旨い!やっぱりバーガーってポテトが一番だよね~!」
「このナゲットもジューシーで美味しいわ~!」
『うむ、やはり主が作る照り焼きはいいぞ!』
『パンも美味しいけど、お芋も美味しいよ~!』
『そうですね……この細長いものはサクサクしてて沢山食べれます』
他のみんなも絶賛している。
すると、イールビがふと思いついたように呟いた。
「『マヨネーズ』もいいけど、『タルタルソース』も相性いいよね~」
「『タルタルソース』?」
「ああ……ガーネットさんは知らないんでしたっけ? マヨネーズをベースに、さらに色々な材料を加えて作るソースです」
「そうそう!そこに揚げたエビや鶏肉にも相性最高なんだよね~!」
「……なんで、異世界人が俺の世界のソースに詳しいんだ……『次元の壁』に載っていたのか?」
「Yes!!ばっちり!!」
「やっぱりかよ……」
そんな会話をしつつ、俺たちは昼飯を食べ終える。
食器を片付けた後、これからどこへ向かうのかを話し合うことにした。
「さてと、ラグナロクに着いたのはいいが……葵さんの家ってどこだ?」
「ああ、結構遠いよ?ここから先も長いし、一回オレちゃんの街に寄ってから行った方がいいぜ?」
「イールビが住んでいる街?」
「そそ!いい所だから、結構おすすめよ~?」
「ふむ……まぁ、いいか。さっき結構遠いって言ってたし、この国について知るのもいいから、一回そこに向かうか」
そう言い、俺たちはイールビの案内と共に、目的地へ向かう途中にある街へ向かうことにした。
◆
着いた場所は、『ファースト』のような、のどかな雰囲気を感じさせる街だった。
「ここがオレちゃんが住んでる、『イーストタウン』ね。今日はここで羽を休もうか♪」
「へー……『パシフィスト』の『ファースト』みたいだな」
「まぁね。他の街に比べると、平和に感じるかな?」
そう言いながら、イールビへついて行くと……
他の建物よりも明らかに豪華な場所へと辿り着いた。
「……あの、ここって?」
「あーここ、オレちゃんの家ね」
「い、家ですか!?」
「そそ!オレちゃん、こう見えて出世していてね……今じゃカクテル片手に、『フェ●ーリ 』で乗り回しちゃうくらいできるわけよ♪」
「は、はぁ……」
そんなに凄い人だったのか……
今までの行動からは、全然そんな感じがしないけど……
そうして、俺たちはイールビの屋敷にお邪魔することとなった。
「おーす、ただいま~!オレちゃんが帰って来たよ~」
「……っ!」
すると、この屋敷の使用人らしき人物が、慌てた様子でイールビへ近づいてくる。
「イールビ様!?今までどこに行ってたんですか!もう、仕事が溜まりすぎて、奥様が参ってますよ!早く職務へ戻ってきてくださーい!!」
「あー……そうだったな。悪い、『ほの●しの●』のゲーム買いにちょっと『トランザ』まで向かってたわ」
「今それがやることですか!?」
使用人が驚愕しながら叫ぶ。
……というか、今『奥様』って言ってたような。
えっ、結婚してるの?
「ここだけの話……オレちゃん、娘もいるの♡」
「娘!?」
イールビが俺の耳元で小声で告げると、俺は驚く。
お前娘いたのかよ……
「つーことで、オレちゃん少しの間席外すから、その間、オレちゃんの娘でも可愛がってあげなよ~!あの子マジでいい子だから、よろしく」
「ええ!?そんな急に……」
「大丈夫!次の回までには戻ってくるから!」
「『次の回』!?」
そんなメタ発言を残し、イールビは仕事へ戻っていくのだった。
――本当に行っちゃったよ……
「……あの~どこか、休める場所はありますか?」
「あ、ええ……こちらに案内しますね」
そうして俺たちは、使用人に広めの部屋まで案内された。
俺は荷物を置き、一息つく。
『ふん……少し窮屈だな』
「そりゃ銀瓏がでかいからね」
「さてと……イールビが戻ってくる前に何しておこうかな……ん?」
辺りを見渡していると――
水色の髪をした、メカクレの女の子がこちらをじっと見つめていた。
……あれが、イールビの娘かな?
「えっと……初めまして。君が、イールビの娘?」
「あっ……う、うん」
恥ずかしそうにしながらも、その少女は頷いた。
「そうか、俺は『酒森 幸』。次に赤い髪のお姉さんが『フラム・ガーネット』さん」
「よろしくね!」
「その次が俺の『契約獣』の『銀瓏』だ」
『……フン』
「さらに、二番目の『契約獣』の『麒麟』さんだ」
『よろしくお願いしますね』
「最後に、三人目の『契約獣』の『大蛇』だ!」
『よろしく~』
「よ、よろしくお願いします……!私はめ、『メデュー』といいます!」
お互いに自己紹介を終えたところで――
ふと、メデューの視線が大蛇へ向けられていることに気づく。
「えっと……触ってみます?」
「い、いいんですか?」
「ああ。いいよな大蛇?」
『うん、いいよ~』
「ふっ……ほら、触ってみて?」
そう言って、俺は右手をメデューの前へ差し出す。
大蛇が俺の腕を伝うように、うねうねと移動していく。
そして、メデューは恐る恐る大蛇に触れ――その身体を撫で始めた。
「うわぁ……凄いすべすべ……」
『くすぐったいよ~!』
「はは、可愛いだろう?」
「は、はい!そうですね」
そうして俺たちは、すっかり打ち解けたメデューと共に――
数時間もの間、楽しく遊び続けたのだった。




