第九術 ダンジョンへ
次の日、早速バロンさんが言っていたダンジョンへ向かうことにした……
歩くこと数分、着いた先はゴツゴツした洞窟だった。
「ここが『ファースト』のダンジョンよ。このダンジョンは精々、F~Dランクの魔物しかでないけど……」
「最深部にあのAランクの『トライサーペント』が要るんですよね?」
「ええ、でも初心者向けだし、丁度幸のレベル上げにぴったりじゃない?ダンジョンには何回か行くわけだし」
「そ、そうですか……」
『おい、早く行くぞ。さっさとその『トライサーペント』とやらを倒すぞ』
「はいはい……っしいくぞ!」
心の中で決心がついた俺たちはダンジョンへ潜るのであった。
【ファーストダンジョン 一階】
「中は普通の洞穴って感じですね……」
「そうだね……他のところだと、砂漠や海やらなんでもありだからね……他のところへ行くときはしっかり準備を進めないと……っ!止まって皆!」
「え?どうしたの」
「……」
ガーネットさんが止まる指示を出すと、ガーネットさんはあたりを見渡す。
「……気をつけて、ここら辺に矢のトラップがあるわ」
「トラップ!?ダンジョンにありがちだけど、まさかいきなり出てくるなんて……」
「さっき言ったけど、ダンジョンは『魔力』で動いているの。『魔力』を補給するために人や魔物なんかを誘い出して、トラップで獲物をしとめて養分にするのよ」
うわー聞くだけでやっぱりダンジョンって怖い……
「一応、幸と私には『結界』を張るけど……銀瓏は?」
『いらん。そんなヒノキレベルではこの俺の体には一つも突かん』
「ふふ、頼もしい。じゃあ行こうか」
そう言い、再び歩き出し、ガゴッと音がいると、矢が多数噴き出してきた。
「うおっ!?」
―――カキィィンッ!
と、透明な壁に矢がぶつかる。
「びっ、びっくりした……飛んでくると分かってても心臓に悪い……」
『ふん、軟弱ものめ』
「しょうがないだろ!こっちは戦いとは無縁の世界にいたんだからな!」
「ははは……まぁこれから慣れて行けばいいのよ」
こうして、奥へと進むと、下へ続く階段を発見した。
「お、階段。ここから次へ行くのか……」
「ええ、この調子でどんどん進みましょう」
【ファーストダンジョン 二階】
そこには大量のゴブリンたちが現れて襲ってきた!
「うおぁぁ!?『錬金術:剣』!?」ドドドドドッ!
「『火魔法』!」ババッ!
『はぁっ!!』バァァァンッ!
全てのゴブリンたちをなぎ倒しながら、次の階へ降りる……
【ファーストダンジョン 三階】
特にはないが宝箱を発見した!こういうのはテンションあがるなぁー↑
「待って……この宝箱、魔物よ『化け食い箱』っていう魔物よ」
「え゛!?」
それって宝に紛れて襲うミミック的なやつ!?
「宝箱と思って寄ってきた者を騙して、喰らう魔物だからね、ダンジョンでそういう被害に遭った人は少なくはないよ」
『ちょうどお前みたいなやつだな』
「うるっさいよ!!」
「まぁ中には貴重な宝石が手に入るから、倒して損はないけどね……というわけで『雷魔法』」!!
―――バリリリッ!!
ガーネットさんが中級ぐらいの電撃の魔法で『化け食い箱』に攻撃し、爆散。
すると、何やら綺麗な箱がドロップする。
……というか、ダンジョンだとこういう風にドロップするんだ……
「あ、珍しい。宝石箱だ」
「宝石箱?」
「ええ、この中に、その宝石が入っているのよ?小だから精々五個ぐらいだと思うわ」
「へー……」
こうして、珍しいドロップ品を回収した後、更に下へと進む。
【ファーストダンジョン 四階】
『キャキャキャ!!』
次の階は多数の1mぐらいある蝙蝠だった。
「いやでかっ!?」
「『バットキート』よ!主に洞穴に住んでて家畜や人の血を吸う魔物よ」
「うわぁぁこっちくんな!!『錬金術:剣』!?」
一心不乱に錬金した剣を放出し、何とか全滅させ、更にまた下へ進む。
【ファーストダンジョン 五階】
着いた先は、広めのスペースに奥に続く階段があった。
「あれ?ここ魔物の気配が無いな」
「恐らく『チェックポイント』ね。多分、次の階が最深部だから、ここで色々と準備をするって感じなのよ」
「へー……」
『ちょうどいい、どうせ次に奴と戦う。腹ごしらえにするぞ』
「って銀瓏……それただお前が食べたいだけだろ?」
『むっ……そ、そんなわけなかろう!』
「目が泳いでるぞ―――まぁ、確かにちょっと早いけど魔力を回復したいし、昼飯にしようか」
『わーい!』
と、二人は喜んだ……さてと、今日は何にしようかな……
「確か、オーク肉があったからそれを使うか……というかオークって食えるのか?」
「食えるよ?」
「マジで!?」
「塩で味付けして焼くと旨いんだよね~……まあ幸が作れば何でも美味しいけどね♪」
「無駄にハードル上げないでくださいよ……こんなときは簡単で旨い、力が付ける『豚丼』にしようかな」
まずは米を炊く。
――グツグツ
『……!この匂いは、昨日食べた米か?』
「ああ、そこに肉を乗っけるつもりだ」
『なんと……!穀物は俺は好かなかったが、肉と一緒に食べるとかなり美味しかったぞ。お前が作る料理だと、魔法のように美味しくなるな』
「よせよ、照れるな。ただ絡めて焼くだけだからガーネットさんでもできるよ」
『たが、その調味料は主だけにしか作れん、どのみち魔法のようなものだろう』
「わかる~」
「も~う、二人とも褒めても何もでないぞ!」
と、米を炊いている間に『キャベルーツ』を千切りにしていた。
次にオーク肉を薄切りにして、焼く。
――ジュワァァ……!
「薄いからすぐ焼けるな~……そして、ここに作った醤油をさらに錬金してできたこの『豚丼のタレ』を掛ける!」
やっぱ豚丼と言えばこれだな~E社様様だ……!
『豚丼のタレ』を絡めて焼いた後、炊き立てのご飯にキャベルーツをしき、その上にオーク肉を入れて行けば……
―――完成!!『オーク丼』!
早速出来上がった『オーク丼』を一口食べる……っ!
『うっまぁぁぁっ!!』
オーク肉旨ッ!?ファンタジーじゃ見た目があれだったから食用に抵抗があったけど、うめぇ~!!ブランド豚って感じだな。こりゃ、ガーネットさんが食べるのも分かるよ……!
「何これ……!?オーク肉とタレが物凄く相性抜群じゃん!それにこの肉の油やたれを吸ったキャベルーツもさらに旨い!米も旨い!っ……やばい、箸が止まらないわ……」
『うむ!旨いぞ!肉もいいが葉物も穀物いい!生の葉物は食わないが、これならいけるぞ!!』
『お代わり!』
「早いな……まぁ別にいいけどね」
余りのおいしさに、数分で完食し、お代わりを強請る二人だった。
―――そして、あっという間に完食し、下に降りる準備をする。
『うむ。腹ごしらえも済んだし、さっさと『トライサーペント』を倒すぞ!主の料理を食べるとなんだか力も湧いてきたようだしな!!』
「あれ?そうなのか?サプリみたいな効果が出てるけど……そんなもの入れた記憶ないぞ?」
「確認する?」ピロン――
と、ガーネットさんが銀瓏のステータスを確認すると……
【ステータス】
・体力 6000(+3000)
・魔力 10000(+5000)
・筋力 5800(+2900)
・俊敏性 5800(+2900)
・耐久性 8000(+4000)
な、なんじゃこりゃぁぁ!?五割のバフが銀瓏のステータスをアップしてるんだけど!?
「ええ!?なんで!?まさか、『オーク丼』を食べたせい?」
「……あ、そうみたい」
と、ガーネットさんが指した方をみると、次のように書かれていた。
【バフ】
【オーク丼】オークの肉を使ったジューシで栄養満点の丼もの。2時間全ステータス50%アップ。
ええ……こんなん上がるの?もしかして、俺が錬金して作った料理だとこんな効果があるの?
……うんよし!これバレると色々とめんどくさくなるからこのことは秘密にしよう!そうしよう!
「……ステータスバフの効果は俺たちだけの秘密にしましょうか。貴族にバレると色々と面倒事になりそうだし……」
「賛成」
こうして、自分の『個体能力』の効果を目の当たりにした俺たちは、記憶の片隅にしまい込んで、次の階へ降りることにした……
【ファーストダンジョン 最深部】
下へ降りると、そこには蠢く黒い何かがいた……!
「な、なんかうねうねと動いているんだけど……」
『来るぞ』
銀瓏がそう言うと、蠢く影が姿を現す―――
三つの首を持ち、それぞれの頭部には鮮やかな赤・青・黄と三原色に分けられ、繋がった動態には尻尾のさきまで黒い色で覆われていた。
『シャー!!』
うわぁぁ!?これが『トライサーペント』!?デカすぎんだろ!?龍型の銀瓏ぐらい大きいぞ!?
『ほう……だが今の俺は相手にとって不足なし!行くぞ、主、魔導士!!』
「ええ!」
「うっす……」
こうして、ダンジョンの異端、『トライサーペント』ととの戦闘が始まった。
……か、帰りてぇ~!!




