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felice〜彼氏なしアラサーですがバーテンダーと同居しています〜  作者: 櫻井 妃奈乃
第四夜 人生の大きな選択
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そして年が明けて、一ヶ月後。

陽菜はあれから七海から特に音沙汰はなく、平凡な毎日を過ごしていた。


そんな一月の終わり、来月予定日だというのにギリギリまで仕事をしていた茜が産休に入ろうとしていた。

病棟師長の計らいで、病院近くの洋食屋で送別会が行われることになった。

そこで陽菜は久しぶりにある人と再会することになったのである。


「陽菜さん、お疲れ様です!俺!私大ですけど受かりました!すごいですよね?今日はいっぱい褒めてください!!」


それは一人で0次会でもしてきたのか、異様にハイテンションの奏多だった。

誰が奏多を呼んだのかは分からないが、周りがそんな奏多をドン引きしている中懐かれている陽菜は奏多を茜の前に向かわせた。


「茜さん、結婚式出席できなくて本当にすみませんでした。模試の最中でさすがに出れなくて。ご結婚おめでとうございます!赤ちゃんも!女の子だったら、俺のお嫁さんにしたかったのになぁ…。」

「いや男でも女でも、奏多とだけは結婚させません。」


この場の主役の茜は、冷静に奏多に突っ込んだ。

しかし奏多の夢が叶ったことを茜は顔には出さないが歓喜しているようだった。


そんな奏多の存在を除けば、茜の送迎会は和やかに行われた。

今日の奏多は強気で陽菜に積極的にアプローチし、参った陽菜はわざとバーホワイトへと連れて行った。


「いらっしゃい。あれ、奏多くん久しぶりじゃーん!」

「はるちゃんお疲れ様。あれ、奏多さん。」


ホワイトに着くと、バーカウンターにいた圭から早速奏多は冷たい視線を送られた。

離れない奏多を上手くあしらうには、ここが一番だと陽菜は計算して連れてきたのである。


「俺、医大受かりましたー!!今日は俺の奢りでーす。圭さんもマスターも飲みましょう!!」

「おめでとう。じゃあお言葉に甘えて。」


そんな奏多に圭は容赦なく、シャンパンのボトルを勧めて開けた。

陽菜は内心スカッとし、シャンパンを堪能した。


「そういえば、奏多どこの医大受かったの?」

「東京です!26才の春、晴れて上京です!」

「そっか、奏多もここからいなくなるのかぁ。」

「えっ、先輩寂しいですか?一緒に行きますか?」


陽菜の言葉に誤解して調子に乗った奏多の目の前に、圭からまたもう一本高そうなワインが出された。


「はるちゃん、これ飲みたいよね?」

「なんか今日の圭さん、ホスト並みの強引さですね!」

「誰のせいで…!!」


珍しくムキになる圭とその理由に気付かない奏多の掛け合いに陽菜が楽しんでいると、ホワイトにまた珍しい客が訪れた。


「あ、陽菜さんだ。お疲れ様です。」

「あれ?まだ仕事終わるの早くない?」

「今日暇だったんですよ。てか朝、茜と喧嘩して家に帰りづらくて。付き合ってください。」


陽菜の隣に座ったのは、匠だった。

馴れ馴れしい匠の態度に圭はまた機嫌が悪くなり、匠の前に白ワインのボトルを出した。


「どう?今日?」

「どうしたの、圭。今日酒入ってるでしょ?」


匠は圭の様子に揶揄いながら、わざと陽菜の首に手を回した。


「茜が陽菜さんみたいに穏やかな人だったら良かったのになぁ。」

「でも私は匠くんとは一緒に住めないかな。」

「えっ。陽菜さんまで俺をいらないもの扱いしないでくださいよー。」


匠も今日はかなり悪酔いしているらしい。

陽菜は二人に囲まれてこれ以上圭が機嫌が悪くなることが嫌だったので、トイレに行ったついでに一人バーカウンターの遠くに座り直した。


お互いハイテンションで気が合ったのか、匠と奏多は茜の話題で盛り上がっていた。

そんな二人をマスターに任せた圭は陽菜の前に来て、甘いミルクカクテルを出した。


「今日で茜さん、産休なんだよね。元気そうだった?」

「うん、元気すぎて予定日前まで働きたがってた。あんな元気な妊婦見たことない。」

「良かったね。そういえば^_^最近七海さんと会った?」

「ううん。どうして?」


圭は圭なりに、七海と絢斗のことを気にしていた。

しかし絢斗の抱える悩みは陽菜には話していなかった。


「もう二月になるからね。七海さんの返事、気になったんだ。」

「そうだよね。私も気になってはいるところなんだけど、なにやら七海のお母さんの体調が良くないみたいで…。」


陽菜はあまり詳しいことは知らないのだが、七海から母親の容体が悪く通院の頻度が多くなったと聞かされていた。

そのため陽菜とゆっくり会うこともできず、絢斗とのことも解決していなかったようだった。


「心配だね。二人もなんとか上手くいくといいんだけど…。」

「明日にでも七海に連絡してみようかな。」

「よろしくね。」


陽菜はなんだか圭が異様に心配していることに驚きながらも深追いせず、親友が幸せになるために少しでも力になれたらと思いを巡らせたのであった。

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