東の国、道中2
説教は様々だったが主に左腕をもっと使えという趣旨が多くて俺の身を案じる要素が薄く目から汗が出たが確かに未だ左腕のブレードモードとかあんんまり使っていないなと再確認させられた。
説教を聞きながら進んでいると日が既に中天に達しそれから沈みはじめたのでアリスとミゼールに頼んで野営地の候補を見つけてもらいそこに止まるとことにした。
「半分とちょっとって感じか。」
「ま、途中から普通の商隊みたいにノロノロ行軍に切り替えたからねー」
ちなみに昨日軽く走ってここまで来たが普通の、それこそ一般的な商隊や冒険者パーティーなら5日から7日ほどかかる距離である。
まあ、それでも残る体力を度外視してどんな手を使ってでも走れば走り終わった後の風間とアリスのようにデロデロの状態で半分走りきることもできる。
つまり訓練には最適だということである。
「というわけで今日は竜の焼肉だ。」
「今の地の文の流れで何がというわけなんだかさっぱりですね。」
マリアが地の文を読んでくるが気にしてはいけない、彼女は人型モードでかなり力を落とした分霊となっても別次元の存在だ。・・・イス人?知らない子ですね。
そんなことより今は肉である。アリスが焚き火だけで良かったところを謎のかまど的なものを作ってくれたのでそれで料理をするとしする。
しかし暖をとったり見張りの時に周囲を少しでも照らしたりすることが竃だと難しいのでアリスと一応風間も一緒になってもらいもう一個今度は普通に焚き火を作ってもらう。
今日いるアリスとミゼール達そして何より山田は大食いなのでテキパキと料理を作らねばならない俺は今回使う竜の肩ロースを影から取り出し塩や俺のよく知っている香辛料と似た味のするハーブや実を取り出し肉塊に揉み込んでいく。
勿論今は普通の服だ。少々面倒だが肉を触ったり油を使う関係上エプロンをさせてもらっている。
「マリアはかまどで・・・やっぱいいや」
「ん?なぜです?」
俺は手持ち無沙汰なのか尻尾をフヨフヨと振っているマリアに小麦粉と水と塩を混ぜ合わせてもらおうと思ったが彼女がすでに独創的な形をした魚を捌こうとしているので自分でやることにした。
というか身体中から触手が溢れどこぞの邪神じみた魔力を放つそれが果たして魚なのかはわからないが特に何の気負いもせずザクザクと包丁を入れているのでおそらく鋭角世界ではポピュラーな食べ物なのだろう。
「よし、これでいいかな?」
とりあえず肉の方は土系の魔法で変形させた鉄のインゴットでできた水筒のような形の容器に入れかまどに入れる。
本当はアルミホイルかなんかで包みたかったがそんなものはないので仕方ない、というかいつも焚き火なのでそのまま焼いたり煮たりすることが多く俺自身そこまで料理が上手というわけでもないので失敗する可能性を考えて普通の串焼きをいくつか生産しておく。
「・・・いい匂いだけど複雑な気持ちだね。」
「あん?どうしたホーエンハイム?」
「いや特に何でもないよ。」
なぜか遠くで銃声が響きその後突風が発生したが俺の感知範囲内での出来事なので何ら事件性がないことはわかっている。
恐らく風間がイノシシに発見され返り討ちにしようとしたところ失敗しアリスが短剣で首を吹き飛ばしたとかそんなところだろう。
「ただいま。」
「無念です…」
そして大方の予想どうりイノシシが運ばれて来たがそれを片手で持ち上げているのはアリスである。
まあ、魔力循環の練度が違うため仕方がないといえば仕方がないが聞けば風間はイノシシにど突かれ吹き飛び何とか反撃しようとイノシシに発砲するも半矢してしまい俺との訓練の成果か魔力を全て防御に回し目を瞑って丸まっているといつの間にかアリスによってイノシシは絶命していたそうだ。
うん、まあ、情けないね!
「風間さん…ダサいです。」
「うん、カザマダサい。」
「げふあ!」
やめて差し上げろ、そもそも遠距離からの狙撃、つまり奇襲じゃないとスナイパーである風間の性能は発揮しきれないし、一応近接格闘を教えてはいるがそれを獣相手に使うなどよほどの変態でないとできない、今回は運悪くイノシシに先制攻撃をされただけだろう…そうだよな?
そうはいってもやっぱり危機管理能力の低さが目立つ。やっぱり銃を取り上げるべきだろうか?」
「グブゥ!!」
「師匠、とどめを刺してはいけませんよ。」
…うっかり声に出していたようだ。すまぬ風間。
さてすっかり夜だが飯の時間だ。竜の串焼き、ローストドラゴン、ナン、色々あるぞ。
「師匠、何でナンなんですか?」
「気分かな。」
カレーに合わせるのもいいが何かを巻いて食べるのもいい、俺はそう思う。
そして皆口を付け感想を言う。
「うーん、普通の味だ。」
「カザマ、ドラゴンはこんなもんだよ?」
「相変わらずぱっとしない味だよねー」
「うーんそうかな?トカゲの癖に意外とうまいじゃ無いか・・・ヒミツこれ焼き直してなんか動いた。」
「肉ウマス。」
「想像と違って庶民的な味ですね!」
「初めての竜ですが・・・その・・・普通ですね、お父様。」
・・・なんか俺の料理がいまいち見たいな感じに聞こえるが肉の評価・・・だよね?
補足だが前世では食えば不老不死になれるとか、血を浴びれば不老不死になれるとか色々あった竜とその肉の評価はかなり低い、筋の処理や属性によって火入れの時間などの処理の方法が多岐にわたる上に味は牛よりもちょっとうまいようなむしろトカゲなので鶏肉に近いような風味の何とも言えない味ということで高級というわけでもなく食うと不老不死になるでも無いのだが、何しろ日持ちする。
正直引くくらい日持ちする。ただのこの火属性の竜の場合生肉状態で置いておいても5日は腐らず美味しく食える。
属性によって上下するが大抵3日から5日は持つ。これはひとえに保有魔力が多くまた生命力が高すぎる為か死んでもなお時折脈動するからであるらしいが・・・まあ、その保存性以外は普通の肉と何ら変わらない肉であるのだ。
因みにイノシシは影にしまったので明日宿屋で料理してもらえるだろう。
この後は竜の血を瓶に詰める作業をしながら夜の見張り兼ホーエンハイムへの警戒をしていたが山田が起きて来て夜の森に入って気配察知の練習をしていたり、ホーエンハイムが馬車のなかで爆発をおこしていたりしていたこと以外は何もなかった。




