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放浪系騎士の様なナニカの冒険記的なサムシング  作者: 名状し難い魔王
鋭角には気を付けよう。刺さるしな!
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愛の告白はさっくりと悪の行進はゆっくりと


「ガッ!?」


「遅いぞ騎士王、その聖剣と鞘は飾りかな?」


勝負は火を見るよりも明らかにヒミツの勝ちであった。まあ、姿やその身体スペックという点において全盛期をどの様にかして取り戻したアーサーが元の聖剣と鞘ではないにしてもそれに準ずる性能の武具を手に入れていたとしても、そもそもその身体能力で一度負けている上相手はそこからさらに化け物じみたメガシンカを遂げている。

まあ、元に戻ったアーサーよりも強いヒミツがその時よりも強くなっている上さらに化け物じみた力を手にしているのだ。木刀が聖剣になった程度で勝てるものではない、また不滅である神との戦闘を幾たびも繰り返した彼のとって今更概念的な防御を貫通することはさほど難しい問題ではなかったというのもあり、格好良く変身したものの次の瞬間ボロ切れになっていたのはアーサーなのであった。



「痛かった。」


「いや、ごめんって、」


「撫でて。」


「・・・え、で「撫・で・て?」・・・・はい。」


しかし勝者が敗者よりも偉いということが必ずしも成立する訳ではなく。現にヒミツは随分と可愛らしくふてくされた少女の様な姿のアーサーに拗ねデレられていた。

取り敢えずこういう状態の女性に何か言っても仕方がない、とヒミツは要望通りアーサーの頭をなでる。もう既に結界は解除され、モードレッドと山田には回復魔法とかをかけておいた。

何故かモードレッドは恨めしそうに王城へ帰り、山田はさらなる研鑽に励みます!とか何とか叫んで夕方になろうかという時間から森に突撃しに行ったりしたため、今ここには草原とヒミツとアーサーしかいなかった。


さて、どうしたものかな。



「・・・あのさ、俺はやっぱ「言い訳を言わないでください、率直な答えだけをください。」・・・そっか、」


彼が何か言おうとするがそれが直感的に言い訳だと断定するのにそれほど時間はかからなかった。彼の癖は大体把握済みだから。


「戦闘狂の気があって、きっとどう返事をしても旅に出てしまって、あり得ないですがその先であなたがのたれ死んでしまうこともあるかもしれません。」


「お、おう。」


体が熱を持ち始め、若返りと言う魔法の秘術を模倣した身体のみを全盛期へと変える変身魔法が解けようとしている。


「でも、私はどんな返答でも基本オッケーです。返答があったという事実が重要なのです。」


「・・・・」


確かに告白というある種儀式めいたものをした訳ではありませんが私は彼に好意をぶつけ、彼はそれを感じているはずだ。・・・感じていなかったらどうしましょうか、この鈍感ヒミツと罵ってあげましょうか、それとも・・・


しかしそんな苦悩もヒミツが答えを出した瞬間吹き飛んだ。


「ノーだ。付き合うことはできない。」


どんな答えが来ても彼を諦める気は無い、しかしやはり面と向かって言われるとくるものがある。


「そう・・・ですか・・・」


「ああ、俺は浪漫を求めて旅に出たんだ。それは大抵馬鹿が追い求める夢物語であったり、まあ、大抵どうしようもないものだよ。そこに元王様とかそういうの関係なくアーサーと言う一個人を巻き込めるほど俺は度胸がないらしい。」


子供をあやす様な、いえどんな顔でしょう、目の前が滲んでよく見えません、気が付けば彼の膝に頭を載せ、毛布をかけられています。

どんな事を言えばいいのだろうか、泣き言?恨み言?どんな表情をすればいいんだろうか、怒った顔だろうか、それとも・・・それとも、何だろうか。


「少し、抱きしめてください。」


「ん。」


きっと私はどうしようもない、何せ振られた相手にすがりつき、抱きしめてもらい安心してしまう。

嗚咽を漏らし涙を流したり、それを彼の鎧を外した服の胸で拭いたり、震える体を毛布の上から彼の大きな手で撫でてもらったり、まるで私は子供で彼が父親みたいだ。


取り敢えず今は泣こう。そしてそれでちょっとは彼の中に私が占有できるスペースが出来るのを期待しよう。



「ムー、ずるい、りょうほう。」


「それを行ったらモードレッド様も覗きなんて悪趣味ですわね。」


「・・・おうはそのひざもとでおきるすべてをしるけんりがある。」


「ひどい暴論です。が、まあいいのではないでしょうか、我が主人様?」


「うん、ヒミツがたびをしないことそれがもっともきけん。」


「難儀なものです。彼はあんなにも自由を求めているというのに彼の力は自由を奪います。」


水晶玉を囲んだとある王様と従者はそういって魔法の行使を打ち切るのであった。




時を同じく。というか彼らが王都に向けて出発した頃からかの迷宮都市メイズでは大幅な迷宮の変容や、先の迷宮の暴走による街への被害が収まる間も無く。新たな怪異が起こっていた。


「ぐあ!?」


「こいつら…どっから来やがった!」


鋭い何かの先端から染み出す様に獣の方な外観を持つ全く理解できない何かが現れ、冒険者を始め街の住人が殺されたり、攫われたりし始めたのだ。


勿論、彼らも馬鹿ではない対策を取っていくがその次々と起こる怪異への対策を重ねるにつれ彼らの意識は外に向かず、いや、向けられない様に仕向けられ、じわじわと白紙の紙に落ちた墨が広がる様に、まるで気付かれない様に気付かないうちに迷宮都市は邪なるものに蝕まれて行った。


「クク、ミゼール、あまりに強くあまりに邪心の無いお前を無理矢理にでも外に出して正解だったよ。」


「貴様!」


鋭角のみで構成された上位世界であの陽気な王様は無様にも致命傷を受け転がっていた。彼に使える従者は徒党を組んで対抗するがいかんせん彼らと言う暴力的な数に対抗するのは無理だった。


「曲がった時間は如何でしたかね?あの憎むべき、忌むべき場所の空気は美味しゅうございましたか?」


「ゲフッゲッフ………あはは、君はまだそんな前時代の設定を鵜呑みにしたままなのかな?」


「違いますね、貴方方が違いすぎたというだけです。・・・クク、貴方方はここで我々があの世界を破滅させる様を見ているといい、きっと愉しいですよ?」


ミゼールをはじめとした上位陣は尖った世界でも異質だった。しかしトップがそう言うならとしたがっている風見鶏は多かった。しかしやはり彼らに反抗する勢力というのはいるもので、それが一定数どころか彼らを除く大多数であった。


「アハ、ま、ヒミツくんや勇者君たちがきっと何とかしてくれるかな?」


「ミゼールさま!黙って下さい!死にますよ!」


ミゼールとその侍女そして少ないながらも穏健派であり干渉反対派は瀕死状態のミゼールを運び、禍々しいこの空間から消えたのであった。

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